419系とは、日本国有鉄道が製造した交直流近郊型電車。
時は1980年代、これまで国鉄の地方路線において普通列車は、編成が長く非パターンダイヤの「列車型ダイヤ」で運行されていたが、1982年のダイヤ改正で、廣島地区を短編成で高頻度かつパターンダイヤの「電車型ダイヤ」に転換を図ったところ、功を奏し、それを全国に広めようとした。
しかし、交流電化の北陸地方においては、機関車牽引の客車列車か気動車が普通列車の運用に就いていて、これらの車両ではダイヤの高頻度化は不可能だった。
ということは電車を導入することになったものの、当時の国鉄の財政は火の車で、それだけの新車を投入する余裕はなく、まして直流電車よりもコストの高い交直流もしくは交流電車はなおさらだった。
そこで、相次ぐ寝台列車の削減により、余剰となった583系特急形電車を魔改造することにした。これで誕生した電車が419系である。
まず3両編成に縮めるため、中間車を先頭車化改造した。その先頭車化された車両の前面が、見た目から「食パン」と呼ばれるようになった。ちなみにその「食パン」の反対側の先頭車は、もとの583系と同じ形を保っている。
他にも扉の増設や一部の窓の開閉窓への付け替え、座席のセミクロスシート化、走行性能の変更(最高速度を落とすかわりに加速性能の向上)などを行った。ちなみに寝台はどうしたかというと、撤去がめんどくさいから天井に固定したままである。
こうして北陸地区に投入された419系は、しばらくして国鉄民営化を迎え、JR西日本の車両になり、登場当時の赤に白帯の塗装は白に青帯の塗装に塗り替えられ、さらには延命工事も施された。
同じく583系を魔改造し、東北や九州に投入された715系は1998年までに全滅したが、419系は延命工事とJR西のけちな方針もあってか、21世紀を迎えた今でも活躍中である。
しかし、新型車両521系の投入、増備によって、2011年までに退役することが報じられてしまった。