大学受験も終わり、オリエンテーションの時期となった。
各サークルとも、早くも新入生の勧誘に余念がない。
私たちのような弱小サークルも、ある程度の新入生が入ってこないと活動費が削られるとあって
一年生を中心に特別チームを作り、チラシを配ったり立て看板を作ったりしている。
私もそのチームの一人だけれど、引っ込み思案な性格が災いして
うまくチラシを渡せないでいる。
…どうしたら、受け取ってくれるかな。
残されたチラシの山を見てため息をつく。
『今年は四年が多いからなー。抜ける分新入生獲得しなきゃいけないから頑張ってくれよ!』
そう声をかけてくれた先輩の声が耳によみがえる。
期待してくれてるのに、ちゃんと成果を出したいのに。
気持ちばかりが焦る。
「…こうなったら…」
先輩が提案してくれたけれど、私には無理と断った企画。
あれをやるしかない!
私は勇気を奮い立たせて、いったん部室へと戻った。

効果はテキメン。
それまでと同じ場所にいるのに、オリエンテーションを終えた新入生たちがチラシを持って行ってくれる。
こちらから渡そうとしなくてもわざわざ寄ってきてくれる人もいて
周囲が賑やかになり、さらに人ごみに興味を持った人が様子をうかがいにくる、という連鎖。
あっという間にチラシはなくなり、「絶対に入ります!」と言ってくれた人もいた。
これも先輩のアイディアのおかげ。
がんばってよかった…と私は達成感に浸っていた。

今年のそのサークルの新入生部員は男子学生がやたらと多く
入部理由は「ミニスカ+ハイソックスではにかみながらチラシを配るメイドさんにまた会いたかったから」が最多だったそうだ。

最終更新:2010年03月28日 11:46