古代文字はルフェラ・ディス文字とも言われます。
エウシェンが人々に言葉を与え、ルーフェロがそれらを操れるようにと文字を与え、グウェンドリンが広めるために歌を作って与えた。
これら原始の言葉には力があり、音楽もまた同様で、それらを自在に操れることは識者であると同時に術師でもあった。
人々は神々を讃える歌と祈りをたくさん作り、それらが捧げられると神々は信仰から力を得た。
(創生神話より)
原始の言葉には力がありました。
それを自在に操れる(呪文であれ、書くと言うことあれ、歌うことであれ)ということは、術師であることを意味しました。彼らが唱える言葉、神への祈り、賛歌には神に力を与えるという目的があったのです。
人々はその力をもっと自分たちの生活に取り入れ、剣を作るときに破魔の呪文を打ち込めたり、楯を作るときにいっそうの防御効果がある言葉を刻みました。
しかし古い言葉は次第に失われ、貴重な文献は失われたり焼かれたりして散逸してしまいました。
今も人々は細々と研究を続け、身の回りの品々や魔術に生かしてはいますが、往時の勢いや力はまったくありません。詠唱に必要な一部不明な部分を、過去にはなかった触媒や媒体(薬草や魔石、あるいは呪物など)を使用して補うこともよくあります。
この失われつつある力をギルドという形で秘術を伝え続けたり、今もなお文献を保管していたり古代文字を読めるというエルフたちによって古代文字のもつ力は護られています。
(極めすぎて邪術に走ると、ダークエルフになってしまうわけですが)
なので、魔道士たちや詩人たちの中でも上級の術者たちは、この力ある原始の言葉を操り、文字を空中に刻み、護りを、あるいは破壊をもたらす力を発揮できるわけです。
詠唱は元々が神聖な祈りや賛歌だったため、相当な集中力と気力が必要です。詠唱中に雑念が混じったり敵の攻撃を受けると、当然、呪文は力を発揮できません。ですので、怪我を負っていたり体力が著しく低下している場合は、威力のある高等詠唱はできませんし、普段でも前衛の護衛、あるいは安全に離れた場所からの詠唱が望ましいです。そして当然ながら、詠唱は消耗します。
同時に、祈りの力と言うものも衰えておりません。
人は信じる神に祈りを捧げ、願いが聞き届けられれば讃美し、それはまた再び神の力となって還元されます。
いわば、誰も省みることの無くなった神は、だんだんと力を失いやがて消滅してしまうと考えられています。