「答張士然」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

答張士然」(2009/02/02 (月) 00:59:38) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

**答張士然 同郷の友人張悛への返書として作られた詩で、 帝の行事に従った折の心境を詠んでいる。 潔身躋秘閣 秘閣峻且玄 終朝理文案 薄暮不遑眠 「秘閣に躋る」とは、中書令就任のことを指す。 導入の四句の意義は、行事の場面である外界との対比のための表現だと考えられる。 要職に就いた喜びではなく、宮中書庫の閉塞した情景を描写し、 さらに自分の労苦を添え、鬱屈した心情からの展開という構成をなしている。 五句目からは宮中から外界への場面の転換が行われている。 ここで描かれている情景は、この頃流行した仙界への憧憬ではなく、広大な田園風景。 整然とした人工的なものではなく、あるがままに流れる水。 命の恵みを感じさせる稲穂や木々。 東晋に出仕した身で、居合わせているのは東晋の祭りだけど、 懐かしい江南を思わせる風景に魂を揺さぶられる。 宮中から外界へという場面転換は、閉塞から解放へという意図を思わせる。 しかし、結局のところは晋の政権に仕える現実の自分の立場は変わらない。 導入に詠まれた心情のような、鬱々とした懐古ではなく、 心を刺激され、何かがゆるんだような気持ちの中で生じた苦悶。 摠轡臨清淵 戚戚多遠念 行行遂成篇 それが、「歩を進めるうちに詩が出来た」という言い回しと、 「清淵」という場面に反映されているのだろう。 ちなみに、第十五句の「戚戚」は『論語』述而第七の、 「君子は坦として蕩蕩たり。小人は長に戚戚たり」に基づいている。 自分の懐古の情をとりあげて、「小人」と自嘲しているのだろうと考えられる。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: