170 :名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 04:06:33 ID:cSvlgnVl
少しだけど書いてみました。
投下します。





「はあ…」
昼休み。
私は本日何回目かわからないため息をついた。
彼を見ながら…

「ち~あ~き!」
「あ…ひかりちゃんとゆかちゃん…ご飯食べたの?」
二人は私の親友のひかりちゃんとゆかちゃん。
二人とも明るく元気でいつも私は二人に振り回…いえ、引っ張ってってくれます。
「いま食べてるじゃん。…また真田くんの事見てたね。由夏」
「じっと見つめてたね。いやらしく…」
「そんな目では見てないよ~…ていうか見てないよ…」
「顔真っ赤だし。」
「本当ちあきは顔に出るねーまあそこが面白いんだけど♪」
私はいつも二人に弄ばれています。
というかクラスの女の子からは大体そんな感じです。
でも二人がいなかったら私は他の人と話せなかったでしょう。
だから二人には感謝してて、大好きです。

「千秋ならいけるよね。意外とスタイルいいし。」
「背はちっちゃいのにね…羨ましい」
「そ、そんな…」
「でもな~あと二百倍積極的にならないと…真田くんバ…いや天然だから気付かないよ?」
そ、それはわかってるんだけど…
クラスでも結構人気だから…私じゃ無理だよぉ…

171 :名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 04:10:28 ID:cSvlgnVl
「が、頑張る…」
「その台詞、50回は言ってるね」
由夏ちゃんは容赦ないなあ。
「絶対千秋にもチャンスはあるから頑張りな!」
「ひかりちゃん…ありがとう…」


確かにもっと話したいなあ。
今のままじゃダメなことは分かってるんだけど…
席隣なのに…
辛うじて「おはよう」って言えるぐらいだもん。
前に進まなきゃ…
前に進む勇気ってのは与えられるものじゃないから自分で掴まなきゃダメだよね…

「ただいま…」
「おかえり~」
出迎えてくれたのは唯お姉ちゃん。
私とは正反対の性格で彼氏もいて、憧れちゃいます。
お姉ちゃんを見習わないとな。


「何でもいいのよ。とにかく喋ること。数が大事よ!」
「た、例えば?」
「そう言えば彼バスケ部だったよね…今度の試合いつ?とか」
真田くんはバスケ部でバスケをしている時は別人みたいに格好いいのです。
結構有名みたい…
普段の彼もバスケをしてる時の彼も好きです//
「まあなんでもいいけど話さないと始まらないからね!」
「は、はい!」



やっぱり話せてないのね。
う~ん。まあ急に話せと言っても無理な話か。
なんかきっかけがあればいいんだけどね。
あの子の悲しむ顔は見たくないし。
ま、私もアドバイスぐらいはするからがんばんなさいよ。




ふう。
もう寝よう。
そろそろテストと文化祭だ。
明日はしゃべれますように…
大好きな真田くんと…

172 :名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 04:13:15 ID:cSvlgnVl
やべぇ…
テストのこと忘れてた。
赤点だと部活出れねぇし。
なんでそんな漫画みたいなルールが…
よし。早く行って勉強しよっか。朝練ないし。
よっしゃ行くか!



あれ?早過ぎた。
誰もいねぇや。
ま、いいか。それじゃ数学から…

ー十分後ー
「くっそぉ…なんだこれ…」
やっぱ一人じゃこうなるのがオチか。誰か来ねぇかな…

ーガラガラー
来た!
川元さんだ。
ん……?なんかすごいキョロキョロしてるぞ。
なんだ犬でもいんのか?
お、やっとこっち来た。
なんでそんなに下を向くんだ?
ま、いいや。これ聞こう。
急がば回れだ!



「おはよう。川元さん」
「あっ…お、おはひょ!き、今日は早いんだね…」
「うん!明日テストだからね!あ…そうだ!ここ教えて」
「ええっ!わ、私がそんな大役…」
「えったい焼き?好きなの?」
「そ、そんな嫌いではないような…」
「まあそれはどうでもいいから教えて!」
「は、はい…!」


「うん!わかった!川元さん教え方上手いっす」
「……!そ、そんなこと!」
ん?顔赤いぞ?
熱あんのか?
「本当にありがとね!あ、風邪には気をつけてね!」
「う、うん」
これで何とかなるかな。
川元さんに感謝だ。
それにしてもすごくオドオドしてたな。
なんでだろ?

173 :名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 04:17:17 ID:cSvlgnVl
ひゃ~。
真田くんと話してしまった。
しかもたぶん過去最長だ!
凄い緊張したけど凄い嬉しい!
神様ありがとう!



「…ねぇ由夏。」
「うんわかるよ。だって一人でニヤニヤしてるもん。真田くんも不思議そうな顔して見てる…原因作ったのあなたですけど」
「もっともっと二人を近付けないと…あっ、そうだ!」
「なに?」
「今日文化祭の係決めじゃん。それで…真田くんと…」
「ほうほう。それいいね!」



「ち~あき!」
「ん?なに?」
「文化祭の係の事なんだけど…あの係一緒にやろう!」
ひかりちゃんがビシッと指を指します。
「うん…いいよ!」
二人が一緒なら楽しくやれそう!
その時二人がなんかニヤリとしたけど…まあいいや!
係決め…六時間目か…ふ~ふ~ふふ~ん♪

276 :174:2008/09/14(日) 02:17:53 ID:0C1EkrHr
六時間目。
文化祭の係決め。
わたしは由夏ちゃんとひかりちゃんと同じ係をやることになります。
そろそろ順番かな…


「えーじゃあこの係やる人いますか?」
わたしが手を上げると、周りは誰も上げてません。
やった!


あれ?
ひかりちゃんと由夏ちゃんも手上げてない。
なんで…しかもなんかニヤニヤしてる…
ひかりちゃんがわたしに隣を見ろって指さしてる…なんだろ?



「かかったね…」
「うん。これで二人は付き合うね…」
「そこまで行っちゃう!?」
「たぶん…」



ん。なんだ野上のやつ騙しやがったな。
ま、いいや。
川元さんと一緒か。
「よろしくね。川元さん。」
「あ、あ、う…はい…」


…なんかすげぇおびえてる…俺のこと嫌いなのか?
めっちゃ口パクパクしながらキョロキョロしてる。
魚みたいだな。
ま、なんとかなるか!

277 :174:2008/09/14(日) 02:20:30 ID:0C1EkrHr
「二人ともひどい…よく見たらあの係ふたりだし」
「それはちゃんと見なかったあんたが悪い!まあ、でもいいじゃん。真田くんと同じ係になれたんだから」
「…!そ、そうだけれども…二人きりだし、なに喋ればいいかわかんないよう…」
「こらこらすぐ泣きそうにならない。これはチャンスでしょ。早速放課後から準備はじまんだからがんばんなさい」
「う…うん…」



そして放課後。
私達がやるのはこのクラスの出し物(お好み焼き屋さん)を宣伝するポスターを作る係です。
絵を書くのは好きなんですが、真田くんと二人きりなんて…
「じゃあ始めよっか。」
「あっ、は、はい…よろしくお願いします…」
取りあえず挨拶からだよね。
「そ、そんな俺偉い人じゃないから、敬語じゃなくていいよ」
しまった!気遣わせちゃったかな…
「あぅ…ごご、ごめんなさい…」
ドキドキして上手く喋れない。



「…………………」
さっきから気まずい沈黙が続いてる…
こんな暗い女の子じゃだめだよね…
絶対もっと明るい女の子の方が…
「できた!」
「…え?…っぷ!…ふふふっ!」
突然真田くんがわたしに見せたのは一枚の絵。
たぶんポスターのイメージみたいなのかな。
真田くん…絵あまり上手くないのかな?

278 :174:2008/09/14(日) 02:23:13 ID:0C1EkrHr
わたしが笑いをこらえていると、
「あ、笑ったな…」
「…あ!ご、ごめんなさいっ!」
またやっちゃった。
真田くんだって頑張って描いてるのになんと失礼なことを…

「まあそれはいいとして…やっと笑ってくれたね」
「……え?」
「さっきからずっと下向いてたり、黙ってたからさ、笑った顔見てみたかったんだ」
そう言って真田くんがニコっと笑う。
「あ、ありがとう…」
その笑顔にドキっとしながらお礼を言う。
わざとわたしの緊張ほぐすために描いてくれたのかな?
優しいな…ますます好きになっちゃう…
「じゃ、川元さんも描いてみよう」
「は、はい!」




よし。
これでわざとへたくそに描いたって思ったかな?
それにしても…見た瞬間笑われるとは…結構自信あったんだけどな…
でも、川元さんの笑った顔、かわいかったな。
もうちょい見てみたい気もする。
取りあえず、俺が絵描くのはやめようか。
客来なくなる。

最終更新:2009年10月25日 17:38