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赴洛道中作二首 其二


この詩は、故郷の呉を出て北へ向かい、洛陽へ赴く途中の作。
南方出身の上に、儒学を尊び自身も優れた儒者であった陸機は、
老荘思想が流行する晋の政界、社交界に馴染めず、苦労を重ねた。
そのためか、陸機の詩はしばしば旅情や離愁をテーマとしており、
この作品はその代表例だ。

この詩において、真っ先に強調されているのは道程の長さ。
呉から晋までの地理的な距離が描写されているところから、
呉に帰属する思想、文化や作者自身の心も晋からは離れていることを表現している。
本当は弟の陸雲とともに北上したのを、一人旅の情景という虚構を交えることによって、
寂寥感や郷愁がより際立っている。

振策陟崇丘
安轡遵平莽
夕息抱影寐
朝徂銜思往

導入とともに、道程の長さを描写する一句目、二句目を掘り下げる形で、
この三句目から六句目では地理的な移動、時間の推移が描写されている。
ある日、旅路は登り坂に差し掛かり、高い丘を越える必要に迫られる。
そうかと思えば、別のある日には広漠な平原を、
はるか遠くの見えない目的地に向かってただ進んで行く。
時ごと、日ごとに移り変わる景色とは対照的に、
自分の旅は単調で、昼も夜も寂しさを含んで思いにふけるだけ。

頓轡倚高巌
側聴悲風響
清露墜素輝
明月一何朗

続く七句目から十句目では、自然の情景描写に焦点が置かれている。
この時に吹いている風は、涼しげで心のわだかまりを
洗い落としてくれるようなものではなく、
冷たく、悲しい音で鳴く風だ。
また、そうした寒い季節には空気が澄み、冷たく冴えた自然を際立たせる。
清露、明月には怜悧なイメージが伴う。

こうした夜に、物思いに耽りながら冷たく美しい自然を眺めていると、
それに取りつかれたように魅入られてしまうものだ。
身をざわつかせるような感覚を共有すると、
離愁を詠んだ気持ちに驚くほどすんなり感情移入できる。