RED・IMPACT-まっかなびっくり- ◆KYxVXVVDTE
ハイジは、駆けていた。
逃げなければ。逃げなければ、銭太郎くんのように殺されてしまう。
逃げなければ。逃げなければ、銭太郎くんのように殺されてしまう。
……銭太郎くんと会ったのは偶然だった。目が覚めた時に近くにいた、ただそれだけのこと。
「ふん。なんだ、刀も持ってないような奴に僕は興味ないぞ! プンスカプンスカ」
勇気を持って話しかけてみたらこんな言葉を返されたけど、それでもすぐに二人で行動することが決まった。
きっと、素直じゃなかったんだろう、な。
傘みたいな頭をした男の子を脳裏に思い浮かべて、あたしはそんなことを思った。
きっと、素直じゃなかったんだろう、な。
傘みたいな頭をした男の子を脳裏に思い浮かべて、あたしはそんなことを思った。
お互いのバッグの中身を確認したあたし達は、他に誰かいないか探すことにした。
銭太郎くんと一緒に歩き回って少し経った頃、前の茂みの向こうに人がいる、と銭太郎くんが言った。
銭太郎くんと一緒に歩き回って少し経った頃、前の茂みの向こうに人がいる、と銭太郎くんが言った。
「な、並の手練じゃないぞ、あいつら……」
銭太郎くんはそう言うと、あたしにそこで待ってるように言って、茂みに隠れながら近付いていって――
そして、急に“どすっ”という音がして、
銭太郎くんが倒れて、赤い液体が辺りに広がった。
銭太郎くんが倒れて、赤い液体が辺りに広がった。
「おじいさん……クララぁ……ペーター……っ」
――足は、止めない。
はだしだから足の裏が痛くなるけど、そんなの気にしてる場合じゃない。
あいつらに、銭太郎くんを殺したやつらに、追い掛けられているかも、殺されるかも、しれないのだから。
クララが、もう少しで立てそうだって所だったのに。こんな所で死んでしまうなんて、嫌だ――!
そんな不安を振り払うように、ハイジが走る速度を上げた、その時。
はだしだから足の裏が痛くなるけど、そんなの気にしてる場合じゃない。
あいつらに、銭太郎くんを殺したやつらに、追い掛けられているかも、殺されるかも、しれないのだから。
クララが、もう少しで立てそうだって所だったのに。こんな所で死んでしまうなんて、嫌だ――!
そんな不安を振り払うように、ハイジが走る速度を上げた、その時。
「うわあああああああああああああああああああっっ!!!」
「ひっ!?」
「ひっ!?」
一心不乱に走っていたハイジの、進行方向から男の叫び声が聞こえた。
足を止めない、と言ったばかりだけど、これは止めない訳にはいかない。
ドキドキする心臓を抑えながらハイジは立ち止まり、デイパックから地図を取り出すと、自分が向かう先に何があるのか確認した。
足を止めない、と言ったばかりだけど、これは止めない訳にはいかない。
ドキドキする心臓を抑えながらハイジは立ち止まり、デイパックから地図を取り出すと、自分が向かう先に何があるのか確認した。
(怪しい洞窟……?)
目指すE-6地点に書かれていたのは「怪しい洞窟」の文字。
(怪しい、なんて書かれてるし、叫び声もして……ますます怪しいわ。別の方に行かなきゃ)
ハイジは既に、銭太郎と知り合い以外の全ての人間に恐怖を抱いていた。
いつ殺されるか分からない、この会場。
誰にだって信頼を向けてきたハイジでも、その思いを螺子曲げなければいけないほどに、匂ったのだ。
いつ殺されるか分からない、この会場。
誰にだって信頼を向けてきたハイジでも、その思いを螺子曲げなければいけないほどに、匂ったのだ。
銭太郎くんの、死の匂いが。
(いや――あんな匂い、二度とかぎたくない。早くクララや、おじいさんやペーターの所に、帰らないと……)
この会場に送られる前に皆が集められた広場で、ハイジはクララを見ていた。
皆が立っている中、座っていたからすぐに分かった。
クララはまだ、自分の足で立ててないんだ。あたしがその手助けをしてあげなきゃ、いけないんだ。
皆が立っている中、座っていたからすぐに分かった。
クララはまだ、自分の足で立ててないんだ。あたしがその手助けをしてあげなきゃ、いけないんだ。
ハイジは本能的に左に曲がり、洞窟を避けて進もうとし――
(……え?)
再び死の匂いを、かいだ。
◇◇◇◇◇
「――コクピットだけ離脱して脱出? そんなもん許されるわけねーだろーが、小娘ちゃん。マリオを殺した罪はマントルよりも深く成層圏よりも高いっつーの!」
地図でいうと、F-6。そこでハイジは、赤い女の人と遭遇してしまった。
髪も、服も、目も、全て赤い、紅い、人。
白くて大きな鉄の箱が、その赤い女の人のそばにあって、
その側面が赤く、血で染まっていて、
青い服を着た、
白くて大きな鉄の箱が、その赤い女の人のそばにあって、
その側面が赤く、血で染まっていて、
青い服を着た、
青い服を着た金髪の少女が――“死んでいた”。
「クレアとははぐれちまったか……しょうがねーな、流石に脱出しようとしてるコクピットに『乗っかって』、ジェットコースター気分味わいながら空中飛行なんて――人類最強のあたしくらいにしか無理な話だろうさ。まあ、すぐ来るだろ」
ピクリとも動かない青い服の少女に向かって、赤い女の人がぶつぶつと愚痴っている。
いまだ事態を理解出来ないハイジが呆然とその場に立ち尽くしていると、
赤い女の人はハイジに気付いてハイジの方を向き、
余裕の表情を浮かべながら、美しい声で呟いた。
いまだ事態を理解出来ないハイジが呆然とその場に立ち尽くしていると、
赤い女の人はハイジに気付いてハイジの方を向き、
余裕の表情を浮かべながら、美しい声で呟いた。
「よお、そこのかわいーの。あんたもあたしとやるかい? ――十光年かかっても、指一本触れられないだろうがね」
この殺し合いの場でへらへら笑っていられるのは、よっぽど楽観的か、よっぽどの手練のどちらかだ。
そんなことを、銭太郎くんが言っていた。
そして、目の前の赤い人は――完全に、圧倒的に、確実に――後者だった。
そんなことを、銭太郎くんが言っていた。
そして、目の前の赤い人は――完全に、圧倒的に、確実に――後者だった。
ああ、クララは、死んでしまったのね。
あたしは、どうすれば――いいのかしら。
あたしは、どうすれば――いいのかしら。
【F-6/子の刻(0時頃)】
【ハイジ@アルプスの少女ハイジ】
【服装】黄色の服に赤い上着、ピンクのスカート
【状態】愕然
【装備】なし
【持ち物】不明支給品×3(確認済み)
【思考】
1:どうすれば、いいの?
2:赤い女の人が憎い。
3:銭太郎くん……
【服装】黄色の服に赤い上着、ピンクのスカート
【状態】愕然
【装備】なし
【持ち物】不明支給品×3(確認済み)
【思考】
1:どうすれば、いいの?
2:赤い女の人が憎い。
3:銭太郎くん……
【名前】哀川潤@テラカオスバトルロワイアル
【服装】普段着
【状態】怒り
【持ち物】ダモクレスの剣と支給品一式
【思考】
1.かわいーの、やるかい?
【服装】普段着
【状態】怒り
【持ち物】ダモクレスの剣と支給品一式
【思考】
1.かわいーの、やるかい?
*ランスロットは大破したようです。
【クララ@アルプスの少女ハイジ 死亡】
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