※注意:以下は522-524氏のものではなく、前回からの名無しリレー。
50 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2006/02/01(水) 15:37:31 ID:???
「何ですか、用って」
「何ですか、用って」
スラム街の狭間を縫う様に走る裏路地。
煤で汚れた赤提灯の並ぶ一角で、軍人は今日も自棄酒を呷っていた。
煤で汚れた赤提灯の並ぶ一角で、軍人は今日も自棄酒を呷っていた。
「一言、謝りたかったんだ」
「…」
「…」
よれよれのジャケット、薄っすらと生えた無精髭。
隣に座る、スーツ姿の男を横目で睨みながら、チビチビと熱燗を啜る。
隣に座る、スーツ姿の男を横目で睨みながら、チビチビと熱燗を啜る。
「我々は素人だ。だが、君はプロだ」
「はは…」
「はは…」
空になった熱燗を手で催促する。
「飲み過ぎは体に良くない」
「それはどうも」
「それはどうも」
ゴクリ、と生中を飲み込むと、スーツの男は静かに言い放った。
「戦自に指揮権を返上したい」
51 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2006/02/01(水) 15:52:13 ID:???
「何を今更」
「思い出したんですよ…我々は戦争屋ではない、と」
「それは殊勝な事で」
「何を今更」
「思い出したんですよ…我々は戦争屋ではない、と」
「それは殊勝な事で」
男は大きく首を回す。長い内勤のせいか、最近では肩凝りをする様になった。
「俺達は用無しなのさ。通常兵器は雑魚扱い、核ですら使徒には効かんしな」
「…しかし、君達には“頭”がある」
「…」
「…しかし、君達には“頭”がある」
「…」
時田は男を見据えた。
「経験がある、戦場を知っている、それ以上に何が必要なのか教えて欲しい」
「俺はあんたがたの玩具と遊ぶのは御免被る」
「我々は技術屋です、どこまでも…いえ、そうありたいと願っている」
「俺はあんたがたの玩具と遊ぶのは御免被る」
「我々は技術屋です、どこまでも…いえ、そうありたいと願っている」
生中のグラスに残る一滴を飲み干した。
「ジェット・アローンを活かして下さい、お願いします」
「俺に言われてもな」
「俺に言われてもな」
深々と下げた頭を上げる瞬間、時田の拳が男の右頬に食い込んでいた。
「君はそれでも軍人か!」
52 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2006/02/01(水) 16:03:00 ID:???
「っツ」
「っツ」
派手に椅子から転げ落とされた男。
やれやれと立ち上がり、何事も無かったかの様にお猪口を取ろうと手を伸ばす。
やれやれと立ち上がり、何事も無かったかの様にお猪口を取ろうと手を伸ばす。
「戦自には戦自の方針がある。俺には関係ないけどな」
「君は、この国を守りたくないのか…」
「君は、この国を守りたくないのか…」
国…その一言が男の琴線を弾いたらしい。
「お前、黙って聞いてりゃ偉そうに。俺だってな、悔しいよ、悔しいんだよ。
もう何人死んだ、ああ?使徒に一発も当てないで何人死んだんだこの野郎!!!
民間人だってそうだ、あの瓦礫の下に何人眠ってるよ。ふざけるなよ、
俺ァ毎日毎日、市ヶ谷着くまで電車の窓越しに手を合わせてる。
俺にもっと…俺達にもっと力がありゃあな…、こんな、こんな…」
もう何人死んだ、ああ?使徒に一発も当てないで何人死んだんだこの野郎!!!
民間人だってそうだ、あの瓦礫の下に何人眠ってるよ。ふざけるなよ、
俺ァ毎日毎日、市ヶ谷着くまで電車の窓越しに手を合わせてる。
俺にもっと…俺達にもっと力がありゃあな…、こんな、こんな…」
53 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2006/02/01(水) 17:23:30 ID:???
「って言うか、俺に素手で勝てると思ってる訳?」
「いや、今のは少し調子に乗ってしまった」
「って言うか何お前、スーツなんか着ちゃってよー。昔は裸がユニフォーム、とか
言っちゃって寮でブラブラしてたじゃん?」
「忘れてくれ」
「大体さー、いきなり呼び出されてマジ話だし。疲れてんだよ俺」
「あーハイハイ」
「って言うか聞いてよ、お宅のジェット何とかって使えなくない?俺はエヴァっちの方がいいね」
「ハァ?」
「いやー俺ロリじゃないけどさー何かこう妹っぽくね?」
「全く」
「俺こないだ行って来たんだけど、女の子多いしネルフ最高ー」
「ウザいなお前」
「メカオタクな連中よかマシって感じだけど」
「…お前に一瞬でも真剣になった自分が恥ずかしい」
「って言うか、俺に素手で勝てると思ってる訳?」
「いや、今のは少し調子に乗ってしまった」
「って言うか何お前、スーツなんか着ちゃってよー。昔は裸がユニフォーム、とか
言っちゃって寮でブラブラしてたじゃん?」
「忘れてくれ」
「大体さー、いきなり呼び出されてマジ話だし。疲れてんだよ俺」
「あーハイハイ」
「って言うか聞いてよ、お宅のジェット何とかって使えなくない?俺はエヴァっちの方がいいね」
「ハァ?」
「いやー俺ロリじゃないけどさー何かこう妹っぽくね?」
「全く」
「俺こないだ行って来たんだけど、女の子多いしネルフ最高ー」
「ウザいなお前」
「メカオタクな連中よかマシって感じだけど」
「…お前に一瞬でも真剣になった自分が恥ずかしい」
54 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2006/02/01(水) 17:44:12 ID:???
「指揮権っていきなり言われてもなァ」
「まあ好きに使ってくれよ。俺は技術屋だからな」
「でも飛び道具もないし、白兵戦オンリーは辛いぞ」
「…N2も効かない時点で、火力系はナンセンスだ」
「サンダーフィストってネーミング、何とかならんの?」
「君も少しは考えろ!いちいち煩い」
「君君って、お前も偉くお上品になったもんだな、ギャハハハハ」
「指揮権っていきなり言われてもなァ」
「まあ好きに使ってくれよ。俺は技術屋だからな」
「でも飛び道具もないし、白兵戦オンリーは辛いぞ」
「…N2も効かない時点で、火力系はナンセンスだ」
「サンダーフィストってネーミング、何とかならんの?」
「君も少しは考えろ!いちいち煩い」
「君君って、お前も偉くお上品になったもんだな、ギャハハハハ」
悪友に相談した事を今更ながら後悔する時田。
だが幼馴染の、戦自幹部に上り詰めたこの男の目は終始笑ってはいない。
だが幼馴染の、戦自幹部に上り詰めたこの男の目は終始笑ってはいない。
「帰って相談するわ。ま、来週中にはこっちの科研をそっちに送るんで」
「助かる。人は多い方がいい」
「しかし大丈夫か?ネルフにヤられるなよ」
「赤木博士になら、本望ですよ」
「助かる。人は多い方がいい」
「しかし大丈夫か?ネルフにヤられるなよ」
「赤木博士になら、本望ですよ」
堅物で通る男も、時には軽口を叩く様だ。