193 :名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 17:14:49 ID:knix7v0Y
ガヤガヤ…

「あ、あの~……」

ガヤガヤガヤ…

「み、みんな~静かにしてよ~」

教卓から俺の幼馴染み、梨香が声を掛けるが、一旦騒がしくなった教室は止まらない。

「あ、あう~…」
梨香が情けない顔で困っている。
あいつ童顔だから、ますます幼く見えてしまうのは気のせいなのか?

「ううっ…どぅして…」
まずい。あの表情は……
「ぐすっ…ひどいよ……もう知らないもん」
教室を飛び出した梨香を俺はあわてて追い掛ける。
背後から冷やかしの声が聞こえたが、そんなものは気にしない。
…あとで殴るが。


「ぐすっ……ぐすっ」
校舎の屋上に上がると梨香はべそをかいていた。
「おいおい、いつもの事なんだから慣れろよ。うちのクラスが騒がしいのには…」
「ぐすっ…謙ちゃん……わたし、一生懸命やってるのにぃ…」
「わかってる、梨香は真面目にやってるさ。
…あいつらだってそれは分かってる筈さ」
「…だったらどうして…(ヒック)…わたし…(ヒック)…どうして…」

むっ、意外に重症かもしれんな。
「泣きやめよ。泉挽屋のパフェ奢るからさ」
「…わたしのことまた子供扱いしてる…ぐすっ」

……しまった。選択を間違えたか。
「謙ちゃん、いつも食べ物で機嫌とる…やっぱりわたし…(ヒック)子供っぽいんだ…」
「そ、そんな事はない。俺にとっちゃ十分魅力的だy」
「…証明して」

そういうと目を瞑って、心持ち顔を上げる梨香。
…アレだよな。この姿勢と期待する顔付きは。
「…………」
仕方ない。俺は梨香の柔らかい唇を見つめ、ゆっくりと顔を近付けた…


この後、教室に戻った俺が首謀者三人(男子二人に女子一人)の頭をどついた事は言うまでもないだろう。

「謙ちゃん横暴!!」
「こらっ、星野!!
ちゃんと『上杉先生』と呼べって何回も言ったろーが!!」

最終更新:2009年10月25日 17:55