ええと数字ばかりで目がちかちかする方も多いでしょうから、文学的な説明を試みて見ましょう。(「君、それは文学だよ」の意味かもしれません…。)
ああ…意地でもこの配列で入力しています。意地でも練習のための練習はしていません。尤も、作っている間に頭には入っていますけれども。さすがに一週間ではまだまだ。

  • まず前提…の前に私の配列遍歴
 JISかな 最初はこれでした。ヘミングウェイ式で。
 NICOLA これで満足できる方は多いと思います。何と言っても手が覚えやすいです。
 ローマ字 便利です。脳内コストとか感じません。でも手が痛くなります。
 試用 花 飛鳥

  • 前提
 新しい入力方式の習得コストはさほど高いわけではありません。一つの入力方式しか経験されていない方は、習得時の経験からこれを大変なことであるとお考えになるでしょう。しかし、この最初に払った労力のうち少なくない部分は、タイピングという運動形態の習得コストではないでしょうか。
 入力方式の多数派が仮名入力からローマ字入力へ移行したのは、このことと無縁ではないでしょう。打鍵範囲が広いものを習得するには、新たな指の動かし方を習得する必要があるからです。苦労して広い打鍵範囲を習得したら幸せになれるのかというと、それをしていない私にはなんとも言えません。

 そんな苦労しないで幸せになれる方法を考えよう、と思ったわけです。
 習得コストも考慮に入れて、なおかつその悪影響を極小化すべし。

  • 基本方針=打鍵範囲の極小化に拠り打鍵効率と疲労の低減を図る。

 打鍵範囲で選択するならば行段系が普通ですが、打鍵効率で考えるとどうしても不利です。省打鍵のために拡張を図ると打鍵が分散しますし、習得コストが増えてしまいます。規則的に配置すれば頭にはすぐに入りますけれども、習得する=指が勝手に動くようになるのはまた別の話ですから。その割に打鍵数は減らないのです。アルペジオの気持ちよさを捨てるのも勿体無い。却下。

 仮名配列となるとシフト方式が問題になりますね。親指2シフトはどうか。これ有力なんですけれど難があります。
 親指キーの確保。物理的な問題もありますけれど、無変換>BS、変換>ENTER兼(通常の)シフトと言う割付を何年も使っています。同時打鍵用にBSやENTERはやはり問題があります。
 ストレートシフトがそもそも嫌。打ち良いのは右手で言うとIOJKL;くらい。私には下段は打てたものでない。まあ「爪の長さ」の影響が大きいと思いますから、一般論ではありませんよ。親指キーが一段下にある専用キーボードなら話は違ってきますし。

………と考えていたのだけど、気を付けて見ると左手は,結構ストレートシフトで打っている。打ち良い位置限定ですけれど。右親指の自然な位置が割れ目だからだろうか。まああんまり考える必要もなくて、手が勝手に打ち良い方でシフトしてくれるらしい。むしろ「次に打たないほうの手」でシフトするのが楽ということかもしれない。(英文タイプではSPACEをそのように打っています。)………

 一般論に戻りますが、親指がキーを打ちやすい位置にいるためには手が動きづらい。逆に言うと、同じ打鍵範囲を広く感じさせる方法だということになります。これは基本方針に反するのです。
 さて親指は1シフトと決まったわけですが、新JISをセンターシフトで実装したものがまさにそれです。清音は1ストロークなので見た目は美しいのですけれども難点があるようです。(虞美人草配列的には、ですよ。)
 濁る仮名の配置に制約が大きい。これでは基本方針の実現の妨げとなる。
 もう一つ、見た目は清濁で同じ鍵を使うで覚えやすそうだが、実際はストロークが違ってしまう。これではストロークの援用ができないので、習得コストの低減効果が低い。「か」が打てれば「が」も打てる…と言うのは間違ってはいない。けれどもそれは、「かん」が滑らかに打てたら「がん」が滑らかに打てること、を保証するだろうか?「かん」と「へん」が同じストロークであることは、習得の助けとはならないのではないか?

 濁音にこそ、親指を使うとしよう。

 今度は、清音を1,2ストロークに割り振ることになる。なんか気持ち悪いことの様に感じられるかもしれませんけれど、却って濁音が2ストロークである事の方が気持ち悪いのです。一般的にですが濁音は強く短く発音するものです。そうするとこれはエイヤと同時打鍵する感覚と相性が良い。

………どちらも1ストロークで無きゃ嫌というのは尤もなので、そういう方は2シフト方式がよろしいかと思います。………

 でもね、ヒトと云うのは柔軟な生き物で、慣れたら気持ち悪いとは思わないはずです。そうでなければ、「っん」に不備のあるローマ字入力なんてやってられません。
sippai, kassai, annna, kanneiなんておかしいですよ。sitpai, katsai, anna, kan-eiであるべきです。こういう欠陥は、しかし、仮名入力にもあるんです。拗音もそうなんですけれど、「っ」問題もあるんです実は。私、「国会」を「酷かい」?とタイプしてしまいます。ローマ字のkokkaiの方が間違えないですね。まあこれは仮名入力の問題点ではなく、表音主義な現代仮名遣いの欠陥ですけれども。…旧仮名が良いと言ってる訳ではありませんよ。振り仮名を付けるのならば「国会(こっかい)」が良いです。…

 話が逸れてしまいました。要はちょっとくらい気持ち悪くても効率のいいやり方が良い、という考え方で配列設計したということです。勿論、気持ち良いに越したことはないのですけれど、それが効率とのトレードオフであれば検討を要するということです。原理主義は美しい。けれど、それには対価を払うことになるのです。

 払っても良いコストは勿論ありますよ。ちょっと配列選びの話をします。自分のリズムに合うということ、これが一番大事なことだと思います。いくら完成度の高い配列であろうと、リズムが合わないことには駄目なんです。この配列つくる前に他の配列作者の書いていることをかなりたくさん読み返したのですけれど、感覚の遠さを感じることが随分あります。私、ローマ字便利・脳内コストなんかないと言いましたけれど、更なる爆弾発言をします。

  • 漢字>仮名変換のほうが、漢字>ローマ字変換よりコストが高いのではあるまいか?
 ※これは証明不可能です。私の感覚に過ぎません。
 口語・大和言葉・日常語であれば仮名のイメージがすぐ浮かびますから、仮名の方が優っています。しかし文章語・漢語・抽象概念ですとイデア>漢字のイメージ(書けと言われて書けるかどうかは別の話です)>脳内発音>打鍵となります。同音異義語というものがありますから、発音というのは劣化した情報なのですね。(だからこそ仮名漢字変換が必要なのです。)その劣化した音声言語では抽象思考なんてできないのです。ですから漢直以外では3段階ものステップを踏むことになるのです。勿論、頻出であればイデア>打鍵という様になりえるのですが。
 さて、ローマ字のほうがコストが低いというとんでもないお話です。何でそんなことになるかといいますと、表音文字としてはアルファベットのほうが優れている………と感じるからなんです。同音異義語はおいて日常語を書いても見にくくて仕方がない。まあ、馴れという要素も大きいのですが。
 仮名文字は漢字と混ぜ書きして使うものであるという特徴をもっていますから、表音文字として劣っていても仕方がないんです。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

音節文字(おんせつもじ)とは、表音文字のうち、音節が単位の文字のこと。
日本語の仮名が代表的。仮名のように、音素の組み合わせでなく、各音節が独自の形を>している音節文字を純粋音節文字と呼び、世界的に見て珍しい。一方、ハングルは音素を表す字母を音節ごとに組み合わせて表記する。このような文字を音素音節文字あるいは結合音節文字という。

 とまあ、かな文字というのは珍しいとされていますが、これをたまたまと考えるか、表音文字として不利であるからであると考えるかは勿論自由です。

………ええと、話が進まない。しかもなんて危険な発言なんだ………

 私にとって快適な打鍵のリズムを説明する前提として、脱線したのでした。

こと 創作打鍵  では  一つのイデアを なるべく速く打ち切ってしまいたいのです。
dlf  bjkahEdk;   Wdj   dmfoa iWked  s  gmRh djzh  junow   irlel  a Wkd.
イメージとしては、こんな感じでしょうか。
lkj:I f iwfj,    dl;g s;I Wicjs.

(続く)
最終更新:2006年11月06日 00:32