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或る貴公子の悲劇-1


「おう、邪魔するぞ。 子建」

「え?」

 曹植は、後ろから呼びかける声に振り向いた。

「また此処に来ていたんだな」
 柔らかな草を踏みながら、曹彰は弟の側に近寄る。
「目が赤いぞ」
 共に並んで腰を下ろす兄弟。前を見たまま、兄は弟の肩を叩く。
風がさあっと吹く。草も、白く儚げな花も、僅かに靡いて心地よい音を立てた。
穏やかな時間が流れている。