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俺には声が無い、それでも俺は叫ぶ

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俺には声が無い、それでも俺は叫ぶ ◆/O9sjV9JyQ



俺は今、「殺し合い」ということが行われている現場にいる。
なぜこんなことになったのかはわからない。しかし理由を求めることなど無意味だ。
俺の身の上に起こったことは、突如知らない場所に連れてこられ、見知らぬ男から殺しあうことを命じられた後またしても別の場所に送られた。
言葉にすればそれだけのことに過ぎない。
それにしても、今まで殺されそうな目にこそ遭ってきたとはいえ、俺が人を殺すことなど想像もつかないことだ。
実際上は不可能なことだと言ってもいいだろう。
俺は今まで数え切れないほどの怪我や病気をしてきた。
それらの多くはまもなく完治したが、しかし見た目には完全に治っているように見えてもその怪我や病が俺の心に残した影響、
そして俺の体が傷を負ったという事実は消しようが無い。
こうして俺たちは刻一刻と行きながらも死に向かって進んでいるのだ。
すなわち生きるものは誰でも生きるというその行為自体によって確実に死に向かっている。
俺たちは実はみんな死刑を宣告された囚人なのだ。
だが多くの人は自分がいつか死ぬのだということを知ってはいても信じてはいない。
それゆえに、突然目の前に死を突きつけられれば動揺するし、時にはその事実を信じることさえも拒否する。
しかし俺はこの場所に連れてこられたその時も、決して現実の前に呆然と立ち尽くしたりはしなかった。
そもそも死とは俺にとっては比較的身近にあったものだ。恐らくはここにいる誰よりも。
なので死ぬこと自体にさしたる恐怖があるわけではない。
弱ければ死ぬ。たったそれだけのことだ。遅いか早いか、それだけの話だ。
だが、どうせ避けられぬ運命ならば早く死ぬのも一興、と思っていた俺の心にほんのわずかな迷いが生まれたのは―――
倒壊した建物の瓦礫の下で、いまだ自分が生きていることに気がついた瞬間だった。
確実に死ぬと思っていた。俺が生き残れたのはまさに運命の気まぐれと呼ぶしかない。
その時俺は思ったのだ。どうせいつかは死ぬ。この殺し合いの中で、誰かに殺されて死ぬ。
しかしその時を、たとえ一日であっても、一時間であっても、先へ伸ばそうとして行う努力は果たして本当に無意味なものなのだろうか?
希望も無く、展望も無く、それでも生に縋る。その選択に意味がないと果たして誰が断言できるのだろう。
幸い俺には、自らの持つ生への執着心を蘇らせてくれるに足るものがあった。
それは俺の家族だ。乱暴だが愛するべき妻に、手のかかる子供たち。
きっと彼らは俺が死んだところで何の感慨も感傷も無く、今までと変わらぬ生活を送るのだろう。
だから俺は家族のために帰るのではない。俺が家族に会いたいから帰るのだ。
生きるために帰るのではない。帰るために生きるのだ。
それは甘美で俗悪な、俺の生の心から出でた欲求であった。

瓦礫の下から這い出てきた俺は、一人の男と出会った。
見覚えのある顔をしている。崩れる前の建物の中で見た顔だ。
俺のような弱き者が生き延びるには、誰でもいい、協力者かあるいは保護者が必要だ。
その点この男は信用が出来るはずだ。そう思った俺はその男についていくことにした。
男は崩れた瓦礫の山を観察していた。何か気になるところでもあったのかもしれない。
その隙に俺は男の足元へと忍び寄り、こっそりと足の上に上った。男は気付かないようだ。
するとそこへ、一人の女が近づいてきた。
男はその女へと向き直ると口を開いて何事かを話し始めた。

「―――。―――。」
「―。……――。」

生憎俺には彼らの話す言葉は理解できない。
そもそも人間というものは、出会うと必ず「言葉」というものを交わさなくてはならないものらしい。
俺にはそれが不思議でならない。お互いの言いたいことなどその表情と匂いで大体はわかるのだ。
それをわざわざ言葉などというものを使って引き出さなくてはいけないとは、煩わしいことこの上ない。
と、その時彼らの間に流れていた空気が変わった。

「……――。」
「!!―――ッ!!」

男は冷静な口調で女に話しかけているのに、女のほうは突如発情したかのように甲高い声を上げた。
女が攻撃的な姿勢に打って出たのは明らかだった。
なおも男は女を説得するためか、穏やかな口調で告げる。

「―――。」
「ッ”#$%&’()‘&%$#”!!」

全く、言葉などというものはお互いを理解するために何の役にも立たないではないか。
いや、あるいは彼らは、言葉などという余計なものを持ってしまったがためにこのような不幸なすれ違いを生み出してしまっているのではないか。
もちろん俺にはこれがすれ違いかどうかなどわからない。どちらかが先に相手を攻撃するという意思を表明したのかもしれない。
俺にわかるのは、男は冷静であり、女は狂乱しているということだ。

先に動いたのは男のほうだった。
手にしていた長い棒のようなもので女に切り掛かる。
女はそれに対して、やはり手にしていた長いもの(しかし形状は男が持っているものと随分異なる)を男に向けた。
次の瞬間、地面が割れたかと思うような轟音が響いた。
俺は必死で男の脚にしがみついた。俺の小さな体が空気と共鳴して揺れた。
そして、

「●●●●●●●●●●●●●●●●!!」

それは男の口から出た悲鳴だった。何かがぼたぼたと地面の上に降り注ぐ。
見れば、それは雨ではなく赤黒い血であった。
男はそれで悲鳴を上げていたのだろう。しかしそれでもなお使えるほうの手で武器を握り応戦しようとする。
それに大して女が何かを言った。

「―――!!」

そして、再びその奇妙な形状の武器を男に向けた。

次の瞬間俺が取った行動について、俺は今でもまともな説明をつけることは出来ない。
俺はしがみ付いていた男の脚から飛び降りると、一直線に女に向かっていき、その足に噛み付いたのだ。
女は

「☆ッ!!」

と素っ頓狂な声を上げて飛び上がった。
男はもちろんそれを見逃さなかった。
次の瞬間、女の首は胴体を離れて宙を舞っていた。

男が腕の傷の手当てをしている間、俺は女の首から流れる血を吸っていた。
こんなものでもここでは貴重な栄養源だ。
やがて傷の手当てを終えた男はまっすぐに俺のほうに向かってくると、血を飲んでいた俺をそっと抱き上げた。
俺の飼い主が俺に対してそうするように。

「―――。」

男は何かを話しかけてくる。もちろん俺にはその意味は分からない。
それでも俺はなぜかひどく安心した気持ちになった。

「―――――。」

そして男は俺を、傷を負っていないほうの肩へと乗せた。
俺には言葉はわからない。しかし恐らく彼は俺にこう言ったのだ。
「一緒に来ないか」、と。
俺の気持ちも同じだった。彼と一緒ならば危険も少ないだろうし、信用できる。
先ほどあの女を殺したのはただの自衛だ。責められる理由などあるはずが無い。
そして俺の中にはもう一つ、自分が行き伸びるべき理由が生まれていた。
先刻俺のとった、あの野生動物ならば本来は決してありえないはずの行動、あの理由は果たしてなんだったのか。
俺の中にある何がそうさせたのか。
その答えを探すため、俺は男と共に歩き始めた。


【E-3 下着売り場の外/一日目 深夜】

【チビすけ@ハムスターの研究レポート】
【服装】全裸
【状態】健康
【装備】水戸黄門の印籠@水戸黄門
【道具】支給品一式、不明支給品3
【思考】 基本:家族の所に帰る
1:6/についていく
※6/@テラカオスバトルロワイアルを対主催だと誤解しています
※所詮ハムスターなのでやや思考回路がアレです


【◆6/WWxs9O1s氏@テラカオスバトルロワイアル】
【服装】ウェディングドレス
【状態】右腕に若干の負傷
【装備】格さんの刀@水戸黄門、悟史のバッド@ひぐらしのなくころに、
ガトリング砲@現実
【道具】支給品一式×3、不明支給品2
【思考】 基本:全員殺してもとの世界に戻る
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【西島翔子@魔法少女沙枝シリーズ  死亡】

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