251 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/26(金) 00:47:10 ID:???
使徒は背後から近づくJAに気づいていなかったのか、あるいは単に無視していたのか。
JAの手が、なんの困難も使徒の尾を抱えるようにしてつかむ。
使徒は背後から近づくJAに気づいていなかったのか、あるいは単に無視していたのか。
JAの手が、なんの困難も使徒の尾を抱えるようにしてつかむ。
「位相空間は観測されません。ATフィールドは展開されていない模様!」
「よし、そのまま振り回して山にぶつけてやるんだ!」
「よし、そのまま振り回して山にぶつけてやるんだ!」
使徒が保有する絶対防壁、ATフィールド。それさえなければ勝機はある。
そのうえ今回の使徒は、前回の第三使徒より明らかに反応が鈍い。
そのうえ今回の使徒は、前回の第三使徒より明らかに反応が鈍い。
――グゥウウウン・・・・・・ドカーン!
JAはそのまま使徒を右手の山肌に向かって吹き飛ばす。
やはり、まだあの赤い壁はあらわれない。
やはり、まだあの赤い壁はあらわれない。
「(なぜATフィールドを展開しない・・・?体力でも温存しているのか・・・?)」
「続いて、右腕部で使徒に打撃します!」
使徒がJAのほうに反転する前に、打撃を打ち込む。
前回の使徒戦で得られたデータを元に、唯一の攻撃方法である打撃を生かすため、
腕部の強度は遥かに強化されていた。
前回の使徒戦で得られたデータを元に、唯一の攻撃方法である打撃を生かすため、
腕部の強度は遥かに強化されていた。
だが・・・
252 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/26(金) 00:54:03 ID:???
――ボフッ
――ボフッ
JAが放った拳が使徒の表面――いや、皮膚というべきか?――でとまる。
超合金の拳は、使徒の体に凹み一つつけていなかった。
超合金の拳は、使徒の体に凹み一つつけていなかった。
「目標にダメージなし!」
「かまわん、両腕での打撃を続けろ!」
「かまわん、両腕での打撃を続けろ!」
時田は考える。
「(まさか・・・ATフィールドを展開するまでもないというのか?)」
――ボフッボフッボフッボフッボフッ
空しい音だけが管制室内に響き渡り続ける。一向に使徒はダメージを受けている様子はない。
が、そのときだった。
が、そのときだった。
シュルルルルル・・・
使徒から先ほど戦自のVTOLを叩き落した鞭が現れる。
「いかん!後方に緊急回避行動だっ!」
253 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/26(金) 01:05:33 ID:???
高機動モードのJAは軽い身のこなしで使徒の後方数百メートルまでバックステップする。
一方、使徒も、やはり後方への攻撃は慣れていないのだろうか、鞭を飛ばすもJAには当たらない。
高機動モードのJAは軽い身のこなしで使徒の後方数百メートルまでバックステップする。
一方、使徒も、やはり後方への攻撃は慣れていないのだろうか、鞭を飛ばすもJAには当たらない。
「敵、反転行動をとり始めました!」
「む、、、そのまま背後に回れっ!」
「む、、、そのまま背後に回れっ!」
このままで勝ち目はあるのか・・・?
ATフィールドを使わずとも形を保てる強固な肉体。自由自在に飛び回る鞭。
先ほどまで有利とみてとれていた戦闘だったが、まるで打つ手がない今、
打撃、回避行動、背後をとる、の繰り返しのまま徐々に膠着状態となっていった。
ATフィールドを使わずとも形を保てる強固な肉体。自由自在に飛び回る鞭。
先ほどまで有利とみてとれていた戦闘だったが、まるで打つ手がない今、
打撃、回避行動、背後をとる、の繰り返しのまま徐々に膠着状態となっていった。
「熱量上昇、200を突破、危険域です!」「腰部の稼動部の反応が遅れてきています!」
JAの状態も目に見えて悪くなっている。高機動モードでの長期戦闘は自殺行為に等しい。
「(NERVに指揮権を移譲すべきか・・・?もはや打つ手はないのか・・・?)」
悔しさのあまり歯を食いしばる。
NERVに指揮権を渡すのが悔しいわけではない。
確かにエヴァンゲリオンなら使徒を倒せるだろう・・・だが。
JAと異なり、パイロットが乗り込む兵器である。死者が出ないとは言い切れない。
足止めのために命を散らした戦自や国連空軍の兵士達。
確かにエヴァンゲリオンなら使徒を倒せるだろう・・・だが。
JAと異なり、パイロットが乗り込む兵器である。死者が出ないとは言い切れない。
足止めのために命を散らした戦自や国連空軍の兵士達。
奇麗事と言われようとも。
もう誰も犠牲にはしたくなかった。
もう誰も犠牲にはしたくなかった。
254 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/26(金) 01:17:52 ID:???
もうJAの機動力はかなり落ちてきている。敵の背後をとるのも精一杯だ。
――そのときだった。
もうJAの機動力はかなり落ちてきている。敵の背後をとるのも精一杯だ。
――そのときだった。
「と、時田主任!敵の正面、腹部に光球らしきものがっ!」
「なにっ?」
「なにっ?」
すぐさま光学センサーで確認する。確かに、赤く鈍い光を放つ光球があった。
今まで背後を取り続けていた分、誰も気づかなかったのだ。
先の戦いで使徒の弱点だった光球・・・今回も弱点とは限らないが、可能性は高い。
今まで背後を取り続けていた分、誰も気づかなかったのだ。
先の戦いで使徒の弱点だった光球・・・今回も弱点とは限らないが、可能性は高い。
「背後確保はもういい!攻撃対象を敵の正面、あの光球にしぼる!」
また・・・賭けか・・・。ふと笑みをこぼしてしまう。
余裕の笑みでもなければ諦めの笑みでもない。時田の胸にあるのは希望だった。
余裕の笑みでもなければ諦めの笑みでもない。時田の胸にあるのは希望だった。
使徒がようやく反転を終え、JAと対峙する。
スクリーンいっぱいに映し出された使徒の顔は、まるで昆虫の拡大写真のようだ。
もっとも、あれが使徒の”顔”かどうかは定かではないが。
スクリーンいっぱいに映し出された使徒の顔は、まるで昆虫の拡大写真のようだ。
もっとも、あれが使徒の”顔”かどうかは定かではないが。
「体勢を低くして、全速前進!敵の懐にもぐりこめ!」
「しゅ、主任!そんな無茶な!」
「しゅ、主任!そんな無茶な!」
静かに答える。
「いつだって、無茶は承知さ。
だが・・・無理ではない。」
だが・・・無理ではない。」
スクリーンに水蒸気の影が映りこむ。冷却装置もそろそろ限界が近づいてきた。
「あの光球に対しサンダーフィストを放つ。
・・・総員、サンダーフィスト、準備ぃぃ!!」」
・・・総員、サンダーフィスト、準備ぃぃ!!」」
276 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/27(土) 21:47:39 ID:???
あわただしくなる管制室内。
サンダーフィストへの準備をしつつ、JAに敵の懐にもぐりこむため、体制を低くする制御信号を与える。
あわただしくなる管制室内。
サンダーフィストへの準備をしつつ、JAに敵の懐にもぐりこむため、体制を低くする制御信号を与える。
――ウィィイイン
ゆっくりと腰を落としていくジェットアローン。
一方、使徒も、上体を起こし鞭を正面に構えながら様子を伺っている。
武士が一瞬の間合いを探るように、二体の巨大な影は動きを止めていた。
相手は全く正体不明の巨大生物、いや生物かどうかすら怪しい未知の敵だ。
一方、使徒も、上体を起こし鞭を正面に構えながら様子を伺っている。
武士が一瞬の間合いを探るように、二体の巨大な影は動きを止めていた。
相手は全く正体不明の巨大生物、いや生物かどうかすら怪しい未知の敵だ。
と、しびれを切らしたのだろうか、使徒は突如鞭を振り上げた。
「よし、いまだっ!体制維持のまま、右に回避しつつ突撃しろ!」
「了解!体制維持、右に回避後突撃!」
「了解!体制維持、右に回避後突撃!」
復唱が読みあげ終わるころには、すでにJAは回避行動をとり前に進み始めていた。
――ヒュルルー バシュンっ ・・・ズゥウウウン
敵の鞭がむなしく地面にぶつかる。その一瞬の隙をついて、JAが使徒に向かって走りこんでいく。
――ガシッ ガシッ ガシッ
光学センサーからの映像を表示したスクリーンに映っている使徒の姿がどんどん大きくなる。
あと数歩で敵の懐に飛び込むはずだった。
あと数歩で敵の懐に飛び込むはずだった。
だが。
277 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/27(土) 22:10:59 ID:???
――カキィーンっ バシン、ズサっ・・・・!
――カキィーンっ バシン、ズサっ・・・・!
スクリーンの映像が激しく乱れる。
一瞬何が起こったか理解できない一同を、刹那の間の後に激しい警報の嵐が襲う。
一瞬何が起こったか理解できない一同を、刹那の間の後に激しい警報の嵐が襲う。
「相転移空間確認!間違いありません!ATフィールドですっ!」
「腹部に敵の攻撃を受けた模様。鞭はトルソーの装甲を貫通していますっ!」
「衝撃による破損発生!左ヒートシンクに五箇所の亀裂ですっ!」
「腹部に敵の攻撃を受けた模様。鞭はトルソーの装甲を貫通していますっ!」
「衝撃による破損発生!左ヒートシンクに五箇所の亀裂ですっ!」
すばやく状況を飲み込む時田。
使徒はATフィールドを展開しJAの突撃を防ぎ、同時にもう一本の鞭でJAの腹部を貫いたようだった。
先ほどの攻撃は、しびれを切らしたのではなく、最初からJAを誘い込むつもりだったのだ。
使徒はATフィールドを展開しJAの突撃を防ぎ、同時にもう一本の鞭でJAの腹部を貫いたようだった。
先ほどの攻撃は、しびれを切らしたのではなく、最初からJAを誘い込むつもりだったのだ。
「トルソー内に高エネルギー反応!敵の鞭より急激な金属腐食が始まっていますっ!」
「緊急離脱だ!リアクターの稼働率を一時的に引き上げろっ!」
「ダメです!制御回路の応答がありませんっ!」
「緊急離脱だ!リアクターの稼働率を一時的に引き上げろっ!」
「ダメです!制御回路の応答がありませんっ!」
使徒の鞭に串刺しにされたままもがくJA。
しかし、その動きには先ほどまで見せていた機敏さはない。
時田の顔にあせりだけでなく苦悶の表情が浮かぶ。
しかし、その動きには先ほどまで見せていた機敏さはない。
時田の顔にあせりだけでなく苦悶の表情が浮かぶ。
「使徒の攻撃、きますっ!」
使徒は、先ほど攻撃を繰り出した鞭をJAに巻きつけるつもりだろうか、一気に引き寄せている。
そして、次の瞬間。
そして、次の瞬間。
バシィンっ! ブシュゥゥゥゥっ!
「給水チューブ切断!二次冷却水の圧力、急激に低下していきますっ!」
後方から飛んできた鞭はJAの冷却水チューブを引きちぎり、
そのままJAの背中から首にかけて巻きつく。
そのままJAの背中から首にかけて巻きつく。
300 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/29(月) 21:27:44 ID:???
ピーッ!ピーッ!ピーッ!ピーッ!
ピーッ!ピーッ!ピーッ!ピーッ!
リアクターのモニタリングディスプレイに現れる「緊急事態 EMERGENCY」の文字。
チューブが断線した今、冷却機能の大幅な低下が、リアクターの温度をどんどん上昇させる。
チューブが断線した今、冷却機能の大幅な低下が、リアクターの温度をどんどん上昇させる。
「危険レベル最大です!このままでは炉心がっ・・・!」
もはや高機動モードによって生み出された熱を廃棄する術を失ったJAのN2リアクターは、
その温度と圧力をさえ際なく増加させていた。
と、ディスプレイにサブコンピュータによって計算された炉心融解までの残り時間が表示される。
その温度と圧力をさえ際なく増加させていた。
と、ディスプレイにサブコンピュータによって計算された炉心融解までの残り時間が表示される。
「どれくらい持ちそうだっ!?」
「このままの出力では、空冷装置最大稼動であと3分30秒!」
「最大出力のままでいい!全力で離脱するんだ!」
「このままの出力では、空冷装置最大稼動であと3分30秒!」
「最大出力のままでいい!全力で離脱するんだ!」
ガクゥン、ガクゥン、ガクゥン
ジィイイイイ・・・・・・・ミシッ・・・ミシッ・・・
ジィイイイイ・・・・・・・ミシッ・・・ミシッ・・・
JAが間接を動かす音に混じって、金属の溶ける音に装甲がきしむ音だろうか、
いやな音が聞こえる。
無常にもディスプレイの残り時間の数値は減っていく。
いやな音が聞こえる。
無常にもディスプレイの残り時間の数値は減っていく。
「離脱にはまるで出力が足りませんっ!」「腹部最終装甲板融解!下半身の制御に異常発生!」
「リアクターの温度、圧力、さらに上昇!食い止められません!」
「リアクターの温度、圧力、さらに上昇!食い止められません!」
徐々に無残な姿へと変わっていくJA。
背後の噴出口から噴き出している熱風のせいだろう。
時田の目には、JAがもがき苦しんでいるように見えた。
背後の噴出口から噴き出している熱風のせいだろう。
時田の目には、JAがもがき苦しんでいるように見えた。
301 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/29(月) 21:39:28 ID:???
自分達が持てる現代テクノロジーの粋を集めた二足歩行型決戦兵器、ジェットアローン。
この三週間、職員全員が夜を徹して修理した彼らの息子。
NERVに欠陥兵器と呼ばれ、実験段階でろくに動けないままに戦場に出され、
だが、未知の敵生体「使徒」を倒した、彼らの自慢の息子。
自分達が持てる現代テクノロジーの粋を集めた二足歩行型決戦兵器、ジェットアローン。
この三週間、職員全員が夜を徹して修理した彼らの息子。
NERVに欠陥兵器と呼ばれ、実験段階でろくに動けないままに戦場に出され、
だが、未知の敵生体「使徒」を倒した、彼らの自慢の息子。
職員達誰もが、同じ胸中のままに、スクリーンに苦しみ、もがく我が子の姿を見つめる。
動きを封じられ、最終兵器であるサンダーフィストを出せないJA、
彼を見つめる職員たちが出来る事は もうそれほど残ってはいなかった。
動きを封じられ、最終兵器であるサンダーフィストを出せないJA、
彼を見つめる職員たちが出来る事は もうそれほど残ってはいなかった。
「残り2分をきりますっ!」
もはや勝機はないかに見えた。
ふと、一人の職員が自分のモニタに映る何かを食い入るように見つめると、
時田に向かって叫んだ。
ふと、一人の職員が自分のモニタに映る何かを食い入るように見つめると、
時田に向かって叫んだ。
「と、時田主任っ!」
管制室内の皆が彼を見つめる。
「相転移空間が収縮していますっ!敵はATフィールドを発生させていません!
・・・今なら、、、やれますっ!」
・・・今なら、、、やれますっ!」
302 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/29(月) 21:57:11 ID:???
絶対恐怖領域、ATフィールド。何をも阻む光の壁。
確かに前回の使徒も、自らの攻撃中はATフィールドを展開していなかった。
もしセンサーの情報どおり、ATフィールドが展開されていないのならば、
敵の光球に攻撃をしかけることができるのは今しかないということになる。
絶対恐怖領域、ATフィールド。何をも阻む光の壁。
確かに前回の使徒も、自らの攻撃中はATフィールドを展開していなかった。
もしセンサーの情報どおり、ATフィールドが展開されていないのならば、
敵の光球に攻撃をしかけることができるのは今しかないということになる。
「・・・主任・・・?」
時田は震えていた。なぜ気づかなかったのだろう?なぜ逃げようとしたのだろう?
もし攻撃を続けていれば、リアクターの出力が下がる前にサンダーフィストを放てたはずだった。
JAを信じていなかったのは自分だった・・・。悔しさ、自己嫌悪、ありとあらゆるものが彼の頭をめぐる。
しかし、今は悩んでいる場合ではない。
彼は決断する。
JAを信じていなかったのは自分だった・・・。悔しさ、自己嫌悪、ありとあらゆるものが彼の頭をめぐる。
しかし、今は悩んでいる場合ではない。
彼は決断する。
「離脱行動中止。・・・攻撃再開だっ!」
彼の言葉の直後、職員達は再び自分の端末に向き合う。もはや一刻の猶予もない。
「左手で敵の鞭を掴め!そのまま手繰って敵を引き寄せるんだ!」
時田の指示に、復唱もままならないまま、制御命令が組まれていく。
打ち込まれるキーボードの音、そして行きかう声。
打ち込まれるキーボードの音、そして行きかう声。
「上腕部制御アルゴリズムは近接イの4だ!」「おい!下半身の電力を上に集中させてくれ!」
「敵の拘束を一時的に離脱できないか?」「装甲をパージするしかない、タイマーの値をあわせろ」
「了解!タイミング入力完了!」「こっちも完了!」「回路応答に異常なし!」
「敵の拘束を一時的に離脱できないか?」「装甲をパージするしかない、タイマーの値をあわせろ」
「了解!タイミング入力完了!」「こっちも完了!」「回路応答に異常なし!」
すでに指示系統などあったものではない。各自が飛びかう言葉全てを聞き取り、そして指示をだす。
「いくぞ、みんな、制御信号送出!」
303 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/29(月) 22:25:38 ID:???
残り時間が一分をきるのを目の前に、JAは離脱行動を中止する。
そして、次の瞬間。
残り時間が一分をきるのを目の前に、JAは離脱行動を中止する。
そして、次の瞬間。
バシっ!ガシッ!ズシィィィイイイイン!
頭部から背中にかけての第一表皮装甲を切り離し、敵の鞭の拘束から離れる。
さらに、腹部を貫通していたもう一つの鞭を左手でつかみ、そのまま使徒を自らのほうへ引き寄せる。
使徒は油断していたのだろうか、 抵抗する間もなくJAにぶつかった。
さらに、腹部を貫通していたもう一つの鞭を左手でつかみ、そのまま使徒を自らのほうへ引き寄せる。
使徒は油断していたのだろうか、 抵抗する間もなくJAにぶつかった。
「左手でそのまま敵を捕捉!右手で攻撃開始だっ!」
ちょうど使徒を左腕で抱き寄せる形になり、使徒のみぞおち部分、光球を右腕で殴る。
装甲は剥がれ落ち、腹部からは煙があがり、足の関節には無数の亀裂が走るJA。
一か八かのその作戦で、下半身の電力の半分以上を両腕に回しているために
足の踏ん張りがきいていないが、それが功を奏したのだろうか。
JAにがっしりと抱きこまれた使徒は、鞭では突き放すことが出来ず、
また、体で押し返しても、JAはずるずるとすべるだけで、
引き離すどころか、いっそうJAと密着してしまい、先ほどとは打って変わってもがき始めた。
その間にも、JAの拳は敵の光球を打つ。
一か八かのその作戦で、下半身の電力の半分以上を両腕に回しているために
足の踏ん張りがきいていないが、それが功を奏したのだろうか。
JAにがっしりと抱きこまれた使徒は、鞭では突き放すことが出来ず、
また、体で押し返しても、JAはずるずるとすべるだけで、
引き離すどころか、いっそうJAと密着してしまい、先ほどとは打って変わってもがき始めた。
その間にも、JAの拳は敵の光球を打つ。
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!
すでに残り時間一分をきっている。もう今のJAには、数時間前の稼働率98%の姿など見る影もない。
敵の光球を破壊できない場合、あるいは破壊しても敵が動きを止めなかった場合、
JAの敗北は決まり、そして、おそらく使徒に完膚なきまでに破壊されるであろう。
もしJAが敗北しても、第3新東京市にはエヴァンゲリオンがある。
しかし、JAに捨て身の攻撃を命じたのは、自分達である。
負ければ、自分達の息子はその命を失うのだ。勝負はここで決まる。
JAの敗北は決まり、そして、おそらく使徒に完膚なきまでに破壊されるであろう。
もしJAが敗北しても、第3新東京市にはエヴァンゲリオンがある。
しかし、JAに捨て身の攻撃を命じたのは、自分達である。
負ければ、自分達の息子はその命を失うのだ。勝負はここで決まる。
誰もが、祈った。 勝利を。 誰もが、信じた。 ジェットアローンを。
304 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/30(火) 00:15:59 ID:???
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!
JAの超合金の拳が使徒の光球にぶつかるたびに、火花が飛び散る。
「リアクター停止まであと30秒!」
まだヒビすら入らない敵の光球に対し、ただひたすらに拳を繰り出すJA。
いつしか、管制室はJAを見つめる沈黙のみに包まれていた。
いつしか、管制室はJAを見つめる沈黙のみに包まれていた。
「あと20・・・・15、14、13、12、11・・・」
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!
ただ、ひたすらに。
「10、9、8、7・・・」
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!バキィンっ!
ガシィンっ!ガシィンっ!ガシィンっ!バキィンっ!
光球に亀裂が一本だけ入る。
「6、5・・・」
ガシィンっ!バキィンっ!
ガシィンっ!バキィンっ!
誰もが、息を呑んで見守る。
「 4! 」 バキィンっ!
「 3! 」 バキィンっ!
「 2! 」 バシィイイインっ!
305 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/05/30(火) 00:26:16 ID:???
「 1 ! 」
「 1 ! 」
ガキィィィィイイイン!
――ヒュウゥゥゥゥン
JAの電源が落ちる。
「N2リアクター停止・・・!」
そして。
「目標・・・完全に、、、沈黙しましたっ!」
JET ALONE 戦闘報告
EPISODE:3 第四使徒
EPISODE:3 第四使徒
JET ALONE 大破 (冷却チューブ破損含)
戦略自衛軍航空隊 VTOL17機大破 死者41名 負傷者7名
国連軍航空隊 STOL4機大破 死者7名 負傷者1名
第三新東京市の被害 なし
戦略自衛軍航空隊 VTOL17機大破 死者41名 負傷者7名
国連軍航空隊 STOL4機大破 死者7名 負傷者1名
第三新東京市の被害 なし
第四使徒 原型を残したまま撃破
日本語認識システムKOZAIC7.ver2.1.3 for JA_Hi-SYS
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