張宝


張角の弟にして地公将軍。右腕に雷神の紋章を宿し、雷を操ることができる。
元来、張宝は体も華奢で丈夫ではなく、将来を嘱望されてはいなかった。
何かと優秀な兄と比較され、その影のように扱われていたのは、
彼にとって苦痛でしかなかった。

気概だけなら誰にも負けないと叫んだその声は、空しく闇に消えていった……
……かと思いきや、俄かには信じられない運命が彼の生涯を変える。
澄み渡る空に突如立ち込めた暗雲から、一条の雷が張宝の体を貫いた。
薄れゆく意識の底で、<何か>が彼に語りかけた。

「この力を解放すれば、そなたの脆い肉体など粉微塵に吹き飛ぶやもしれぬ…
そなたにその覚悟はあるか?」

以後、張宝の雷は官軍に対しては戦場を駆ける槍となり、
雨の日には美しい閃光が弾ける花火となって、黄巾の賊徒達を楽しませた。
張角は天地の<気>を操り、雷が暴走しないように気を配っていたため、
右腕の紋章は彼自身によく従っていた。

しかし、張角を次第に狂気が蝕み、各地の蜂起軍も瓦解を始めるにあたり、
雷は歴史の流れに抗うにはあまりに無力であった……

本拠地の広宗を奪われ、下曲陽に追い詰められた張宝は、
再び官軍に対して雷槍を放とうとする。
しかし、制御できない力はまず媒介の右腕を吹き飛ばし、
張宝自身の体を砕き、敵味方とも多くが犠牲となった。

後に、張宝は皇甫嵩に斬首され、賊徒十万も同じ途を辿ったと伝えられる。
それはより味方の士気を高めるための虚構であることは、
天地のみが知りうることである。

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最終更新:2009年02月04日 13:37