真北の大冒険 > 第39話 平和とそして新たなる挑戦


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デイン帝国の支配から解放され、激戦の爪痕が深い湖都大津に真新しい日章旗があちこちに掲げられていた。
そんな中、ガロインに亡命していた真北の母と兄康太郎、弟の槙次郎が帰国してくるという。その知らせを聞いた真北は、中部国際空港まで出迎えに行こう準備を進めていた。
中部国際空港、平盛17年2月に愛知県の知多半島の傍らに開港した真新しい空港、実はデイン軍は日本撤退直前に関西国際空港を攻撃し、司令塔は壊れ、滑走路には深い爆弾のたこができ、連絡するはずの鉄道や道路は寸断され、機能は麻痺した状態である。伊丹空港や八尾飛行場、岐阜基地、そして名古屋西飛行場も同じようにやらてれた。H-55Φの威力は恐ろしい。当然、デインの支配下にあったためか、後世では神戸空港が開港せず、大型機が降りれる中部国際空港に向かうことになったのだ。
真北の住んでいたメゾン船木は戦災で焼失していて、仮設住宅で暮らしていた。デイン軍が日本を支配していた頃の、家庭内に貼り付けを強制されていたアシュナードの肖像画がないのを見ると、平和な感じがするほかなかった。真北自身はアシュナードの肖像画が掲げられている住宅は見たことがなかったが、近隣住民の話を聞いてわかったという。
駅に向かうべく、荒れ果てた駅前通りを歩く。あちらこちらでデイン帝国旗やアシュナードの肖像画が壊される光景が見られた。

大津駅に到着した真北、ここから臨時急行で名古屋へと向かう。ホームには同じく離散した家族を出迎えようとする人々であふれかえっていた。
「あっ、島田さん」と駅員が声をかける。
「ああ、どうも」真北が返事をする。
「ご家族をお出迎えですか」
「無論そのつもりです」
「へぇ、やはりガロインに逃れられていたのですか」
「はい」
「やっぱ白いほうがいいなぁ、JR西の制服は」
デイン統治下の日本では、JRや各地の民鉄は解体され、デイン帝国日本総督府鉄道局が日本の鉄道全てを牛耳っていた。鉄道員の制服も、北朝鮮で見るようなカーキ色の軍服まがいのものだった。デインが撤退すると、すぐに元のJRの制服に戻ったという。
「この白いのもそろそろ最後ですわ」
やがて急行列車する。12両編成で車両は683系という特急形車両である。先頭には日章旗を基調にし「祖国解放号」と書かれていたヘッドマークが掲出されていた。列車は停車し、真北は乗り込む。しばらくして扉は閉まり、動き出す。ガロインの電気機関車の牽く客車列車とは違い、日本の特急形電車は加速が緩い。瀬田川を渡り、三上山を眺め、近江盆地を駆け抜けていく。
2時間半で名古屋に到着。ここから名鉄に乗り換える。名鉄名古屋駅は3面2線でありながら電車が頻繁に来るということで名が知られていた。やがて中部国際空港行きの電車が到着する。
中部国際空港行きの電車に乗り込んだ真北、名古屋も大津ほどではなかったが、ずいぶん荒れていた。特に知多半島を南下していくと、デイン軍の爆撃によって大打撃を受けた工場群が見えてきた。しかしなぜ中部国際空港は助かったのだろうと真北はつくづく疑問に思った。
40分ほどで中部国際空港に到着。真北、到着ロビーに向い、家族を待つ。

世界各地から日本人難民が次々と帰国していく。その殆どはやはりガロインや中国からだった。しかし、なかなか家族が現れない。真北はいまかいまかと腕をこまねいて待っている。すると空港内に放送が入る。
「クリミア発ガロイン航空9784便がまもなく到着します。」
母の便りによると、この便に搭乗しているらしい。真北の胸は鳴る。すると後ろから一人の女性がやってきた。
「島田さん、待ち遠しいでしょう」どうやら長髪で若い女性のようだ。
「なぜ私の名を」
「知ってますよ。あなたの活躍を」
「どこで知ったのですか」
「クリミア第3居留地で」
そう、あの日本人民軍の募集本部のあったところである。彼女はそこに逃げ延びて暮らしていたのである。しかし、どう見ても相本ではなかった。
「戦争なんてテレビ中継してないのに」
「いいえ、ニュースで大津解放の報いを知り、そこであなたが日の丸を掲げる写真が流れてました」
「ところで、あなたも誰かをお待ちですか」
「はい、この人を」と、女性はとある一枚の写真を出した。彼女ともう一人男性が写っている。その男性は何か赤いバスケットボールのようなスリーブレスのユニフォームをまとっている。
「元気な男ですな」
「元気そのものですよ」
いよいよ、9784便が到着し、乗客が大勢押し寄せた。真北はその人混みの中から家族を探し出すと
「いたぞっ」と、真北は手を振る。すると母と康太郎、そして槙次郎の姿が
「あっ、よかった」と真北の母は真北の方に抱きかかってきた。
「よかったよかった、みんな無事で」3人全員の無事を知り、安堵する真北。
さて、その女性が待っている男とは・・・
「あっ、星川君」と、その女性は突然声を上げる。
「星川君?」と、真北
するとその星川と思われる男が女性のもとに来た
「高野、よく迎えに来たな」と、星川はいう。星川の隣には家族も一緒にいる。そしてその女性の姓は高野だという。
「誰でしょう」と、真北は高野に訊く
「私は、高野優美と申します。」
「初めまして、星川弘と申します」
「こちらこそ」と、真北は高野と星川に握手を交わす。
「あなたが島田真北さんですか。お会いできて光栄です。私、星川健一と申します。弘の叔父で、こちらにいる蛭と玲の父親です。」
「こちらこそどうもはじめまして」と、真北は健一にも握手を交わす。
「こちらの女の人はどなたでしょうか」真北、健一の隣にいる西洋の女性が気になる。
「私の妻です。イギリス出身の」
「へぇ、イギリスですか」
「ということでイギリスに避難していたわけです。」
こうして島田家と星川家は駅まで戻り、帰りの特急で一緒に話をすることに。

「ええっ、ドッジボール?」と、弘の向かい側の席に座った真北はいう。
「そうなんです。」と、弘はいう。
「ドッジボール言うたら遊びでしかやらないよ」
「いや、スポーツでやってるんです」
実はこの後世日本では、日本発祥のスポーツとされドッジボールが盛んに行われ、特に愛知県ではドッジ王国とまで言われているほどの人気だという。
「でもイギリスじゃ人気ないはずじゃ?」
「さすがにそうですよ。イギリスの友人からは『ドジャー』とあだ名が付けられるくらい奇異な存在なんです。」
「ああ、ドジャーズのドジャーね、DODGER」
「でも綴りはなぜかDOTCHERなんですよ。」
「で、日本に帰ったら何するんですか?」
「ああ、鉄道に就いてその傍らでドッジをやろうと」
「そうか、俺と同じ鉄道員になるというのか」
真北も、何か一つあることを思い出す。そう、それが次なる彼の目標というべき物だという。果たして、それは何か。そして、救国の英雄よ、ありがとう。

第4部 完
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