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やっちゃった

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やっちゃった ◆NKEmhL46yk



そのシルエットの主は二人の――少年? いや、少女だ。
しかもその内の一人は外見年齢十歳前後かつ実年齢七十歳前後だというのだから世の中恐ろしい。
それ以上に恐ろしいのは、彼女たちもまた『バトル・ロワイアル』に選ばれし者だということなのだが……。


「あ゛ー、腹減った…」
「何を言ってるんだ悠理。まだここに来て一時間も経ってないぞ」
「それでも減るもんは減るんだよぉ!」
「子どもみたいなことを言うものじゃない」
「自分だって見た目は子どもじゃんかよぉ……」
 悠理と呼ばれた少女は不満そうに口を尖らせる。
剣菱悠理――日本を代表する最強の財閥、剣菱グループの愛娘だ。
運動神経・格闘能力に関しては同世代のそれはおろか、日本代表レベルに近い類い稀な才能を持っている。
その代わりと言ってはなんだが、学力はからっきしで同世代どころか、小学校高学年にも勝てるかどうか微妙なところである。

「悠理。人や物事を見た目の第一印象のみで判断するのは危険だ。よく覚えておいた方がいい」
 幼く中性的な外見の少女が言葉を返す。
この少女の名は片桐唯。見た目はどうみても子どもだが、戦前から生き続けている打撃人類の一人だ。
自らの能力に溺れ心を醜く腐食させた父を打撃した彼女は、自らの肉体の『時の流れ』を止めると同時に、
恐るべき破壊力を持つ打撃能力を封印し――そして現在に至る。
だが今回『バトル・ロワイアル』に巻き込まれたのを機に、封印されし打撃能力を解放するべきかどうか迷っているのも事実。

「うん。わかってる。唯だってこんなチビっこいのにばあちゃんだっていうし、見た目だけで判断しないようにする」
「チビ……。ばあちゃん……」
 唯にとっては禁句もいいところなのだが、悠理に悪気がないのは唯も十分承知なので、それ以上の言及はしなかった。

 悠理はというと何かを発見したようで、真っ先にその方向へと駆けて行った。

「清四郎!? 清四郎じゃないか!? 清四郎! あたいだ、悠理だ!!」
 自分の方に駆けてくる悠理を視界に入れた清四郎は一言こういった。

「や ら な い か」……と。

「殺らないかって、清四郎、何言ってるんだよ! あたいと清四郎が殺しあいなんて出来るわけないだろ!!」
 清四郎と思われる人間に近寄ると、悠理はあることに気づいた。
「あ、あれ? お前誰?」
 そう。それは清四郎なんかじゃない。清四郎じゃなかったのだ。
「悠理、どうした……ゆっ、う、うわああああああああああああああああああああああ!!」
 やっと悠理に追いついた唯の悲鳴が上がる。
「唯!?」
「ゆ、悠理……あ、あれjfそgs;gぁs:gkp@あskg@あ」
 想像も出来ない程に取り乱す唯が指さす其処を悠理は見てしまった。
 なんとその男はツナギのチャックを下ろし、己の逸物を晒してるじゃないか。
「おい、おっさん! お前、痴漢かよ!!」
「なんだ、あんたら女か。女子供はヤラないって決めてるんだ」
 それだけ言い残すと、謎の男はさわやかな笑顔でベンチを後にして立ち去って行った。股間を丸出しにしたままで。

「な、なんだったんだ今の」
 男が座っていたベンチに腰掛けた悠理と唯。
「最悪だ……最悪すぎる……」
唯は膝を抱えたまま俯いている。さっきのツナギの男の件がまだ尾を引いているらしい。
「でもさ、女子供は殺らないって言ってたし、実はまともなのかも」
「生娘にあんな汚らわしいものを晒す奴がまともだと……?」
 唯の声がわなわなと震えている。
「きむすめ……ってなんだ?」
「生娘っていうのは……その……つまり……」
 悠理に耳打ちしながら、小声でぼそぼそと『生娘』の意味を告げる唯。
「ああ、じゃああたいも生娘だ! 唯、そんな言葉知ってるなんて頭いいな!!」
「ば、馬鹿者。大声でそんな事言うな」
「悪い悪い。あー……でも、腹減ったぁー」
 きゅるるーと間抜けな音を立てて鳴る腹を押さえながら悠理がため息をついた。
「悠理。私は君がうらやましいよ」
「へへー。そう?」
「…………」
 唯が軽くため息をついていると、微かな声が聞こえてきた。
悠理のものでも唯のものでもない男の声だ。
その声は「……おいなりさんだ……」と聞こえる。
悠理はまたもや恐るべきスピードでそれに反応した。
「おいなりさん!? 食べる!! 食べる!!」
「悠理! 待ちなさい、悠理!!」
 唯は必死に猛スピードで駆けていく悠理を追いかけた。

そして追いかけた先で、彼女はとんでもない光景を目撃する。


「残念、それは私のおいなりさんだ」
 自らの股間を強調させ、とんでもないものを顔に被りながら、誇らしげに言う謎の変態。
「えー!? なんだよ、おいなりさんっていうからうまいものが食えるって期待してたのにまた変態かよ」
 悠理がちぇっ、と舌打ちをする。
 対する唯は微動だにせず、直立したまま固まっている。

「変態には用がないし帰ろうか。唯……。唯?」

 その時、唯の中の何かがキレた。

「だああああああああああああああしゃああああああああああああああああああ!!!」

 唯の掛け声と共に繰り出される強烈なパンチにより、哀れ、変態仮面はハッテン場の便所へと頭から突っ込み絶命した。

「許せない変態が……多すぎる……」
「すっげえ! 唯、強いじゃん!!」
「決めた。私は鬼畜と変態相手には容赦しない。これが正しいことかどうかわからないが……あいつらは……あいつらは……もうダメだ」
「じゃあ、これからは変態がいたらあたいと唯でボッコボコにするってことで決まりだな?」
「いや。まずはこの場から離れよう。ここには救えない変態が多い」
「え? 変態が来たらあたいと唯でやっつければいいし、離れる必要ないんじゃないのか?」
「勘弁してくれ……」
 唯が顔を歪めている。本当はあんな変態に触れるのも見るのも嫌なのだろう。

「うん。じゃ、美味しそうなメシのありそうな所に行こう! 腹が減っては戦は出来ぬっていうしさ」
「戦……か……。人間は争い無しでは生きられないものというが……結局私もその運命から逃れることはできないのかもしれない……」
 足の速い悠理の制服の裾をひっぱりながら、唯は父の顔を思い出していた。
『正義』の名の元に独裁に走ろうとし、自らの力を過信し人の道から外れてしまった父。
 自分もまた父のようになってしまうのではないか。
 胸によぎる不安をかき消すかのように、悠理の制服を強く握りながら、唯は目の前の少女について行くのだった。


【J-5 ハッテン場/一日目深夜】

【剣菱悠理@有閑倶楽部(漫画)】
【服装】制服
【状態】健康(とにかくお腹が減っている)
【装備】?
【持ち物】支給品一式、不明支給品
【思考】基本:仲間を傷つけたくはない
   1:唯と一緒に空腹を満たせる場所に行く
   2:仲間にも会いたい

【片桐唯@打撃天使ルリ(ドラマ)】
【服装】白っぽい聖衣
【状態】健康(多少の精神的ダメージ) 右手の打撃能力の封印解除中
【装備】?
【持ち物】支給品一式、不明支給品
【思考】基本:許せない変態が多すぎる!
    1:今はここ(ハッテン場)から逃げる
    2:変態・鬼畜に怒りの鉄拳を下す
    3:自分も父のような独裁者になってしまうのではないかという不安
※時系列的にはドラマの第6話前後。死ぬ前の状態

【阿部高和@くそみそテクニック(漫画)】
【服装】ツナギ 下半身露出中
【状態】健康(性欲を持て余す)
【装備】己の逸物
【持ち物】支給品一式、不明支給品
【思考】基本:いい男とやりまくる
    1:いい男を探す
    2:女子供はやらない

【変態仮面@究極!!変態仮面(漫画) 死亡確認】

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GAME START 剣菱悠理 結成!奇妙な凸凹トリオ
GAME START 片桐唯 結成!奇妙な凸凹トリオ
GAME START 阿部高和 熱いぜマイキーさん
GAME START 変態仮面 GAME OVER

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