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序章 『旅立ちの日』 それはアナンが25歳になったある朝のことであった。 『アナン、アナンや!』 のどかな春の朝に、アナンの母親レナの声が響き渡った。 おやじ「馬鹿野郎!もっと声を張り上げろ!だからおめえは湿ったレタスみたいな尻なんだよ」 隣の部屋に住んでいるナポレオンJr(通称おやじ)は最愛の妻を亡くしてもう二年になるが、今も毎朝のように妻の幻影に囚われているようだ。アナンは母親の声よりも、そのおやじの声によって目が覚めた。 『もう朝か。今日はお城の解体工事の日だったな。さて、爆破解体とやらを野次馬してくるかな。』 アナンは早速Tバックの上にジャケットを羽織り、盗んだバイクで走り出した。 それから5分も経たないうちに、Tバックの食い込みに耐えられなくなったアナンは、途中の防具屋に駆け込んだ。 『おーい、ジルおばちゃんいるかい?やっぱ俺にはこの“あぶない水着”は装備できないみたいだ。旅人の服を試着させておくれ』 ジル「おやおや、旅人の服は2千万ゴールドよ、あんたの軽い財布じゃ買えないわよね、さあ、帰った帰った」 アナン「くっ、さっ、ぱっ。』 旅人の服の驚異の値上がりっぷりに、アナンは思わず意味不明なうなりを上げてしまった。 『じ、じゃあこのあぶない水着を売るよ!これならそれなりの値段がつくはずだろ!?』 ジル「ぱぴー製法で編み込まれた水着…?どれどれ…」 ジルはあぶない水着を手に取り、おもむろに首に巻き付け始めた。 ジル「…むっ!?この締まり具合は…ま、まさしくぱびー・・ぶっ、ぶべらっ!!」 ジルはぱぴー製法の恐ろしさを何も知らなかった。ぱぴー製法で作られた衣類は、圧力にして500kgの力により装備した者に対して災いをもたらすのだ。 ジル「ぶ、ぶべらっつぃお!!」 破滅の呪文を唱えたジルを尻目に、アナンはお城の爆発解体工事を観に行くことにした。 「たーまやー、ぷぺぽっ!15ゴールドでぶべらっっつぃお!」 アナンはジルの最後のセリフを思い浮かべつつ、城の近くまでやってきた。 アナン「やべえバイク忘れた…」 アナンは早速、舞空術太郎の元へ伝書鳩を飛ばすべく、近くの精肉店に向かった。 『おう、チェリタのおやじ、邪魔するぞ。術太郎の元へ文を飛ばしたい。頼まれてくれるか?』 チェリタ「おぉ、これはこれはシェルダン殿の若君ではござらんか。いやはや、しばらく会わないうちにこんなに立ち泳ぎもうまくなって…。思えばシェルダンがウェルダンになってもう5年か…で、術太郎に文を伝える目的は?」 アナン「うむ、城の解体を見に行きたいんだが、盗んだバイクを忘れてしまって…」 チェリタ「そうか…盗んだバイクはないが、盗んだマイクならここにある。今のアナンならマイクでも十分なはずだ」 アナン「なるほど、受け取っておくよ、ありがとう」 アナンはチェリタからマイクを受け取ると、おもむろに地面に叩き付けた。 アナン「天と地の精霊達よ・・我に力を与えたまえ・・。ギガスパークッ!!」 地に横たわるマイクに一瞬小さな光が差し込み、そして一面の空がまだ昼間だというのに暗闇に包まれた。 村人「な、なんだこれは!?まるで大地が震えているようだ・・」 アナン「は、はじけて・・、合わされーっ!!」 マイクからまるで雷のような光の帯が、天に向かって一斉に解き放たれ、アナンに直撃した! アナン「げ、げぼば~!」 チェリタ「な…何事!?」 アナンは暫く煙につつまれ、チェリタから見えなくなった。 チェリタ「…ア…アナン無事か!?」 アナン「いや、大丈夫、何ともない…」 チェリタは安心したが、煙が消えると愕然とした。なんとマイクがアナンの股間に合体してしまったのだ! チェリタ「…アナン、なんだそれは!それではまるで、ぶべらっつぃおではないか!?」 アナン「な・・、これが・・!?そうか、ジルが言いたかったのはこれだったのか・・。」 チェリタ「そうだ、あいつは我が身を持って、アナン、あなたにそれを教えようとしたのです。」 アナン「・・・」 しばらくアナンは声が出せずにいた。が、ふと股間のマイクに手をやり、力まかせにもぎ取り、宙に投げ上げた。 アナン「ジルのばかやー、ばかやー、バックリ太郎」 アナンはチェリタに背負い投げを食らわせた! アナンの中に目覚めたバックリ太郎の戦闘力は既に銭湯で戦闘出来る程に達していた。 アナン「さて、城之内茂ってのはどいつだ?」 辺りを静寂が包み込む。ただチェリタの瀕死の息吹だけがこだましていた。 アナン「・・フッ、さすがに自ら名乗り出る奴はいないか。では、ピーピーうるさいひよこ達にあいさつするまでだ!」 アナンは指先に気を集中し始めた。たちまち昼間だというのに空が暗闇に包まれる。 アナン「はぁぁ~、くらえっ、必殺ひよ・・」 ??「ま、待てっ!わしがその城之内・・」 アナン「・・こフラァッーシュッ!!」 アナンの放った凄まじい閃光により、たちまち辺りは焼け野原と姿を変えた。 アナン「城之内め、やはりここにもいなかったか。俺のデービスをこんなにビンビンにした罪はこんなものでは済まさんぞ…」 アナンはデービスの収納に毎朝苦慮している事をストレスに感じていた。あまりのストレスに髪の毛も薄くなっている箇所があるが、最近はジルのマスカラでごまかしていた。 アナンはすかさずズボンのチャックから鼻パックを取りだし、使用した。 バックリ太郎の黒いオーラによって毛穴も黒ずみ、鼻パックをすると剣山の如く皮脂がそびえ立ったのを見て、アナンは我に返ったチェリタに対して、最期に問い掛けた。 アナン「これで・・よかったんだよな?」 チェリタ「・・あ、ああ。アナン・・よ、俺は、もうこの世に、な・・何の未練もないし、生きたくもない。一思いに・・」 アナン「つおっ!!」 アナンは自分の右足をニアミスしていったGに対して衝撃波を放った。 アナン「こいつめ、危なく俺のクララにクラッと来た観衆に対して更なる大サービスをするところだったぜ…」 アナンは城の解体工事に向かう事にした。 ちなみにチェリタはGに対する衝撃波の余波で痴漢を働き、現行犯逮捕された。 しかし、足がないと解体工事には間に合わないため、アナンは近くにあった自転車を拝借する事にした。鍵を放屁で破壊し、こぎ出したその刹那だった。 警官「く、くせっ!!」 アナン「よう、お疲れさん」 アナンは拝借した自転車のギアを一気に上げ、一路お城を目指した。 警官「フッ、ジェリーフィッシュの野郎、相変わらずだぜ・・」 お城へ向かうにはどうしても渡らなければならない橋がある。この橋を国民は瀬戸小橋と呼んだ。 アナン「ほう、今日もこの橋は相変わらず賑わってりんりんらんらんソーセージだな。」 ちなみに、その頃チェリタは自宅に大量の大麻が見つかり、再逮捕されていた。 瀬戸小橋はアナンが渡るには小さい、というか細すぎた。というのも、瀬戸小橋はTバック連結法で建築されていたからだ。 しかし、アナンはこの橋を自転車で渡る必要があった。偶然、旅立ちの日の前日にサーカス入門の講習を見た時のことをふと思い出した。アナンは滅多に遅刻などしないが、その日は前夜に遅くまでダーツに熱中してしまい、しかもかなり酒も飲んでいた為に、気がついた時はもう既に午前10時をまわろうとしていた。 アナン「やべぇ、入社以来初めてやっちったぁ。」 そして、そのまま二度寝して旅立ちの日を迎えていたのだ。 小橋では多くの人がTバックの上で絶妙なバランスを取りながらクスリを吸っていた。それ故、小橋で生活をする人々にはサーカスで活躍する者が少なくない。 ちなみに、その頃チェリタはさらに自宅に大量のTバックまで隠し持っているのが見つかり、Tバック取締法(通称ギャリック法)で再々逮捕されていた。 アナンは小橋賢治の髪形を意識していたが、どうもうまくいかないことに少し苛立っていた。 アナン「ちっくしょう、ちっくしょうーっ!」 アナンの叫び声により、数十人のしゃぶらー達が小橋から足を踏み外し、あえなく全員が絶命した。 アナン「悪く思うな・・。」 その頃、チェリタの初公判がミョンドルにて執り行われ、寝坊ですっぽかしたチェリタは規定により、無罪になるどころか、長州小力とテクニカルルーティーンまで演じる羽目になっていた。シンクロの練習をさぼっていたチェリタにとってそれは失禁を禁じ得ない誤算だった。 そんなことはアナンにとってはどうでもよく、瀬戸小橋を自転車で渡る事を断念したアナンは手刀で真っ二つにして一輪車にしようと試みたが、案の定手を痛めた。それどころか尻が割れ、4つに分かれてしまった。 アナン「ちっ、昔の古傷か…む、そういう事か!」 アナンは思い出した。ある言い伝えを。尻が4つに割れし時、それが8になるのか16になるのかは己の運次第だ。 アナン「俺は・・、8も16もいらない。ただ、ジェリーフィッシュの誇りを取り戻したいだけなんだ・・」 夕暮れ迫る渓谷で、アナンは搾り出すようにそう呟いた。まるでかつての王、バックリ王に誓いを立てるかのように・・ ‐ナレーター‐ JC.600年、そのジェリー聖力により、地の世界を完全に制覇したと言われる伝説のジェリッシュ民族。その最後の継承者、アナンの物語はこうして始まったのである。 ‐BGM‐ オープニングテーマ「アナン伝説」Fade-in

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