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Red_or_Black?

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Red_or_Black? ◆YOtBuxuP4U



「それでさ、5の主人公のやつよりどりみどりなんだよ」
「よりどりみどりなんですか」
「俺なんて結局クリアしても彼女すらできないのにひどいよな。よりどりみどりでさ」
「ひどいですねえ、よりどりみどりは……」

 昼が近づいてきたバトロワ会場の都市部。
 ビル街を抜けて一路、下町じみた風景が広がる中を魔王が歩いていた。

 魔王が歩いていた。

 ……いや正確には彼は「勇者:ああああ」なのだが、
 錬金釜から出てきた美少女と合体した結果、その外見が完全に魔王になっているのだ。
 正直近づきたくないレベルのアレである。

 けれども防犯というか、
 身を守るためには装備品をつけなければならないのはRPGの常識。
 ああああはしぶしぶ魔王装備のまま旅を開始することにした。
 目的は――実は、ないに等しい。
 強いて言うなら自分にふざけた名前をつけた主催を殺したいのと、
 名前を変えれたら変えたい、という願いはあるのだが、
 いかんせん目的と言うほどではない。

 古来より勇者は魔王を倒すのが目的であり単純にそれに向かって突き進んでいればよかった。
 しかし、ああああが放り込まれたこのバトルロワイアルに魔王なんてものはどうもいないようで。
 辿り着くはずのゴールが取り上げられた気分なのだ。

 取り上げたのは、主催だ。
 だから当面は主催を倒すために旅をすればいいのではないか。
 という意見もあるが、分かりやすく城を構えて待ってくれている魔王と違い、
 このバトルロワイアルの主催はマップのどこにいるのか見当もつかない。
 しかも期せずして同行者となった美少女――もとい装備――によれば、
 へたをすればマップの中にはいないかもしれないということだ。

「マスターが見た主催の姿、わたしのデータベースにあります。というか、
 わたしたちトランプ・ホムンクルスの製造方法を、著名な錬金術師から金で買い取って、
 安定生産ラインに乗せ、市場に流通させ、興業を起こした張本人がそいつ……トランプ社の社長なんです」

 いわばわたしたちの産みの親、ということですね。
 ああああが錬金釜から生み出したダイヤのエースと名乗る少女は、主催についてそう語った。
 そして、社長(本名についてのデータはないらしい)が他にも錬金術師や魔術師からいろんな術を買い取ったこと、
 おそらくはこのバトルロワイアルを開くに至った数々の超常的な力も、その「金で買った魔法」であろうこと、
 何よりも、その男はものすごく、ものすごく! 性格が悪い奴であることなども、ああああに教えてくれた。

「破綻ビジネスの持ちかけ、異常な金利での貸し付け、土地の地上げetc。
 社長はほとんど詐欺まがいの行為でお金を奪って外堀を埋め、
 欲しい秘術の行使権を強引に開発者(オリジナル)から買い取るのだとデータにあります」
「なんというか、コスいやつだな。魔王というよりは魔王の敏腕な側近って感じだ」
「実際、社長の行為の裏には誰か黒幕が糸を引いているのではないか、という噂もありますね。
 ともかく。意地汚くずるがしこいあの男が、素直にこの島の中に拠点を構えている可能性は低いです」
「まじかー」
「まじですね。そう思わせて、どこかに隠れている可能性も高いですが」
「特殊イベント起こさないとダメなタイプとか。フラグの手がかりもないのに」
「?」
「あ、こっちの話だから気にしなくていいよ」

 レベルもまだまだ足りないとはいえ――地図に載ってない場所に居る魔王を、どう倒せと。
 ああああは八方ふさがり感と若干の投げ出したい感を抱えた。
 とはいえ、なにもせずにいてもああああの人生はスリープモードになってしまうので、
 仕方なくぶらぶらと当てもなしに町を歩きながら、他愛のない雑談をしていたのだった。
 おもに5主人公への愚痴とかを中心に。

「でさあ、よりどりみどりがさ……お?」
「?」
「あれ宿じゃないか」
「あ、ほんとですね……“温泉旅館・いこい”」

 と。
 そんな折。
 ああああとダイヤのエースの目の前に、いかにも下町といった感じの古い温泉旅館が現れた。
 位置的にはB-3あたりか。
 地図には載っていないが、それはおそらく規模が小さすぎるからだろう。
 こじんまりして普通の家と大差ない、旅館と言うよりは銭湯といった感じの佇まいだ。
 だが、こういう宿だからこそ、休憩する客に対しての配慮というのは行き届いているもの。
 勇者として様々な宿屋を渡り歩くこともあるああああには、宿屋を見る目が意外とあるのだ。

「そういえば魔物とバトルしたりしたけど、まだ一回も宿屋に入ってなかったな。行くか」
「あ、トランプ置いてありますかね!? あったら遊びたいなあ」
「俺ポーカーしかしたことないよ」
「わたしが教えますよマスター! トランプ・ホムンクルスは七並べから神経衰弱まで初期スキルです!」
「ちなみ、どっちかというとスロットのほうが得意だった」

 中に入ると、宿泊部屋は二部屋しかなく、風呂場は本当に銭湯そのまま。
 お世辞にも掃除が行き届いているとはいえずホコリのだまが床に転がっていた。
 しかし年月を重ねたからこそ漂う懐かしい感じの空気。
 色あせた昭和っぽいポスターに木編みの敷物、四角の中に二重丸な蛍光照明。
 ガラス戸の冷蔵庫には一本だけだがサイダーが格納されているし、休憩所もある。
 従業員はいないが……カウンターの奥に親しみやすいおばあちゃんの一人でもいれば、
 すぐに巷の一部に溶け込めるくらいにそれっぽさを醸し出している。
 宿屋としての気配りなら最上級。銭湯から出て湯冷ましをする客のために、浴衣まで用意されていた。

 ああああはダイヤのエース(装備)を外して、全裸の彼女に浴衣を着せた。

「きゃう。だぼだぼです。あ、でもマスター、なんか全裸に浴衣ってすーすーしてえろくないですか?
 ほら、みえちゃいけないところがちらりずむ!」
「いや別にえろくないから。とりあえず早く着ろ。で、トランプは……→しらべる
 →しらべる……あったあった。手垢でよごれまくってるけど。ほらこれ」
「わ! ほんとですね。年季の入った熟練さんです!」

 ついでにああああも浴衣を着て(ああああが着ると、ぬののふく扱いになる。防御+2)、
 カウンター奥の戸棚を少し漁らせて貰うと、UNOと一緒にトランプがすぐ見つかった。
 輪ゴムで雑にまとめられた54枚のトランプ。少し古ぼけているが問題なく使えそうだ。

「先に風呂ってのもありだけど……」
「マスター、宿についてすぐ風呂なんて野暮ですよっ。まずは遊んでからじゃないと!
 というわけでやりましょう。世界でもっとも簡単なギャンブル、“レッド・オア・ブラック”!」
「レッド・オア・ブラック? え、なんか初耳なゲーム名だぞそれ」
「だってこのロワのオリジナルギャンブルですからね!
 さあマスター、風呂上りのサイダーをぐびっと飲む権利を掛けて勝負です!」
「……もうメタ発言にはノーコメントするからね。で、ルールは?」
「ふふふ、説明しよう!“レッド・オア・ブラック”とは――」


◆◇


【レッド・オア・ブラック(オールロワ特製ギャンブル) ルール】

  • ジョーカーを抜いた52枚のトランプをよく切り、裏向きにして置く。これを山札とする。
  • プレイヤーは山札を1枚ずつめくりながらそのカードの色(赤か黒か)を当てる。
  • 正解した赤色カードは山札の左、黒色カードは右に置く。
  • 不正解のカードは山札の下に赤黒分けて置いておく。
  • 1人ずつ52枚すべてでこれを行い、正解のカードが多かったプレイヤーの勝利。


【参加者】……ああああ、ダイヤのエース。まずはああああから。


◇◆


「簡単に言うと……赤か黒かを当てるだけ。とっても簡単なゲームですよね!」

 ただし簡単なゲームにこそ「闇」がひそんでいるものですけどね。
 と、なんだか意味深な言葉を呟いて、ダイヤのエースはなぜか複雑な表情をした。
 いま二人は入口の脇にあった休憩所(といっても、テーブル一つとベンチ二つがあるだけだが)に向かい合って、
 “レッド・オア・ブラック”の準備をしているところである。
 とはいえ、
 裏向きに置かれたトランプの一番上にあるのが赤か黒かを延々と当て続けるだけのゲーム。
 準備も何もない、ただシャッフルするだけだ。
 いちおうイカサマのないように開始前には二人とも気のすむまでトランプをシャッフルすることとする。

「……赤か黒か、ねぇ」

 目の前では「マスターに先攻はお譲りします!」といって後攻になったダイヤのエースが、
 鼻歌まじりにオーソドックスなシャッフルをしている。
 重ねたカードから右手で半分とって、数枚を上から左手へ、順番を入れ替えて。
 リズミカルに両手を動かして数枚を上から左手へ、繰り返し移し、無くなったらまた半分取って繰り返す。
 金髪美女が楽しそうにトランプをシャッフルをする妙な光景を見ながらああああは複雑な顔をする。

「色当てるだけって……ギャンブルって言うか、運ゲーじゃないのこれ」
「ふふ、どうでしょうね? ん、わたしはもういいです。マスター、したいならシャッフルどうぞ」

 ダイヤのエースはああああにトランプを渡す。
 ああああは受け取ると、同じようにシャッフルしながらその時間を思考に費やすことにした。
 このゲーム。使うトランプはジョーカーを抜いた52枚。
 「赤」のカード(ハートとダイヤ)と「黒」のカード(クローバーとスペード)は当然半分ずつ、26枚ずつ入っている。
 だから、裏向きに置かれた山札の一番上が「赤」である確率も「黒」である確率も、もちろん半分ずつだ。
 ならば必然的に正解率も、だいたい半分だろう。
 ……やっぱり、ギャンブル的なかけひきなど存在しないように思える。
 だがダイヤのエースはこのゲームをギャンブルだと言った。……何故?

「うーん分からない」
「え? 私の下着の色がですか?」
「君はそもそも履いてないだろ!」
「えへへ。でも着るなら赤ですね。ダイヤだけに」

 ほう、まあでも赤でも黒でもなかなかセクシーだよな。
 とああああは思った。

 思ってる場合じゃない。

「ところで、まだシャッフル足りないですか? 早く始めましょうよー」
「……いやもーちょい考えさせて」

 にこやかな顔でああああを急かす彼女に若干の恐怖を感じ、ああああはさらに思考を練る。
 しょくぎょう:ギャンブラーなわけでもないからうまくはいえないが、
 勇者の勘からしてこのゲームには“罠”が仕組まれている気がする。

 だからああああはイメージする。
 モンスターとの戦いに備えそうするように、テーブルの上にシャッフル済のトランプの束を。

 まずは1枚目。
 山札のカードは赤26枚:黒26枚。
 その状態で引くカードは、赤の可能性も黒の可能性も50%ずつだ。これは間違いない。
 ではそこで引いたカードが仮に赤だったとしよう。
 すると山札に残るのは、赤25枚:黒26枚。
 2枚目に引くカードが黒の可能性はほんの1%程度だが上昇する。
 さらに次も赤なら、赤24枚:黒26枚。
 3枚目に黒を引く可能性は52%になり、赤の可能性は48%……。

 そうだ。赤か黒かを選ぶから、単純に確率は半分ずつ――というわけではない。
 山札の残りカード枚数とその内訳によって、赤と黒の確率は一枚ごとに変化する!
 数%程度の変化でしかないためこれだけに頼るのは危険だが、
 その数%を52回重ねていけば、正解数を上乗せできる気がする。

 そして、それだけではない。
 赤か黒かを選んだ果ての最後の1枚に関しては、すでに他のカードが出尽くしているため、
 赤なのか黒なのかがめくるまえから分かっている。これで1枚プラスは確定だ。
 つまり――――平均正解数が26枚というのは早合点。本当は、もう少し上に行ける。

 ああああはシャッフルを止めて、裏向きの山札をテーブルの中央に置く。
 とりあえずゲームのイメージは掴めた。あとは、本番だ。

「なるほどな、だいたいわかった。悪いけどサイダーはもらうぞ、ダイヤのエース」
「おっ、勝利宣言ですか? ですが残念ですねぇ。勝つのはわたしですよ、マスター」
「それはどうかな! こうみえて僕の運のパラメーターは……あっ」

 ドラクエは5まではうんのよさのパラメーターがあるが6にはない。
 ということをああああは思い出した。

「もしかして僕があんまりにもついてないから、うんのよさがかっこよさになったんじゃ。
 ……いや! んなわけあるか! 僕のうんのよさは未知数だ! レッド・オア・ブラック――「赤」!」

 気を取り直して、ああああは宣言しながら山札をめくる。
 出たカードは。
 ハートのキング。
 ――「赤」のカードだ。
 ああああはニヤリと笑ってダイヤのエースを見た、
 ダイヤのエースは楽しそうな、楽しそうな笑みを浮かべて、それに返した……。



◆red or black?◇



 結果!

 ああああ 正解数29枚
 ダイヤのエース 正解数34枚


 ――ダイヤのエースの しょうり!



◇◆


 それから十分ほど。


「……ここまで赤26枚。黒25枚。なら最後の一枚は――黒、ですよね♪」
「な……!」

 宿屋の休憩所で始まったお遊びゲームは今終わろうとしていた。
 目の前で最後の1枚を当てたダイヤのエースに対して、ああああはただただ驚く。
 34枚。
 ダイヤのエースは52枚中それだけの枚数を当てて見せたのだ。
 29枚(正解率55%)と、34枚(正解率65%)。
 数字にすれば5枚の差だが――割合で言えば1割の差がついている。これは異常な数値だ。

「なにー……ぃ!?」
「マスターもけっこう頑張りましたけどね。本場のトランプにはトランプじゃ叶いませんかねー」

 ドヤ顔をきめるダイヤのエース。
 対するああああは二の句がつげない。
 考察は完璧にしたはずだった。ゲーム中にも閃いたことはすべて試した。
 たとえば、山札が残り4枚になったとき。
 その4枚が赤3枚黒1枚の比率になっていたので、この状況なら1枚ずつ当てるより、
 全部赤と宣言した方が確実だと思い、最後に3枚を稼いだのだ。
 もっとも残り枚数によるパーセンテージ化が効いたのはそこくらいで、あとはほぼ運だったが……。
 それは相手だって同じはず。

「な、なんでだ!? 普通に考えて34枚も当てれるわけがない!」
「さーて、なんででしょうね? わたしの運がすごくよかったのかも?」

 ゲームの進行におかしな点は全く無かった。
 ダイヤのエースの番の前にも、ああああの時と同様にシャッフルをきちんとしたし、
 そこでダイヤのエースが何かを仕込むということもできなかったはずだ。
 トランプに不備は?
 確かに古ぼけてはいるが、裏から見てどれがどのカードか判別できるというほどではない。
 ではそれ以外になにか仕掛けがある?
 考えられ、ない。赤か黒かをあてるだけの、これ以上ないくらいシンプルなこのゲームに、
 イカサマを挟む余地があるとは。
 しかし――もはやそれくらいしか可能性が思い浮かばないのも事実だ。

「何か、したのか」
「……ふふ。これはギャンブルです、と言ったはずですよ、マスター。
 仮にわたしが勝つために何か策を講じたとしても、それを見抜けなければマスターの負け。
 ギャンブルとはそういうものです。――テーブル上の戦いとは、こういうものです、マスター」

 ああああが疑念の声を上げるとほんの少し空気は変わり。
 少しだけ声のトーンを低く。真剣な表情でダイヤのエースが告げる。

「このゲームを考えたのは社長です。そして、このゲームの“必勝法”を考えたのも、また社長」
「……!?」
「もっと考えないと勝てませんよ。わたしにも……社長にも、ね。
 じゃあ、お風呂行きましょうかマスター。ふふ、サイダーはいただきです」
「あっ、そうかサイダー……ちくしょう! “必勝法”だと?
 そんなの知ってるなら君が勝つに決まってるじゃないか! 卑怯だぞ!」
「いえいえ、あくまで社長の狡猾さを知ってもらうためのゲームですよ、マスター。
 わたしがどうしてもサイダー飲みたかったとかそういうわけじゃまったくありませんから!」
「おい! 待て。今の言葉はちょっと聞き捨てならない!」
「つかまえてごらんなさいマスター! わたしはもうお風呂に入ります!」
「逃げ足だけは早い!」
「あはははー」
「うふふふ……ってうふふふじゃないー!」


◆◇


 かぽーん。
 という音が風呂場で響くのはけっこう有名だが、
 この音の由来って何? と言われるととっさには出てこないものだと思う。
 ああああも実際に音を聞くまではいまいちイメージできなかった。だが確かにこれはかぽーんだ。
 正解は、タイル張りの床に洗面桶が落ちる音。

 かぽーん。

「あ、これ」
「なんか今、すごいお風呂っぽい音がしましたね!」

 あんまりにもテンプレートな音をさせた洗面器が可笑しくて、ああああとダイヤのエースは笑ってしまった。
 宿屋いこいのお風呂場は入ってみるとやはり紛れもない銭湯だった。
 前時代的な石膏のうす水色四角タイルの床、整列するシャワーノズルと洗面桶と椅子。
 何より立ち込める湯気を雲の代わりに、奥に堂々と存在する富士山のプリント絵があまりにも銭湯だ。
 お湯はにごらず熱すぎず、丁度良い。
 長方形の浅い湯船にタオルを巻いて座り込む。少しマナー違反だが二人しか入っていないのだし。

「いい湯だなー」
「ですねー」

 濡れた髪を貼りつかせて二人は笑いあった。そのまま雑談の流れでも良かったが、
 ばつが悪いとかではなく単純にお風呂が気持ちよすぎて、なんだかぽわわんとしてしまった。
 何も喋ることなく、ゆったりとした時間が流れる。
 ゆっくりと。 
 血のにおいで冷えた体が再び温まっていくのが分かる。

 ああああは湯船の淵に腕を置き、壁の富士山を見上げながら足をのばす。
 いろいろなことがあったと思う。ほんとうにいろいろなことが。
 変な名前を付けられていつもと違う場所からスタートし。
 不思議な悪魔と戦ってなにかの魔法を忘れさせられ。
 レンタルビデオ屋で見たビデオは思ったよりも怖くて。
 錬金釜から出てきた美少女とカードゲームして、負けた。
 初めてのことだらけだ。

 なによりカードゲームで負けたのは大きかった。
 ああああはレベルこそ今は低いが、幾度もゲームで世界を救ったことがある勇者。
 戦闘力はないと自負するダイヤのエースに完膚なきまでに負ける姿なんか想像していなかった。
 でも負けた。
 しかもそれからも考えてはいるが、いまだに彼女が使った「必勝法」の答えは分からないままだ。
 その「必勝法」を編み出したという社長にも、負けたようなものだ。

 古来より勇者は魔王を倒すのが目的であり単純にそれに向かって突き進んでいればよかった。
 しかし、ああああが放り込まれたこのバトルロワイアルに魔王なんてものはどうもいないようで。
 だから勇者であるああああも、愚直に勇者だけをしているわけには、いかないのではないか。
 これまでの経験がそう告げていた。そしてこれから先、きっとそうなっていく。

「もっと考えなきゃな……」

 自分はこのバトルロワイアルで一体なにがしたいのか。
 何を志し、何を為せばよいのか。
 改めてそんなことを考えるああああであった。

「……というかあれ? 考えてみたらこの風呂場の入り口、男湯と女湯に分かれてたよね」
「そうですね、マスター。それが何か?」
「いや、じゃあなんで君こっちにいるの!? 君、女の子じゃん!」
「やだなあ水臭いですよマスター。合体した仲じゃないですか♪
 それにホラ、マスターと100m以上離れたら死んでしまうんですよわたし」
「男湯と女湯くらいなら壁一枚隔てるだけじゃないか! それと、合体したとか変な言い方すんなァ!」

 まあ、ともかく、そんな感じで。
 赤(血を見る)か黒(死ぬ)かの世界で、勇者とその従者はしばし、休息と再考をする。


【1日目 昼/B-3 温泉旅館いこい 男湯】


【名前】ああああ@ドラゴンクエストⅥ 幻の大地
【服装】全裸にタオル
【状態】Lv5、ホイミ忘却、いい湯だな
【装備】なし
【持ち物】基本支給品一式
【思考】
 1:主催は勇者なだけじゃ倒せない……?
 2:これから何をしよう?
 3:とりあえずこんな名前をつけた主催者殺す。せっかくなのでドラクエⅤの主人公もいたら殺す……あれ、いない?
 4:マジで名前変えたいです!
 5:バトルロワイアル、ヤバすぎる。マジで怖い。
 6:放送ってまだなのかな?
 7:千草貴子役の人、好みのタイプだ。
【備考】
※第1回放送を思いっきり聞き逃しました。
※ダイヤのエースが錬金されました。
※錬金釜が壊れたかどうかは次の人にお任せです。


【ダイヤのエース@七並べ】備考
ああああをマスターとして認識しています。
人間形態時:ああああから100m以上離れられません。
合体時:ああああの能力を上げる能力。魔王っぽい装備になります。
    どれくらい上げるかは続きの人にお任せです。


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錬金したらやばいのができた ああああ 1231


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