- 153 :名無しさん@ピンキー:2010/07/04(日) 23:15:34
ID:9atExKiE
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「お、俺は、沙亜のことが好きだ!」
「えっ、大樹くんが私を・・・ ふみゅうぅ・・・」
「だ、大丈夫か沙亜!?」
そんなこんなで始まった二人の恋人生活も、少しずつ進展していっていた。でも、沙亜は大樹が触ろうとすると真っ赤になって口をパクパクして拒否しているのは変わらなかった。
沙亜が自分の部屋のベッドに横になっていると、家のチャイムが鳴った。
出てみると、息を切らして膝に手をおいている大樹がいた。
「いきなりごめん。お母さんに家を追い出されてさぁ、断られるのを承知でお願いするけど、泊めてくれない?」
「えっ、えぇっ!」
あたふたする沙亜。
そして、眩しそうに沙亜を眺める大樹。
(今日はお母さんもお父さんも帰ってこれないって言ってたし大樹くんを家に上げてもばれないけど、でもでも・・・)
「やっぱりだめだよな。ごめん」
(でも、こんなチャンスもうないよね・・・ 勇気出さないと!)
「だ、大樹くん」
沙亜は帰りかけた大樹を呼び止めた。大樹は振り向く。
「えっと・・・ と、泊まってもいいよっ!」
「えっ!?」
「ちょ、ちょっと部屋片付けてくるからっ!」
沙亜は階段を駆け上がった。そして踏み外した。
大樹が玄関で待ってる間、二階からは何度か大きな音がした。
何をやっているのだろうか、沙亜が悲鳴を上げたりしている。大樹は大丈夫かとても心配だった。
小一時間ほどたって、沙亜が階段から顔を出した。
「・・・いいよ」
「了解」
沙亜は大樹を父の部屋に案内した。
「ここなら・・・使っていいから」
「わかった。ありがとな」
大樹が沙亜の髪の毛を撫でようとすると、沙亜が真っ赤になって逃げた。
その勢いで部屋から出ていった。
大樹はそこにあったベッドに入った。
そして天井を眺める。
(沙亜は今日は珍しいなぁ。家に入れるなんて、普通じゃ考えられない。
以前の沙亜なら俺が家に来るだけで、驚いて腰を抜かしていたのに)
沙亜も自分のベッドに潜っていた。
一人で喜怒哀楽に夢中になっている。
(勇気を出さないと! 寝てる間に、その、キ、キ・・・キス・・・
だめっ! そんなの無理だよぅ・・・ せめて触るくらいなら・・・いや、でも・・・)
- 154 :名無しさん@ピンキー:2010/07/04(日) 23:16:18
ID:9atExKiE
- 時計の短針が重力に逆らって回るのをやめた頃、沙亜は自分の部屋をこっそり出た。
大樹が寝ているはずの父の部屋に向かう。
そしてドアの前で意気込む。
(頑張るの! ね、ねてるから大丈夫!
もし、起きてても、私のものをお父さんの部屋に置いてきたし、言い訳できるし・・・)
沙亜はドアノブをゆっくりと回し、こっそりとドアを開いた。
大樹が親への言い訳を考えていると、ドアから一筋の光が入ってきた。
一緒に入ってくる沙亜の影。
(何しに来たんだろう? 外では見れない沙亜が見れるかも。
寝たふりして、何するか見とこうかな)
沙亜はまっすぐに大樹の枕元まで来た。
目をつぶり、顔を手で覆う沙亜。
何かを呟いているようだ。
一時の後、沙亜は掛け布団から出た大樹の手に向かって手を伸ばした。
恐る恐る伸びる手。震える体。ぎゅっとつぶった目。
(可愛いなぁ)
大樹はじっと見守った。これが沙亜にとって精一杯の勇気だろうから。
どのくらいの時間がたっただろうか、沙亜の手が大樹の手に触れた。
触れた瞬間、沙亜はビクッと震えた。目を一層強くつぶる。
そして手が震えながらも、すりすりと大樹の手を触る。
(あっ! 触っちゃった・・・は、恥ずかしいよぉ・・・
もう、恥ずかしくて死んじゃいそぅ・・・)
手を離す。まだ手に感触が残っている。
やっぱり恥ずかしくて、こっそりと、かつそそくさと部屋を出ようとした。
しかしそう思ったのもつかの間、沙亜の腕は強く引っ張られ、そのままベッドに飲み込まれた。
「やれば出来るじゃん、沙亜」
「うひゃう!?」
大樹は縮こまった沙亜を見る。
目が渦巻きになったように沙亜はぐったりしていた。
「沙亜」
「い、いつから・・・気付いてたの?」
「そりゃもう、初めからかな」
「!」
沙亜はボンッと音が出そうなくらい急に意識を失った。
(今日はここまで出来たんだから、今日はここまでにしておこう。
全部一気に段階踏むと沙亜も疲れるだろうしなぁ)
大樹は気を失った沙亜の横で眠りについた。
朝起きて沙亜を起こしたら驚いてベッドから落ちて、ドアにぶつかってから部屋に戻ったのは余談。
こうですか? わかりません><
最終更新:2010年07月05日 09:39