201 :199-200:2006/05/17(水) 11:59:27 ID:???
――――時は少しばかりさかのぼる。
――――時は少しばかりさかのぼる。
「敵使徒に上陸されましたっ・・・!」
モニターには、数時間ほど前に発見された使徒の姿が映っている。
昆虫のような、爬虫類のような、なんともいえないフォルムは、神の使いの名にふさわしいとも言える。
昆虫のような、爬虫類のような、なんともいえないフォルムは、神の使いの名にふさわしいとも言える。
「引き続き、誘導爆撃を続けろ!」
発見直後から、国連軍と戦略自衛軍は使徒への攻撃を続けていたが、
予想通り、ATフィールドにはばまれ、髪の毛一本ほどの傷もつけられずにいた。
予想通り、ATフィールドにはばまれ、髪の毛一本ほどの傷もつけられずにいた。
「どんな手段でもかまわん!目標の進行速度を抑えろ!時間を稼ぐんだ!」
ここにも一つの戦いが生まれていた。
202 :199-200:2006/05/17(水) 12:14:56 ID:???
「日重工からの連絡はっ!」
「JAの実戦可能稼動率に到達するまでに、あと一時間かかると!」
「日重工からの連絡はっ!」
「JAの実戦可能稼動率に到達するまでに、あと一時間かかると!」
怒号の飛び交う中、JAの状況が伝えられる。
「大型VTOL戦闘機部隊は!?」 「第五大隊が一分後に到達予定です」
戦況はあまり芳しくない。こちらにまだ死者こそ出ていないが、一方で敵にもダメージはない。
近接戦闘以外に傷をつけられない相手に、もはや敵の進行速度を落とすことしか打てる手はなくなっていた。
近接戦闘以外に傷をつけられない相手に、もはや敵の進行速度を落とすことしか打てる手はなくなっていた。
数分後。VTOL機が戦線を展開する。
さすがに、蠅のようにあたりを飛び交うVTOLが鬱陶しくなったのだろうか。
使徒は滑空をやめ、コブラが敵を威嚇するように頭をもたげた。
さすがに、蠅のようにあたりを飛び交うVTOLが鬱陶しくなったのだろうか。
使徒は滑空をやめ、コブラが敵を威嚇するように頭をもたげた。
「そのまま使徒の気をひきつけろ!特科にSRBM発射用意を・・・ 『――バシィン!』
203 :199-200:2006/05/17(水) 12:24:39 ID:???
「4番機、大破!」
「4番機、大破!」
突如として使徒のまわりに光る触手のようなものが現れ、一機の戦闘機を叩き落す。
「くっ、全機、離陸体制をとれ!使徒の攻撃範囲から脱出しろ!」
まるで鞭のように触手をふるい、次々と友軍機を叩き落していく。
VTOL機も急いで回避行動を行うが、使徒の鞭は思いのほか射程が長い。
もはや、戦闘機軍の全滅は時間の問題に思われた。
VTOL機も急いで回避行動を行うが、使徒の鞭は思いのほか射程が長い。
もはや、戦闘機軍の全滅は時間の問題に思われた。
「ちくしょうっ・・・撤退だ!全機撤退だ!」
悔しさに滲む命令が司令所内に響き渡る。
あとに続いて使徒に攻撃する予定だった国連空軍もあわててきびすを返す。
あとに続いて使徒に攻撃する予定だった国連空軍もあわててきびすを返す。
「俺達は、こんなにも無力なのかっ!!!!」
――――そのときだった。
204 :199-200:2006/05/17(水) 12:38:02 ID:???
「日重工より入電!ジェットアローン、実戦稼働率に到達!空輸準備に入りました!」
「日重工より入電!ジェットアローン、実戦稼働率に到達!空輸準備に入りました!」
日本重化学工業共同体からは、ついさっき、JA配備まで一時間はかかると連絡をうけたばかりだ。
まだ、先の連絡から30分ちょっとしかたっていない。足止めに失敗して、このタイミングでの連絡・・・。
もしや、という不安が彼の頭をよぎる。稼働率が実戦可能域に到達しないままに・・・・!?
まだ、先の連絡から30分ちょっとしかたっていない。足止めに失敗して、このタイミングでの連絡・・・。
もしや、という不安が彼の頭をよぎる。稼働率が実戦可能域に到達しないままに・・・・!?
「それでJAの稼働率はいくらだ!?」
「そ、それが、すでに98%に到達したと・・・!」
「なんだとっ!」
「そ、それが、すでに98%に到達したと・・・!」
「なんだとっ!」
・・・いつもアイツは俺を裏切りやがる。それも、いい意味で。
『今からすぐ向かう!それまで頼む!』
スピーカー越しに彼の耳に届く時田の声は、自信に満ち溢れていた。
「よぉしっ!皆、JA到達までもう少し頑張るんだ!全方位から誘導ミサイルでプレッシャーをかけてやれ!」
かつてない爆音が、 使徒を包んだ。
208 :199-200:2006/05/18(木) 01:15:06 ID:???
JA輸送機・・・かつての大国、アメリカで、爆撃機として考案され、
デスクプランで終わったYB49をベースに建造されたものだ。
翼長は200mを超える巨大航空機だが、その搭乗可能人数はわずか10人。
その狭い搭乗室に、たくさんの小型端末を広げた技術者たちの姿があった。
JA輸送機・・・かつての大国、アメリカで、爆撃機として考案され、
デスクプランで終わったYB49をベースに建造されたものだ。
翼長は200mを超える巨大航空機だが、その搭乗可能人数はわずか10人。
その狭い搭乗室に、たくさんの小型端末を広げた技術者たちの姿があった。
「こちら加藤、時田さん聞こえますか?」
輸送機内でジェットアローンの起動を担当するのは時田の右腕の加藤だ。
時田本人はジェットアローンの戦闘指揮を行うべく、先に現場に入っている。
時田本人はジェットアローンの戦闘指揮を行うべく、先に現場に入っている。
『あぁ、聞こえているよ』
「こちら、全モニター信号、正常受信を確認。まもなくJAの起動準備に入ります」
『了解、さて・・・』
「こちら、全モニター信号、正常受信を確認。まもなくJAの起動準備に入ります」
『了解、さて・・・』
当然ながら前回同様、作戦らしい作戦はまだない。
しかし、戦自のおかげで使徒の攻撃方法が事前に分かった以上、前回よりは少しマシといえる。
端末ごしに、急遽作戦会議が始まった。
しかし、戦自のおかげで使徒の攻撃方法が事前に分かった以上、前回よりは少しマシといえる。
端末ごしに、急遽作戦会議が始まった。
209 :199-200:2006/05/18(木) 01:33:00 ID:???
問題はあの”鞭”だ。
問題はあの”鞭”だ。
姿形が常識はずれな使徒だからこそ納得できるものの、科学的な原理は全く不明。
分かっている事は、攻撃範囲が数100mにわたり、自由自在に操れるということだけ。
戦自から伝えられた情報が正しいなら、あの鞭の攻撃にはジェットアローンの装甲などひとたまりもない。
分かっている事は、攻撃範囲が数100mにわたり、自由自在に操れるということだけ。
戦自から伝えられた情報が正しいなら、あの鞭の攻撃にはジェットアローンの装甲などひとたまりもない。
「国連軍は既に撤退!戦自は未だ明星ヶ岳付近で抗戦中!」「JA投下地点到達まであと12分!」
またしても、時田は頭を悩ませていた。敵は使徒だ。失敗は許されない。
残されている時間はもう僅かであることも彼の頭をしめつける。
残されている時間はもう僅かであることも彼の頭をしめつける。
「戦自より入電!時田主任に回線をまわせと言ってきていますが・・・」
このタイミング・・・おそらく・・・。
時田が答えるより早く、管制室に声が響きわたる。
時田が答えるより早く、管制室に声が響きわたる。
「おぉい、時田ぁっ、ちゃんと作戦考えたかぁ?」
確認するまでもない。時田の旧知の友、敷島であった。