冬薔薇の後
黄昏の庭を歩いて思うのは、
わたしが見てきたことばかり
蒼の間を流れた白と
草原の草花と蝶のこと
夏が去る度に思い出す
夜の窓辺に微笑む月は
黄色の木の葉を包み込む
かつて送った秋の景色
ふと立ち止まって思うのは
針の進んだその先のこと
春が来ないで冬ばかり、
続くとしたらどうだろうか。
冬薔薇の咲き誇る頃
人々は多くの血を流した
薔薇は言葉を封じ
人々を鎖につなぎとめた
雪の季節が過ぎた後
黄昏の庭を歩いて思うのは
遠い昔に流れた血が
忘れ去られてしまわずに
咲き誇る薔薇の淡い花弁が
人々に、美の女神に
愛でられるものでありますよう
最終更新:2009年01月01日 20:14