435 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/06/13(火) 02:10:39 ID:???
「一体どういうつもりなんですか、葛城さん」
「そうね、いつも目の敵にしてるあのロボをかばうなんて、貴方らしくないわよ」
「違うわ、かばったわけじゃないわよ」
「一体どういうつもりなんですか、葛城さん」
「そうね、いつも目の敵にしてるあのロボをかばうなんて、貴方らしくないわよ」
「違うわ、かばったわけじゃないわよ」
ここはNERV本部作戦課 第二分析室である。
「あのままエヴァ二体でまともに戦っても、私達が勝てる見込みは薄かったわ」
「どういうことですか?」
「敵のビーム、あの農協ロボを吹っ飛ばしたわ。普通に考えて、あれは零号機、初号機のATフィールドを
貫くのには十分のエネルギー量よ。それに、初号機はともかくとして、シンクロ率の低い零号機じゃ、
あの攻撃にはまともな回避行動もとれないわよ」
「たしかに・・・」
「・・・そこまでミサトが考えていたなんて驚きだわ。ミサトの言う通りよ。これを見て」
「どういうことですか?」
「敵のビーム、あの農協ロボを吹っ飛ばしたわ。普通に考えて、あれは零号機、初号機のATフィールドを
貫くのには十分のエネルギー量よ。それに、初号機はともかくとして、シンクロ率の低い零号機じゃ、
あの攻撃にはまともな回避行動もとれないわよ」
「たしかに・・・」
「・・・そこまでミサトが考えていたなんて驚きだわ。ミサトの言う通りよ。これを見て」
スクリーンには、先ほどの、JA、1/1バルーンダミー、12式独自走臼砲が攻撃を受けた瞬間が映し出されている。
「使徒のビームは、おそらくプラス電荷をもつ粒子による加粒子砲と考えられるわね。
ミサトの言うとおり、直撃していたらタダではすまないほどのエネルギーを有しているわ」
ミサトの言うとおり、直撃していたらタダではすまないほどのエネルギーを有しているわ」
436 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/06/13(火) 02:16:22 ID:???
マヤが説明を続ける。
マヤが説明を続ける。
「これまで採取されたデータから推測すると、目標は、一定距離内の脅威となる存在を自動的に排除するものと思われます」
「その射撃制度、敵を事前に察知する能力から考えれば、かなり高度な知覚器官を持ってるのは確かだわ」
「ATフィールドはどうなの?」
「その射撃制度、敵を事前に察知する能力から考えれば、かなり高度な知覚器官を持ってるのは確かだわ」
「ATフィールドはどうなの?」
青葉が端末を操作するとスクリーンに使徒のATフィールドが映し出される。
「健在ですね。相転移空間を肉眼で確認できるほど強力なものです。エヴァ二体が展開できるものよりさらに強力と考えられます」
「攻守ともにほぼパー璧・・・まさに空中要塞ね。で、問題のシールドは?」
「現在、目標は直上、第3新東京市ゼロエリアに進入、直径17.5mの巨大シールドが、ジオフロント内NERV本部を目指して穿孔中です」
「直接ここにブチこもうって魂胆ね、しゃらくさい」
「攻守ともにほぼパー璧・・・まさに空中要塞ね。で、問題のシールドは?」
「現在、目標は直上、第3新東京市ゼロエリアに進入、直径17.5mの巨大シールドが、ジオフロント内NERV本部を目指して穿孔中です」
「直接ここにブチこもうって魂胆ね、しゃらくさい」
ミサトの憤慨を横目に、スクリーンはさらに使徒の攻撃予想進度の表示に変わり、再びマヤが説明を続ける。
「MAGIによる計算の結果、敵シールドは、明朝午前0時06分54秒には全装甲板を破壊、NERV本部に到達すると思われます」
「あとざっと10時間か」
「あとざっと10時間か」
「それで、どうするのミサト?エヴァでの近接戦闘は無理よ。何か別の作戦は考えてあるんでしょう?」
「んま~チョッチね。とまぁ、その前に・・・そろそろいらっしゃる時間だわ」
「んま~チョッチね。とまぁ、その前に・・・そろそろいらっしゃる時間だわ」
――ピ
と、分析室の扉のランプが、赤からロック解除を示す緑へ変わり・・・・・
「あの空中要塞をやっつけるには、彼らの協力が必要になるわけよ」
ドアに立っていたのは、日重工JA開発主任、時田シロウと、その副主任、加藤ヨシオであった。
443 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/06/14(水) 00:56:03 ID:???
E P I S O D E : 6 「 決 戦 、 第 3 新 東 京 市 」
E P I S O D E : 6 「 決 戦 、 第 3 新 東 京 市 」
「NERVへようこそ・・・と言いたいところですけれど、ことは急を要します。
早速、本件の作戦立案に入りたいのですが、よろしいですね、時田主任?」
「えぇ、もちろん。我々はそのために出向いたのですから」
早速、本件の作戦立案に入りたいのですが、よろしいですね、時田主任?」
「えぇ、もちろん。我々はそのために出向いたのですから」
ミサトが改まった口調で時田に尋ねると、時田も真顔で答える。
両者ともに前回のように皮肉の響きは込められていない。
両者ともに前回のように皮肉の響きは込められていない。
「すでにそちらにも報告がいっていると思いますが、目標は一定射程内の脅威を非常に強力な加粒子砲によって排除、
一方で、強力なATフィールドを発生させており、JA、エヴァのどちらでも近接戦闘は絶望的です」
一方で、強力なATフィールドを発生させており、JA、エヴァのどちらでも近接戦闘は絶望的です」
再びスクリーンには使徒がATフィールドを展開した瞬間の画像が表示されている。
「私は本件に関して、目標の射程外、超長距離からの直接射撃以外に目標を殲滅しうる手はないと考えています」
あまりにも普通すぎる作戦に、一同がミサトを見つめる。すかさず時田が尋ねる。
「し、しかし、あなたもおっしゃっていたように、目標は超強力なATフィールドを保有している。並の攻撃ではとても不可能なのでは・・・」
「そうです。”並”の攻撃ではATフィールドの突破は不可能です。一方で、近接戦闘に出れば泣きを見るだけなのも明らかです」
「では、一体どうやって・・・??」
「日向くん、さっき話したレポート表示して」
「そうです。”並”の攻撃ではATフィールドの突破は不可能です。一方で、近接戦闘に出れば泣きを見るだけなのも明らかです」
「では、一体どうやって・・・??」
「日向くん、さっき話したレポート表示して」
日向が端末のキーをたたくと、スクリーンにテキストで構成されたレポートファイルが表示される。
「今回の使徒殲滅作戦についての要は3つあります」
444 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/06/14(水) 00:59:40 ID:???
「まず、一つ、目標は、おそらく攻撃中はATフィールドを展開できません。
これはさきの第三使徒、第四使徒における貴方方のJAによる戦闘データから推測されるものです。
当然、第五使徒がこれに倣わない可能性もありますが、きわめて低いと考えていいでしょう」
「まず、一つ、目標は、おそらく攻撃中はATフィールドを展開できません。
これはさきの第三使徒、第四使徒における貴方方のJAによる戦闘データから推測されるものです。
当然、第五使徒がこれに倣わない可能性もありますが、きわめて低いと考えていいでしょう」
第三使徒戦でJAが打撃を加えた画像と、第四使徒戦でJAが使徒を引き寄せている画像が映し出される。
「次に、今回の使徒はかなり高度な知覚器官、あるいはそれに相当する何かを保有していると考えられます。
あれほどの国連軍や戦自の攻撃に対して無頓着ながら、射程内にJA、エヴァを捕らえた瞬間には
砲撃している事からも間違いありません」
あれほどの国連軍や戦自の攻撃に対して無頓着ながら、射程内にJA、エヴァを捕らえた瞬間には
砲撃している事からも間違いありません」
先ほどと同様、第五使徒がJA、エヴァに対して加粒子砲を放つ瞬間の画像が表示される。
「――最後に、ATフィールドの突破に関してです。
私達NERVは、当然ながら使徒のATフィールドという障害を除去すべく様々な方法、武装を研究しています。
その中でも、ポジトロンライフル――いわゆる、陽電子砲です――は、そのエネルギーの強力さから、
脆弱なATフィールドであれば突破できることを、すでにNERV技術部で検証済みです」
「ちょっ・・・葛城一尉、それは部外秘事項のはず・・・」
「今、日重工はNERVの戦略指揮権下にあるわ。もう部外者じゃないわよ」
私達NERVは、当然ながら使徒のATフィールドという障害を除去すべく様々な方法、武装を研究しています。
その中でも、ポジトロンライフル――いわゆる、陽電子砲です――は、そのエネルギーの強力さから、
脆弱なATフィールドであれば突破できることを、すでにNERV技術部で検証済みです」
「ちょっ・・・葛城一尉、それは部外秘事項のはず・・・」
「今、日重工はNERVの戦略指揮権下にあるわ。もう部外者じゃないわよ」
自分達の技術が他者に伝わるのはリツコとしては我慢ならないのだが、ミサトの言っていることは正しい。
先ほどから自分の意見を的確にまとめているあたり、何かいい方法があってのことだろうと、
旧友の考えをくみ、リツコはとりあえず口を閉ざす。
先ほどから自分の意見を的確にまとめているあたり、何かいい方法があってのことだろうと、
旧友の考えをくみ、リツコはとりあえず口を閉ざす。
「ATフィールドに関しては、まだその実態や発生のメカニズムについては詳しく分かっていません。
伊吹二尉、守秘項目にあたらない範囲内でATフィールドの概要を説明してあげて」
「あ、はい」
伊吹二尉、守秘項目にあたらない範囲内でATフィールドの概要を説明してあげて」
「あ、はい」
突然指名されたマヤは、一瞬うろたえるが、すばやく頭を切り替えて話し始める。
445 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/06/14(水) 01:27:51 ID:???
「えぇと、ATフィールドは、使徒やエヴァのみが持つ特殊な”ベクトル場”と予想されています。
ATフィールドは”展開”されることによって、相転移空間を生みだし、これによって、あらゆる物理攻撃を無効にするんです」
「えぇと、ATフィールドは、使徒やエヴァのみが持つ特殊な”ベクトル場”と予想されています。
ATフィールドは”展開”されることによって、相転移空間を生みだし、これによって、あらゆる物理攻撃を無効にするんです」
脇では、日向がスクリーンにATフィールドのモデルを表示させ、マヤへのフォローをする。
「当然、ベクトル場なので、逆向きの場が存在した場合は中和されますし、同方向であれば強固になります」
再びミサトが話を続ける。
「私達NERV作戦部では、エヴァによって使徒のATフィールドを中和、その後物理攻撃という方法を
使徒迎撃作戦の雛形とし、訓練してきました」
使徒迎撃作戦の雛形とし、訓練してきました」
だいたい話が飲み込めてきた時田と加藤。
いや、時田に限らず、その場のNERV職員もようやくミサトの意図に気づいたらしい。
いったん説明をやめ、大きく深呼吸するミサト。そして。
いや、時田に限らず、その場のNERV職員もようやくミサトの意図に気づいたらしい。
いったん説明をやめ、大きく深呼吸するミサト。そして。
「以上を踏まえ、使徒迎撃戦戦略指揮官として次の作戦を提案します」
・攻撃手段はポジトロンライフルを使用、ATフィールドを中和せずに高エネルギーによる一点突破。
・エヴァ一体が射手となり、超長距離から質量センサーとMAGIによって誘導、狙撃。
・別のエヴァ一体が、おとりとして、使徒の注意をそらし、かつ、攻撃を誘発させてATフィールドの展開を妨害。
・万が一のため、おとりとなるエヴァにはJAの特殊合金の盾を所持させ、被害を最小限に抑制。
・JAは狙撃地点にてポジトロンライフルに、リアクターから電力供給。
・さらに万が一反撃された場合、JAによって射手を加粒子砲から防衛。
・エヴァ一体が射手となり、超長距離から質量センサーとMAGIによって誘導、狙撃。
・別のエヴァ一体が、おとりとして、使徒の注意をそらし、かつ、攻撃を誘発させてATフィールドの展開を妨害。
・万が一のため、おとりとなるエヴァにはJAの特殊合金の盾を所持させ、被害を最小限に抑制。
・JAは狙撃地点にてポジトロンライフルに、リアクターから電力供給。
・さらに万が一反撃された場合、JAによって射手を加粒子砲から防衛。
「まだMAGIによる検証はしていませんが、これが最も確実な方法と考えます」
「・・・なるほど・・・」
「・・・なるほど・・・」
時田は手をあごにあてると、その場で考え始める。
446 :199-200 ◆/Pif9px8OM :2006/06/14(水) 01:30:15 ID:???
「主任・・・これじゃJAが・・・」
「主任・・・これじゃJAが・・・」
加藤が不満をつむごうと口を開きかける。
だが、時田は、彼を手で制すると、そのまま考えを続ける。
だが、時田は、彼を手で制すると、そのまま考えを続ける。
正直な話、電力供給はまだいいとしても、盾もなしにJAが射手のエヴァを守れば、間違いなくJAは大破する。
しかし、JAには狙撃ができるような腕部の精度もないし、それ以前にポジトロンライフルがない。
かといって、おとり役を買って出たところで、高機動モードにしたとしても給水チューブの制約がつきまとうし、
通常モードでは使徒の加粒子砲を避ける事などままならない。当然、この場合も命中すれば大破だ。
JAが作戦に参加しないということも一瞬考えた時田であったが、無人兵器であるJAに対して、
エヴァはパイロットが必要な有人兵器だ。
――みすみす死者がでる可能性を見逃すわけにもいかない。
それは、あえて遠隔操作による無人兵器を設計した、ある意味で、時田のプライドでもある。
幸い、JA改のほうの開発は順調だ。
通常なら実戦投入まであと一ヶ月ほどは必要だが、第一と第二の両研究所の職員が徹夜で戦えば
おそらく2週間程度で実戦投入可能になるだろう――
しかし、JAには狙撃ができるような腕部の精度もないし、それ以前にポジトロンライフルがない。
かといって、おとり役を買って出たところで、高機動モードにしたとしても給水チューブの制約がつきまとうし、
通常モードでは使徒の加粒子砲を避ける事などままならない。当然、この場合も命中すれば大破だ。
JAが作戦に参加しないということも一瞬考えた時田であったが、無人兵器であるJAに対して、
エヴァはパイロットが必要な有人兵器だ。
――みすみす死者がでる可能性を見逃すわけにもいかない。
それは、あえて遠隔操作による無人兵器を設計した、ある意味で、時田のプライドでもある。
幸い、JA改のほうの開発は順調だ。
通常なら実戦投入まであと一ヶ月ほどは必要だが、第一と第二の両研究所の職員が徹夜で戦えば
おそらく2週間程度で実戦投入可能になるだろう――
「・・・提案の概要は理解しました。我が日重工とJAも全力で協力します」
「もとよりその前提で話を進めました。・・・ご理解が早く助かります」
「もとよりその前提で話を進めました。・・・ご理解が早く助かります」
残り時間9時間10分。
第五使徒殲滅に向けて、おのおのが動き始める。
第五使徒殲滅に向けて、おのおのが動き始める。