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第3章
『悲しみの果てに』

ジョナタンとの死闘から約三ヶ月が過ぎたが、アナンは以前キタノハーテにいた。MAXパワーの阿南芳香拳で遂にジョナタンを屠ったが、母親レナを失った悲しみからはまだ抜け出せずにいた。

アナン「ふぅ・・・」

全身複雑骨折の傷もまだ完全には癒えておらず、窓の外に広がる雄大なキタノタカイヤーマ山脈を一日中眺めてはただただ溜息をつくだけの生活であった。

アナン「・・母さん、なぜ・・」

窓の外から甲高い声が舞い込んできた。

ポルピニョーレ「よう、アナン!今日もいつものマウントウォッチングかい??」

ベイベ「アナン兄ちゃんッ!あたいらと一緒に小川まで遊びにいこーよー!」

アナン「・・いや、俺はいいよ・・」

ポルピニョーレ「おいおい、いつまでそんなしけた面してんだよッ!」

アナン「(・・頼むから独りにしてくれ)」

ポルピニョーレ「ばっちこい3人で小川へいくぞーっ!」

ベイベ「最近マウントウォッチングばっかりなんだから小川で気分転換しようよ~。」

アナンはそんなことよりも小川直也のマウントポジションから抜け出すのに必死だった。

ポルピニョーレ「なに一人でやってんだ?」

アナンは気付くと一人で暴れていた。

アナン「はっ、夢だったか…、夢でも小川直也に襲われるなんて素敵なぶぶらっつぃ~おぅ!ポルピニョーレで10円稼いでポンボンペケボンポルシュペーン♪」

ポルシュペーン「呼んだか?」

ベイベ「大体さ、そんなに山ばっかり見て何が楽しいのよ、このいけずぅ」

アナン「だまらっしゃい!」

アナンは三ヶ月ぶりに伝説の技、阿南芳香拳の構えに入った。

アナン「9倍だぁッ!」

ポルシュペーン「・・なんのッ!こちらはバンデントアターックチャーンス!」

ポルシュペーンは児玉清のものまねをする博多華丸のネタをパクってみた。

しかし市場の反応は薄く、日経平均は前日からマイナス80円で引けた。

アナン「ちくしょう、ちくしょう…」

アナンはまたも損を抱えていたようだった。

アナン「同じソンでも孫正義はあんなに儲かっているのに…」

ポルピニョーレ「アナン、そう決まったら準備だ、いくぞ~」

アナン「ところでポルシュペーン、お前は商標を侵害しているッ!」

アナンは指をビシッとした。

ポルシュペーン「なッ!」

アナンはポルピニョーレとポルシュペーンが似ていて紛らわしい事に気付いていた。

ポルシュペーン「そんなこと言ったってポルシュケルは俺の実の兄なんだ!仕方ないだろッ!」

アナン「・・誰だ?ポルシュケルって」

ポルシュケル「呼んだか?」

話が更にややこしくなり、アナンのイライラは頂点に達した。

アナン「ポルシュケル、ポルピニョーレ、ポルシュペーン・・。ポ・・ポンポン、スポポン、バカテンポッ♪」

ポルシュケル&ポルシュペーン「サタデーナイトにまた会おう♪(フッ)」

二人は思いっきり格好つけて去って行った。

アナン「ぐッ・・ぐふッ、ザクとは違うのだよ、ザクとはッ!」

アナンは急に強気になった。しかし、さらにアナンはポルピニョーレと以前出て来たポルフィーリィとの類似性にも気になっていた。

アナン「よし、お前は今日からルイージだ、喜べ。」

ポルピニョーレ(ルイージ)「なっ!何故に!?」

アナン「貴様も抵抗勢力か…郵政民営化に賛成しないサイヤ人など必要ないッ!ひよこフラァーッシュ!」

アナンは面倒なので戦闘力23にも関わらずかつてひよこフラッシュで一帯を消し飛ばした時くらいの適当なパワーでルイージを粛清した。

アナン「で、ベイベ。俺たちは何をウォッチしに行くんだったか?」

ベイベ「ポルペリーシュ峡谷にある小川よ」

アナン「・・なッ、お前までも抵抗勢力なのか、ベイベッ!世の中みんなポから始めりゃいいと思いやがって・・くッ、やむを得ねぇ・・」

アナンは静かに目をパチパチさせながらひよこフラッシュを放った。新必殺技のひよこパチパチフラッシュだった。

ひよこパチパチフラッシュはなんとアナンの限界を超える27の戦闘力を誇っていた。アナンにとっては寿命を縮めかねない賭けだった。
だがベイベは微塵の恐怖も見せることなく、冷静に言った。

ベイベ「こんなのよけるまでもないわッ!」

ベイベは気合砲だけで、ひよこフラッシュどころか、キタノタカイヤーマごと跡形もなく吹っ飛ばした。

アナン「(シュタタタタ流気合い砲だと!?俺のパチパチをかき消したばかりか、山脈まで消し飛ばすとは…恐れ入る)なかなかやるな、悪い、試したんだ。本当はポから始まろうとロから始まろうとどうでもいいんだ、ポンがロンに変わるだけであがれるかあがれないかだけの違いなんだ。」

アナンは謎の説明をしてみせた。

ベイベ「今ので50%くらいよ。」

アナン「じゃあ100%を出したら…いや、何でもない」

アナンは放送禁止用語をぐっと飲み込んだ。

アナン「じゃあそろそろ小川でピーしてピーしよーぜッ!」

ぐっと飲み込んだ反動でムセたアナンは、放送禁止用語を立て続けに連発した。が、放送局は見事にLIVEでカバーした。

所変わってここはバリジョリースTV局。

アリーシュD「よーし、よくカバーしたッ!お手柄は誰だ!?」

トニーAD「恐れながら、、僕があの禁止用語をカバーしました・・!」

アリーシュD「お前かトニー!よくやったよくやった!・・お前もつるへえの時は色々とあったがやればできるじゃねぇかッ!」

トニーAD「は、はいッ!」

ディレクターに初めて褒められたトニーADは、喜びを噛み締めて屋上へと駆け上がった。そして そこに誰もいないのを確認すると、一気に叫び声を上げた。

トニーAD「ひゃっほーい!わーいフラッーシュひよひよわーい!フラッーシュ!」

それは全て偶然だった。あまりの喜びのあまり、意味を成さない歓喜の叫びを上げたトニーADだったが、偶然ひよこフラッシュを発動してしまっていた。
しかもその威力は国一つを容易に滅ぼし兼ねないものだった。

トニーAD「(あわわわわわアワードを受賞してしまった…)」

トニーADは蟻の国を消し飛ばし、国際指名手配されていた蟻を抹消した事により、あわわわわわアワード(通称泡アワード)を受賞した。

その頃アナンとベイベは小川に到着した。しかし小川はベイベが吹っ飛ばした山のかけらや岩が散乱し、とても遊べるような状態ではなかった。

アナン「王手ッ!」

アナンはいつの間にか石の破片で将棋を作っていた。

ベイベ「後手、3-6歩。甘い!全ッ然甘いわ、アナン兄ちゃん!」

名人との大会を二週間後に控え、ベイベは些か神経質になっていた。

アナン「・・もう嫌だッ!」

アナンは将棋板をひっくり返した。

ベイベ「素敵・・」

ペホリーポピョルフ審判員「わんこそばはもう無いのか!?」

審判員はアナンたちの横でわんこそば大食い記録に挑戦中だった。

ベイベ「でもアナンお兄ちゃん、そんなことで将棋盤返ししてたら名人にKOされるわよッ!」

アナン「…そうだよな、わかったよベイベ、もう一度勝負だ!」

その時、ムリをしすぎた審判員が将棋盤の上にわんこそばを大放出した。

ベイベ「こっ、これは…伝説の一手、乱れ吐瀉流華・わんこそば流し!?」

気がつくと、将棋盤の上には、ベイベの王将の目の前に、アナンの歩が残っていた。

アナン「チェックメイト…だぜ?」

ベイベ「審判員を使うとは、やるねー、アナン兄ちゃん。・・でもね、次アタイの番だって知ってた??」

ベイベは目の前の歩を王将で難無く退けた。しかも、運の悪いことに、審判員の乱れ吐瀉流華・わんこそば流しでアナンの他の駒は全て全滅していた。

アナン「が、がびーんッ!」

ペホリーポピョルフ審判員「われながら諸刃の剣だな…使いこなせなければ待っているのは…死だ。」

ペホリーポピョルフ審判員は若干かっこいい事を言った。

『わんこそば 諸刃の剣 ホトトギス』

アナンとベイベのトレーニングは、2週間後の大会前日まで毎晩続いた。それは1日腹筋5回、腕立て2回、スクワット3回という激しいものであった。

そして、名人戦の日がやってきた。

アナンは全身筋肉痛だったが棋力は13から15に上がっていた。

アナン「ホトトギス、か…。」

会場に入ると思いきや、アナンは急に空高く舞い上がった。

ペホリーポピョルフ審判員「なッ・・、た、高い!」

アナン「将棋だと・・?そんな安い罠にはまるアナンとお思いか!・・もうこんな星などいるものかッ!地球もろとも宇宙のチリになれーッ!」

そう叫ぶとアナンはギャリー島田を人質に取り審判員に金銭を要求した。

ギャリー島田「うぉぅれが人質になっちまった~、ウィッ」

気がつくと、いつの間にかアナンの周囲を機動隊がとり囲んでいた。

アナン「明日の生活費はまだ用意出来ないのか!?」

そういえばアナンは借金漬けだった。

ベイベ「でも名人戦に勝てば賞金が出るわよ!」

アナン「な、なんだって~!」

アナンは知らなかった。それを聞いてアナンはギャリー島田を開放した。
しかしその瞬間、アナンは機動隊員に取り押さえられた。

ギャリー島田「うぉうむわぁえくわぁ、とぉうよぅさわぁ?」

ベイベ「そ、そんな、兄ちゃんが、、アナン兄ちゃんが・・。こ、こんなことって・・」

ベイベはギャリーを完全に無視し、ただ茫然と呟いた。そしていつの間にか、隣にVIPを従えていた。

ペニンスラ大統領「ギャリティンよ、大人しく観念したまえ」

大統領は国の要人らしく、ギャリーをコードネームで呼んだ。

ベイベ「アナン兄ちゃんを返せッ!」

その時ギャリーがニヤッとした。

ペニンスラ大統領「む、いかんッ!」

大統領はベイベの手を取ってその場から退散しようとした。が、不意にペポリーポピョルフ審判員が笛をピピーッと吹いた。

ペポリーポピョルフ審判員「セクシャルカード!」

ペニンスラ大統領は累積2枚目のセクシャルカードを食らってしまい、優勝を賭けた最終節に裸で出場しなければならなくなった。これが、レッドカードよりも恐ろしいと言われるセクシャルカードである。

なお、セクシャルカードはチャージすればショッピングに利用出来る事はあまり知られていない。

ペニンスラ大統領「あ、アニキッ!」

ギャリー島田「よせやい、アニキだなんて照れるじゃねぇか」

ペニンスラ大統領は独りでギャリティンを胴上げした。

ペニンスラ大統領「わーっしょい、わーっしょい、・・あ」

ギャリーは地面へたたき付けられ、折れた肋骨が肺に刺さる重傷を負った。

ギャリー「うぉうまぁえかぁ、とよすぁわぁ!」

アナンは静かにひよこフラッシュの構えに入った。

アナン「使えないギャリーなど必要ない」

ベイベ「ア、アナン兄ちゃん、待って!」

アナン「つおッ!」

ギャリー島田「ボットン便所に落ちちまうよぅ~。」

アナンはギャリーを最寄りのボットン便所の方向に向けて蹴り飛ばした。
ギャリーは何とか方向を逸らそうとしたが、肺をやられていたため、踏ん張りが利かなかった。

ギャリーは通常落ちるはずのない---効果測定のように---所に落ちてしまった。
あまりに勢いよく落ちたため、汚物が周囲に飛び散った。

アナン「…へっ、きたねえ花火だ。」

一方、ペニンスラ大統領は一般に壁と言われるFコードの前にBm7を乗り越えられずにいた。

ペニンスラ大統領「Fに似てるからなあ…これじゃ名もなき詩がハムナプトラにナチャウヨ」

ペニンスラ大統領は大分わけのわからない言葉を口走ったが、アナンは即座に食いついた。

アナン「きたない花火もハムナプトラにナチャウヨ」

すると、こえだめギャリーが反論した。

こえだめギャリー「・・臭い島田」

アナン「ちくしょう、やはり久々の2時まで仕事は堪えるということか・・。」

ギャリーは瀕死の重傷にも関わらず、ボットン便所から自力ではい上がって来ていた。

こえだめギャリー「くぁむぃぐちぃ~、効果測定落ちちまったよぅ~。」

ギャリーは自分が落ちたのがボットン便所なのか効果測定なのかの区別も付かなくなっていた。
そのショックで、先日購入していたミニロトが当選していたにも関わらず、こえだめギャリーは短刀を腹に突き立てた。

こえだめギャリー「止めてもムダだぁぞぅ、とぉよぅさわぁ!」

こえだめは勢いづいたが、不運なことに誰も止める者はいなかった。

こえだめギャリー「ぐッ、ぐふぅ!」

とぉよぅさわぁ「遅かったか!」

こえだめはその場に倒れ、異臭に耐えられなくなった他のメンバー達は、それぞれ思い思いの地へと帰っていった。
永久に続くと思われたこの無益な戦いを、こえだめがたった独り自らの死をもって止血の技術を身に着けるきっかけとなった。その後、ギャリーの残骸はそれが放つあまりの異臭により、あたかも放射能漏れを防ぐが如くコンクリートで固められ、海中へ適当に投棄された。
まさに、1章でアナンが予言した通りであった。

翌日。

アナンはいつの間にかどこかのマンガ喫茶で眠りこけていた。
目覚めると背中に何かが張ってあることに気付いた。
鏡に背中を向けて見てみると、そこにはこう書かれていた。

『バイバイ、カンチ』

アナン「・・ジ、ジェ二ファー!」

赤いリュージュで書かれたその短いメッセージは、それだけで何が起ころうとしているかアナンに的確に伝わっていた。ちなみに、ジェニファーとはジェニファー・ベイブルース(愛称ベイベ)、カンチとはアナン・カンチリドンシュのことである。

アナン「嘘だ嘘だ嘘だーッ!ジェニファーッ!!」

アナンは叫びながらマンガ喫茶を飛び出ようとしたが、ふと我に返り、店員に詰め寄った。

アナン「さっき女性が、女性が来なかったかッ!?」

店員「なぬ?先程出て行かれた方かも知れませんね…1時間くらい前でしたけど。」

アナンは急いで店を飛び出した。

店員「あっ、お代は…」

アナン「ペニンスラ大統領にツケといてくれ!」

アナンは店を出ると、魚をくわえたドラネコを追いかけて裸足で駆け出した。さらに軽量化のため走りながらTバック姿になった。

アナン「女ァ~、女はどこだぁ~!もはや誰でもよいわ~!」

アナンはヤケになり近くにいた女性のスカートの中にスライディングした。

アナン「おれをかくまってくれ~!」

シゲ子(75)「まあ見事なTバックだこと。それ頂こうかしら」

アナン「200ティバクーになります」

シゲ子「あら、安いのね。はい、それじゃ頂くわ」

シゲ子はアナンからTバックを奪い取ると、盗んだバイクで走りだした。

アナン「・・あッ!それは俺の盗んだバイクじゃないか!こんの盗っ人ババアめ、待てーッ!!」

アナンは下半身を激しく暴れさせながらシゲ子を追って駆け出した。

シゲ子「あかん、わて狙われとるやないの!」

本性を表したシゲ子はギアを切り替え、更なるスピードアップを計った。が・・。

シゲ子「ゲッ、ゲホッゲホッ・・ふひゅうふひゅう・・(パタン)」

アナン「あ、死んでる」

他界したシゲ子を見て、アナンはあることを思い出していた。

アナン「・・ジ、ジェ二夫…。」

アナンは昔飼っていた愛犬を思い出した。
アナンが小さな頃、家で家族のように過ごしていたジェニ夫。家族の中でも特にアナンとは毎日外へ出かけ、遊んでいた。
…ひよこフラッシュの練習台として。

アナン「あいつのおかげで今の俺があるんだよな…。」

それはアナンが初めて2倍ひよこフラッシュに成功したときだった。いつもジェニ夫を瀕死で寸止めしていたが、誤って2倍の出力でトドメを刺してしまったのだ。
その日アナンは急いでペットショップへ行き、ジェニ夫に似てなくもない老人(92)を連れ帰り、家族を欺いていたのであった。

アナン「そういやあの時はよくバレなかったなあ…やべっ、犬の事なんて思い出してる場合じゃねえっ!」

アナンはポケットから携帯電話を取りだし、奇声を発しながら付近の女性のスカートの下から撮影を試みた。

アナン「・・なんてな」

冷静さを取り戻したアナンは、自分でも気がつかないうちにエリート戦士の限界を超えていた。が、スカートの中を激写された女性達は憤怒の形相で既にアナンを取り囲んでいた。

アナン「ふぅ・・不思議だ。ヤバイ状況だってのに、なにこんなに落ち着いてんだ。オラおかしくなっちまったんじゃ・・がッ!」

女性の一人から脳天チョップを受けたアナンは、簡単に気絶しその場に倒れ込んだ・・


    • アナンは夢を見た。世界中で、のむなら乗るなのスローガンを通勤中の電車内で一人叫びながらハッパイチマイをヒラヒラさせていた。周囲の人間は出来るだけアナンから離れようとしていたように見えたが、通勤ラッシュの車内では困難であった。
さらにアナンはそれをいいことに、尻をもぞもぞさせ奇声を発しながら豪快な放屁までかまして見せた。
乗客は一瞬とまどいを見せたが、密室内でスカして周囲に沢山の容疑者を生み出す輩が多い中、逆に爽快さすらも感じていた…ようにアナンは思った。

そんな時、電車内にアナウンスが流れ、減速し始めた。

アナウンス「お客様に申し上げます。次のキタノハーテ新都心駅構内で放屁事故が起きました関係で、ホッポリョードラインは現在全線で運転を見合わせています。お客様にはお急ぎのところ大変・・」

それを聞いてアナンの周りにいた乗客は思った。

乗客「(放屁事故ならここでも起きてんだよッ!!)」

そんな乗客の心情を知ってか知らずか、アナンはぼやいた。

アナン「ったく、何だよ迷惑だなぁ!」

乗客「(テメェもな!)」

アナウンス「ぽーくびっつにお掴まり下さい、電車動きまーす」

電車は徐行し始めた。乗客は思ったよりも遅延は少なそうだと安心した。しかし朝家を出るのが遅れ、新都心駅でダッシュ乗り換えをしなければならないアナンは激しく焦っていた。

アナン「や、やっべーこ、この…このままじゃ、イ、イワシふっ、さっ、ぱっ」

すると、徐行していた電車は再び停止した。

アナウンス「お急ぎの所申し訳ありません。ただいま新都心駅構内で、イワシが線路に落下したとの連絡が入りました。現在救出作業を行っている模様ですので、しばらく停車致します。・・バイバイ、カンチ」

アナン「・・!!・・ジェ、ジェ二ファー!?」

アナンは先頭車両を目掛けてダッシュしようとした。が、車内はひどい混雑で身動き一つ取れない状況であった。

アナン「ちくしょう、こうなったらあれしかないッ!天津丼、技を借りるぜッ!太極拳!!」

そう叫ぶとアナンはゆったりとした動きで太極拳を始めた。が、振り上げた腕が乗客にぶつかり、なかなかうまくいかないようであった。

焦ったアナンはそのまま付近の吊革に捕まり懸垂を始めた。意外に順調に懸垂が出来て調子に乗ったアナンは一気に力を込めて電車の天井近くまで飛び、華麗な着地を試みた。
その刹那、電車は急カーブに差し掛かった。

アナン「いてっ!」

アナンは電車の壁面に激突した。恥ずかしさのあまり、アナンはいつの間にか盗んだテレビとWiiリモコンでテニスゲームを始めた。

アナン「いけっ、おりゃっ!ちっくしょ~」

当初コンピュータの敵に押されていたアナンだったが、何かを掴んだのかたちまち追い上げ、マッチポイントで並ぶに至った。

そしてアナンは最後に相手が打って来た球を捕らえ、思い切りスイングした!

アナン「これで極(き)めるッ!」

その時、勢い余ったアナンの手からWiiリモコンがスルっと抜け、見事にテレビ画面を粉砕したのだった。

アナン「痛(つ)ッ…!」

テレビ画面の破片でアナンは左腕から出血していた。

アナン「な、なんじゃこりゃあァ~!」

アナンは乗客を押し退け、前方へ向かった。
アナンのモミアゲはヒゲのエリアに達し、アナンは遂に先頭車両まであと一つというところまで接近した。
3両目で左腕に負った傷は思ったよりもたいしたことはなく、出血もほぼ治まりかけていた。

アナン「ちくしょう、あの下級戦士のハナクソ野郎め、この俺様から気高い血を奪いやがって!・・フン、まぁいい。ゴミの一粒くらいは放っておくか」

アナンは後ろを振り返ることなく、そのまま先頭車両まで突っ込もうとした。・・が、2両目は女性専用車両であり、ハッパイチマイもズタボロに近い状態・・という様相のアナンには、かなり厳しい戦いが予想された。

アナンもさすがに言葉を失い、若干のたじろぎを見せたが、不意に後ろを向き、腰をかがめた。まずは挨拶がわりの放物線を描くようにシャドウ放屁を放った。

アナン「ふっ!さっ!ぱぁーっ!」

しかし、アナンはシャドウで済ますつもりが中身まで出そうになった。
なんとか抑える事に成功したが、反発で噴射口から腸が一部はみ出してしまった。

アナン「島田ーっ!」

アナンは「しまった」と言おうと思ったが噛んで島田。

その瞬間、アナンの視界はブラックアウトした…。


アナン「ジャパーン!」

アナンは億千万の胸騒ぎがした。

アナン「ゆ、夢だったか…」

気がつくとアナンは手錠に繋がれていた。そう、アナンは脳天チョップは幸い致命傷までは到っていなかったが、アナンのエリート戦士としてのプライドはズタボロであった。

アナン「こな~ゆきぃ~♪」

アナンは窓の外で降りしきる雨を見つめながら、ウィンターソングをくちずさんだ。

アナン「あ~まりぃ~にも~ろくぅ~、はっはぁ~ああん♪」

その時だった!

取調官「コラー!真面目に聞け!触ったのかどうかを答えろ!」

アナンはハッと我に返った。

アナン「いや、太極拳の手が当たっただけで…!」

アナンは夢と現実の狭間で混乱していた。

取調官「太極拳だと!?そんな出鱈目に誤魔化されると思ってるのか!?」

アナン「粉雪のような白いぱんちーでした。」

取調官「…」

アナンは自白したと見なされ、5万ティバクーの罰金と、セクシャルカードの交付で釈放された。

アナン「プロレスは俺の人生なんだ…。」

外に出ると、冬を迎えたキタノハーテは一段と寒さを増していた。
街角の冬のスネタのポスターには屁・ヨンジュンがにこやかに微笑んで一般ピーポーを嘲っていた。
アナンは木枯らしに吹かれながら、そんな世の中を独り蔑んでいた。

アナン「世の中とは実に流動的だな。俺は一体どんな流れに乗っているのだろう。・・そしてこの物語も・・」

自らの物語に疑問を感じ始めたアナン。だが、次なる国で想像を絶する邪悪な渦に飲み込まれてしまうことになろうとは、この時は知るよしもなかった。