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**フィオレンティーナ戦史-2 渇きに襲われる都市 草花は枯れ果て、路傍には骸が山積する。 水さえあれば、地上に等しく活力をもたらす<アポロン>も、 今は残酷であるばかり。 それでも人々は、流浪の道を選ばない。 それは紛れもない彼らの選択。 日に日に苛まれる境遇から抜け出そうとしないのならば、 怨嗟の声を上げる資格とてない。 逃げることすらできず、 留まっても死しかないというのならば、 それはただ神の思し召し 死を受け入れる他に道はない。 それにも関わらず、神父は無知な民衆に 祈れば必ず救われるという。 与えるのはわずかな泥水だけ。 その度に彼らは水を奪い合い、骸が山と増えるばかり。 教会の深部では 大司教が顔色を蒼白にして、腹心の執政官を責め詰る。 左手の指に嵌めたルビーは禍々しい真紅 まるで盤上の駒の、無駄に流した血の色。 ああ 決断の時が来た。 瀕死の都市は城門を開き、 猛り狂うフィオレンティーナの兵を招き入れる。 三時間の略奪の後 再び<魔術師>は指先を動かし アルノー川の歪みは補修された。 徐々に復興するその都市と、覆い隠された不信感。 民衆に許された選択肢は隷属か反逆か 思考の暇も与えられない。 ああ、支配される側とは何と悲しいものかな。 戯れに顔を悲しみに歪め、<偉大なる>僭主はそう云った。 かつて栄華を誇ったピサ共和国。 今はただ都市の名を、フィオレンティーナの一部として残すのみ。

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