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無☆題

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無☆題 ◆CUG3z3uZ1o



薄暗い建物の中、男は今しがた起こった事を思い返していた。
男により殺し合いを命じられて、一人の老人が殺されたという出来事を。
ふと自分の首元を触ってみて、男が説明したした通りに首輪が嵌っているのを確認する。
そうする事により、あれが夢でも幻でもなく現実である事が分かる。
現状を把握すると、足元に落ちているデイパックの中身を調べる為に手を伸ばす。
しかしこの暗闇の中では確認する事も難しいと気付き、辺りを見回す。
普通の民家であればすぐに電気も点けられるだろうと思ったが、どうやら民家ではないらしい。
棚のような物が延々と視界を埋め尽くすさまを見て、ここが何処かの店なのだろうと推測する。
こういう大きな店で電気を点けると遠くまで見えてしまう。
そう思った男は仕方なくそのまま店の中を歩く事に決める。
いかに夜中で暗いとはいえ、まったく灯りがないわけではない。
窓からは月明かりが差し込み、そこの近くでなら中を調べるのにも支障がないだろう。
静寂の中、男の足音だけが店に響く。
そうして窓の近くまで行くと、近くの棚の中身が灯りにともされている事に気付く。
どうやらここはビデオショップ、もしくはレンタルビデオ店なのだろう。
ずらーっとビデオやDVDが並んでいるのが見て取れた。
それらを横目に、月明かりを頼りに中身の検分を始める。
殺し合いを命じた男―――仮に主催者と呼ぶ―――が言っていた通りの基本的な物。
その中から地図を取り出した。
現在地が直ぐに分かるとも思わなかったが、ご丁寧にレンタルビデオ店と書かれた場所を発見。
それによるとB-2に位置するようだ。
下方にある町にも同じようなビデオ店があるかもしれないが、態々記すくらいだ。
レンタルビデオ店はこの島にはそこにしかないのだろう。
続いて武器の確認をしようと思った所、ふと見慣れたビデオを見つけたので、それを手に取る。
「矢内……」
ビデオケースに映っている見慣れた少女達の姿を見て、男は唾を飲み込む。
そして突然の出来事で忘れていた、ここに来る前にしていた事を思い出す。

いつものように舞い込んできた仕事。
ビジネスとしてではなくサービスとして受け入れた依頼。
娘。のストレスを解消させる為に、性的欲求を満たすという事。
次々と解決させた宿題と残った宿題。
ライブが終わり次々に観客に犯される娘。達。
そして最後の矢内の願いを叶えている最中―――ここに呼ばれたのだと。

「矢内、保陀、阿部、二翻、壱岐、椎田、匣、槌……!」
それを見聞きした人物の記憶を消せるからこそ、生放送で凌辱をしたというのに。
男が突如消えてしまえば、凌辱を止める事はおろか、人々の記憶に永遠に残ってしまうだろう。
そうなれば彼女達は最早アイドルを続ける事などできない。
仕事を請けた者として、それ以前に彼女達の一ファンとして、そんな事にはさせられなかった。
こんな所で死ぬわけにはいかない。
生きて帰らなければならない。
たとえ最後には死んでしまうかもしれなくても、彼女達を助けてからだ。
男は帰るために、手を血に染める決意を固める。
そして娘への思いを胸に、吉業はビデオをデイパックにしまう。
その一途な男の名は、吉業ひとみといった。


【位置:B-2 レンタルビデオ店/深夜(00:10)】

【名前:吉業ひとみ@シャイニング娘】
【所持:不明×1~3】
【能力:高防御、変身、記憶を消す、閉鎖空間作成、実体化する幻、他】
【方針:皆殺し】
【備考:魔力を失うと死ぬ】
【時期:矢内の宿題の最中からの参戦】

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