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其五


この詩は兄、嵆喜の従軍を送った折の送別の詩。
秋の月夜、酒や琴はあっても、ともに楽しむ兄がいないため味気ない、
と嘆息している内容。

ちなみに、冒頭の四句

閑夜粛清
朗月照軒
微風動袿
組帳高ケン

とその後に続く琴の描写は

乃ち高軒、飛観、広厦、閑房、冬夜粛清にして朗月 光を垂れ、
新衣翠粲として纓徽 芳を流すが若き、
是に於て 器は冷やかに 絃は調ひ、心は閑に 手は敏に、
触ヒすること志の如く、唯 意の擬する所のみ

という自身の「琴の賦」を踏まえた表現。
琴の賦では琴を一心に楽しんでいるんだけど、
この詩中では〝そのような楽しみも、兄上がおられないければ興味索然だ〟といって
惜別の思いを強調している。

乱暴に特徴付けするのは嫌なので、ざっくばらんに嵆康の文章の特徴を言うのは避けるとして
この詩の冒頭四句からは、<清浄>な気が感じられるんだよね。
情景を想像させて、読者を現実世界から引き離す。
そこは嵆康の精神世界で、続く内容を味わうのに絶好のフィールドになっている。

自分が嵆康になったように、
情景や感傷まで共有することができるんだよ。

しかも、字面は美しい感じで綴られているから、
とても心地よい、浮世離れした境地で作者との繋がりを作ることができる。

本当に、嵆康の詩を読んでいると
この人は高次元の存在と繋がっているんだなあと思う。