DCユニバースの流れ
プレクライシス期
- さて、DCユニバースの歴史は1938年のアクションコミックス#1に登場したスーパーマンによって幕を開けたわけですが、
(正確に言えば35年のニューファンコミックス#1から)
現在でもこの「アクションコミックス#1に登場した世界観」が使われているわけではありません。
- まずヒーローものコミックスは大まかに言えばWW2の頃にゴールデンエイジと呼ばれる一大ブームを巻き起こし、コミックブックの大半を占めました。
- しかしWW2終了と共に衰退、他のジャンルのコミックスに取って代わられる事になります。
- それから10年弱が経過し、「主な読者層が入れ替わった」頃、DCの編集者はゴールデンエイジの頃に人気だったヒーローをリバイバルし、新しいヒーローとして送り出すことを思いつきました。
- そうやって送り出されたフラッシュ、グリーンランタン、ホークマン、アトムは大ヒットを飛ばし、ヒーローものは再び人気ジャンルの座を取り戻す事に成功します。この50年代半ばから60年代をシルバーエイジと呼びます(あくまで大雑把な区切りです)。
- ここでポイントなのは、新世代のヒーロー達は過去の、つまりゴールデンエイジのヒーロー達とはまったく無関係だという事でした。
リバイバル版のフラッシュは世界で始めてフラッシュになったのであり、昔のフラッシュは存在しないとされていたのです。
- この設定は主な読者層が入れ替わったからリバイバルが行われたと考えれば、当然の事でしょう。
- そんな設定になっているのも関わらず、1人のライター、ガードナー・フォックスが2人のフラッシュを共演させる事を思いつきました。
- そして存在する事が不可能な古いフラッシュを存在させるため、フォックスは「昔のフラッシュは今のフラッシュとは並行世界の別の地球に住んでいる」と言う理屈を考えました。
- この2人のフラッシュの共演は人気を博し、フォックスは当時担当していた大ヒットコミックス「ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ(以下JLA)」でも同じ事を試みます。
- JLAはシルバーエイジ期に人気になったヒーロー達を一同に集めて人気を博していたコミック雑誌ですが、
このアイディアは40年代に(またしても)フォックスが担当していた、ゴールデンエイジの頃の人気ヒーローを集めた雑誌「ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ(以下JSA)」で既に使われているものでした。
- つまり、フラッシュが40年代版と50年代版がいるように、ヒーローチームもまた40年代のJSAと60年代のJLAが存在していたのです。
- さて、このJLAとJSAの共演によって、これまで「こちら側」とか「向こう側」とか言われていた並行世界に名前が付きます。
それが「アース」であり、当時中心になっていたJLA側の世界がアース1、JSA側の世界がアース2と呼ばれることになりました。
- ここから冒頭に繋がるのですが
この設定は何度も共演が繰り返されるうちに次第に定着するのですが、そこで1つの疑問が上げられました。
「スーパーマンはゴールデンエイジにもいた。なら、その頃の話は一体?」
- この疑問を解消するため、フラッシュやグリーンランタンのようなストーリー展開の断絶や代替わりがないにもかかわらずスーパーマンやバットマンは「昔の話はアース2での物語」と言うことになりました。
- つまり、アース1とアース2、2つの世界に1人ずつスーパーマンが存在する事になったのです。
これが冒頭の「アクションコミックス#1に登場した世界観」が使われているわけではありません、の回答の一部なのですが、話はまだ続きます。
- このアース2は主なストーリーに関わらないという事で様々な実験的試みが行われました。
- さらに「よく似たヒーローがいるけど、ストーリーに直接のかかわりはない」と言う、これまでのアース2成立の経緯を知らなければ非常にややこしい状態となってしまいました。
- この状況を解決するべく、DC50周年記念イベントとして展開されたのが「クライシス・オン・インフィニット・アースズ」です。
- このイベントの中で黒幕アンチモニターによってほぼ全ての並行世界が消滅、残った5つの世界が一体化し、5つの世界の要素が混じった新しい世界、ニューアースが作り出されます。
- そしてこのニューアースにおいては同一人物は同時に存在できないと言う理屈でアース2ロビン達が消え、アース2スーパーマンやアースプライムスーパーマンはアレックス・ルーサーが作り出した閉鎖宇宙へと移住して物語は終わります。
- こうして「見た目も名前も同じヒーローが何人もいる」と言う状況は解決されたのでした。
- このクライシス以前(プレクライシスと呼びます)のような複数の世界が存在している状況をuniverseにmultiをくっつけてマルチバースと呼びます。
- プレクライシス期の主なアースはこのようなものです
- アース1
一番主となる世界、ジャスティス・リーグが存在する
- アース2
ゴールデンエイジから地続きの世界。ジャスティス・ソサエティが存在する
- アース3
善悪が逆転した世界、悪のスーパーマン達が参加するクライムシンジケートが存在する
- アースS
ヒーロー、キャプテンマーベルがいる世界。スーパーマン達はまったく存在しない、独自の世界
- アースX
WW2でナチスが勝った世界。フリーダムファイターズと言うレジスタンスヒーローチームが存在する
ポストクライシス
- さて、単一の世界観となったDCユニバースですが、やはり不便だったのかなんなのか直に別世界の案が持ち込まれます。
- ミニョーラの描く「ゴッサム・バイ・ガスライト」から始まった「もしもの世界」を肯定する設定としてハイパータイムが作られました。
- ハイパータイムとは1つの世界であっても時間軸は常に揺らいでおり、変化の可能性がある。
- その分岐によって1つの世界であっても様々なパターンが生まれるのだ、と言う、プレクライシスと似たような事を出来る設定でした。
インフィニットクライシスと52
- しかし06年に展開されたクライシスから20年記念のイベント「インフィニットクライシス」で状況は変化します。
- このイベントの中で黒幕アレックス・ルーサーによってほぼ全ての並行世界が復元されますが、最終的に52個を残して消え去ります。
- そしてクライシス後の世界、ニューアースとまったく同じ世界が52個存在する事になりました。
- その52個の世界に変化が訪れるのはインフィニットクライシス直後の1年間イベント「52」です。
- 52の終盤にて成長したミスターマインドは52個のアースに取り付き、各アースの歴史を食べてしまいます。
- その結果として、ニューアースとまったく同じ世界だった52アースに変化が生じます。
- そしてプレクライシスと似てはいるものの、また別物のマルチバースが復活しました。
- こうして現在のDCユニバースは52個の並行世界と、その中心にあるニューアースによるマルチバースによって構成されています
(上記に間違いがあればどなたでも編集してください)
最終更新:2023年08月05日 10:12