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其の二


都へ出て仕官している夫が、故郷で留守を守る妻を思い慕う詩。
其五を紹介した時に書いたとおり、この時代になると
詩に詠まれる情景の観察も微細化されてくるから、
丁寧に読んで情景を把握しないといけない!

一人暮らしで、夜には話す相手もいない。
仕事に没頭して充実している時には余計なことを考える余裕もないけど、
手持ち無沙汰な夜には孤独感に苛まれて、家もがらんと広く感じ、
心にぽっかり穴が空いたような心地がする。

そうして眠れずにいると、家の中に月の光が差し込んでくる。
庭に出てみると、澄んだ空に月が玲玲と輝いている。
この描写は、やはり冬を思わせる。
空気が澄んでいて、月が一番冷たく明るく輝くのは冬だからな!

月の光は目を通して脳漿に届き、主人公を魅了する。
庭は寒いし、立ったままでは落ち着かない。
しかし離れてしまうには惜しい気持ちが先に立って、
いつまでも月を眺めるのをやめることができない。

やっと傾いてきた頃になって、部屋へ戻って身支度を整え夜明けを待つ。
ふと眠気が忍び寄ってきて、うたた寝をする夢の中に妻の姿が現れて、
主人公の胸はさらに掻き乱されることとなる。

月や星が主人公の情感を繊細に彩る、象徴的に人の情景を描いた作品だと思う。

ちなみに、

寐假交精爽

という部分について。
前近代の東洋では、ある人が夢に現れた場合、
今のように〝自分がその人のことを思っているから〟ではなく、
〝その人が自分のことを思っているから〟自分の夢に現れた と考えていた。

だから、〝魂が交流し〟という言い回しになっている。
ただ寂しい、会いたいというだけではなく、

〝うたた寝のほんの僅かの間にめぐり合えたけど、
現実世界に引き戻されてからは、再び別離してしまった〟

という悲しみを詠んでいるんだと解釈した!