グレイス | ンフフフ。アッハハハハ。 |
老人 | なぜ笑う。 |
中年 | あれは君のふるさとだろ? |
グレイス | だって、ようやく終わるんですもの。 |
青年 | そのための犠牲に星一つか。少々美しさに欠けるね。 |
少女 | でも必要な犠牲よ。これは真の始まりへの序曲なのだから。 |
老人 | その通りだ。 |
一同 | 銀河の歌姫の死と先遣隊の壊滅。憎しみは燃え上がる。フォールド通信波は彼らのしるべ。 |
グレイス | 健闘を祈るわね、フロンティアのみなさん。 |
グレイス | 起動したわ。再接続開始。 |
少女 | ちょっと、まだ感覚はつながないでよ! |
青年 | でも急がないと事態は進行中だよ。これを見逃す手はないぜ。 |
グレイス | イニシアティブを譲りましょうか? |
青年 | 遠慮しとくよ。あれはそもそも君のボディーを模したものだからねぇ。 |
グレイス | 分かったわ。フォールドリンケージ確認。ダウンロード開始。さあ目覚めなさい、もう一人の私。 |
一同 | いいえ、私たち。 |
トライアングラー(オープニング)
ランカ | あ、あのう…、検査っていつになったら終わるんですか? |
女医 | もう少しです。 |
ランカ | 少しって、ずっとそればっかじゃないですかぁ。戻ってから誰にも合わせてくれないし。 |
女医 | クレームや質問は、あなたの隔離と精密検査を依頼した政府にどうぞ。 |
ランカ | いいーーーッ。 |
アルト | ちょっと見ない間にずいぶん美人になったな。 |
ランカ | あ!アルト君! |
アルト | !? |
ランカ | 良かった。無事だったんだね。 |
アルト | 待て、ランカ。 |
ランカ | ん?イヤァーーーー! |
ブレラ | ッフ。馬鹿な奴。 |
レオン | アイランド15は現状のまま凍結。アイランド14は再利用可能な資源の抽出後廃棄。 |
流出した空気は800億立方メートル、有機物の損失は1万5000トン、水は2万トンが消失。 | |
50以上のエリアが汚染され、科学処理、もしくは、ろ過プラントでの浄化が決定しています。 | |
ただし処理能力の関係で…。 | |
大統領 | もういい。 |
レオン | 第二次資源統制モードを発令なさったばかりです。 |
大統領 | あぁ? |
レオン | こんな時世に大統領自ら大気汚染はいかがかと存じますが。 |
大統領 | ふーーー。 ッフ。このバジュラの勢力図が確かなら、物資の問題など瑣末なことさ。 |
グレイス | Index:11983E745。オペレーションカニバルはコードネームフェアリー9。 |
個体名、シェリル・ノームの銀河横断ツアーという形でスタートした。 | |
シェリル | 「あたしの歌を聴けえっ!」 |
グレイス | 先行する18ヶ月の調査で、作戦対象として第25船が、通称「マクロスフロンティア」が選定され、 |
ツアーの最終公演となるようスケジューリングされた。主な理由は環境の揺らぎに弱いバイオプラント船であること。 | |
そして最近では珍しく、インプラントとサイボーグが禁じられていたこと。 | |
さらには、船団の予定進路が我々の目的に最適だったためである。 | |
付帯要素として、11年前に死亡したと考えられていたコードQ-1は、 | |
この船で生存しているらしいという情報も考慮されたが、この時点での優先度は低かった。 | |
少女 | 熱烈な歓迎だったわよね。 |
中年 | のん気なものだな。我々がバジュラをこの船団に誘導してきたとも知らずに。 |
グレイス | かくしてバジュラ対フロンティアの戦端は開かれた。作戦の目標達成率は72%。 |
老人 | 誤差の内訳は? |
中年 | 主原因は民間軍事プロバイダーS.M.Sの軍事力を見誤ったこと。 |
そして、試作戦闘機YF-24をこの船の先端企業L.A.Iが独自に発展開発させたVF-25の性能情報が、 | |
不当に低く見積もられていたからだろう。 | |
少女 | でも、最大の誤算はコードQ-1、ランカ・リーがこの時点で才能の片鱗を見せた、ってことよね。 |
青年 | あれ?一番Q-1の存在と才能を疑っていた君が言う? |
少女 | 間違いを素直に認められるところが私のいいところよ。 |
ランカ | 「キャアアーーーー!!」 |
青年 | いい声だ。 |
中年 | この映像がもっと早く手に入っていれば。 |
少女 | コレクションにでもした? |
中年 | おい。 |
少女 | フフ。冗談よ。 |
中年 | ッフ。だが、バジュラ空母に偵察進入させたブレラ少佐が傍受したシェリルの歌声に混じり、 |
別種のフォールド波成分、あのプロトコルが検出された時にはさすがに運命を感じたよ。 | |
青年 | フォールドストリングスによって響きあう世界。 |
少女 | ウフフ。面白い子。 |
ちゃっかり生き延びてただけじゃなく、自ら進んで因縁のガリア4へと飛び込んで来て歌っちゃうなんてね。 | |
グレイス | その後、第二次防衛戦でQ-1の存在は確定。 |
オペレーションカニバルは大幅な修正を図られることとなったのである。 |
シェリル | あんな所にギャラクシーの生き残りがいたなんてね。 |
グレイス | 幸運だったわ。ギリギリで救出してもらえて。 |
看護師 | ではお大事に。 |
シェリル | ありがとう。ほんと感謝しないとね。そのパイロットのおかげでまた会えたんだから。 |
グレイス | えぇ。 |
シェリル | でも、やっぱりギャラクシーは…。 |
グレイス | バジュラの攻撃でメインランドも凄い被害を受けて、緊急フォールドでどこかへ跳躍したらしいけど、 |
それでも無事では済まないだろうって。そんな顔しないで。 | |
全滅したって決まった訳じゃないんだから。希望はまだあるのよ、いつか帰れるって。 | |
シェリル | そうね。そうと決まれば早く退院して、シェリル・ノームの健在ぶりを示さないとね。 |
戦争のせいでベッドが足りないみたいだし、私はもう復活するし。 | |
グレイス | だめよ。無茶したせいでまた熱出てるでしょ。しっかり治るまではお仕事全部キャンセルしますからね。 |
シェリル | え?ちょっと待って!今仕事を休むのはイヤよ! |
グレイス | どうして? |
シェリル | だって…。 |
グレイス | 怖い? |
シェリル | …そんな。 |
グレイス | 今回の一件でますます人気が上がってるものね、ランカさん。 |
シェリル | 別に私は…。 |
グレイス | 大丈夫よ、あなたは強いもの。全快したらまたイヤって程仕事を入れてあげるから。 |
シェリル | あっ、ちょっと待ってグレイス! |
グレイス | ホント強いわあなた。切り捨てた筈なのに生きて帰って来るんですもの。 |
プロジェクト・フェアリーは失敗と判断。フェアリー9は廃棄。 | |
本作戦はクイーンという重要な駒を得て、新たな段階へと進む。 |
キャシー | 例のギャラクシーのパイロットの件だけど、アルト君の言う通りね。 |
ガンカメラの映像とも照合したけど、ガリア4壊滅以前からフロンティアの近くに出没していたのと同じ機体なの。 | |
オズマ | におうな。アルトの奴、いくら今回の件で昇進したからってオーナーのビルラー氏から直々に呼び出しが掛かるってのは。 |
キャシー | 口封じ? |
オズマ | いや。もっとデカい裏がありそうだ。 |
キャシー | あいにくだけど、父は、グラス大統領はこの件には絡んでないわ。 |
オズマ | …いや、大統領を疑ってる訳じゃ…。 |
キャシー | いいのよ。私も気になっていて、ちょっと探りを入れてみたんだけどね。 |
オズマ | すまない。 |
キャシー | ううん。 |
オズマ | しかし、だとすれば、一番怪しいのは…。 |
キャシー | レオン…。 |
レオン | 確信があった訳じゃない。117船団の生き残りだったとはいえ、血液検査は白。 |
記憶も無いと言うし、それでも何かの役に立てばいいと思って監視は続けたが、まさかど真ん中のストライクだったとはねぇ。 |
シェリル | うるさいわね。検査ならもう…。 |
アルト | 俺だシェリル。入るぞ。 |
シェリル | あ、アルト!? |
アルト | あぁ。 |
シェリル | ちょっと待って。 |
アルト | どうした、具合まだ悪いのか? |
シェリル | いいわよ。入って。 |
アルト | よお。なんだ思ったより元気そうだな。 |
シェリル | 何よアルト、やっとお出まし?ずいぶんと遅いじゃない。 |
ランカ | あ、あのシェリルさん。お加減いかがですか? |
シェリル | ランカちゃん…。 |
スクープ!! |
幻の路上ゲリラライブ映像を発掘! |
キャスター | ただいまユニバーサルボードでも人気急上昇中の現代のリン・ミンメイことランカ・リー。 |
デビュー前のすっごいお宝シーンが発掘されちゃいました。 | |
キャスター | えーこの度見つかったのは、ランカさんがアイランド3のショッピングモール、 |
フォルモでストリートライブを行った様子を、その場に居合わせた人が、 | |
携帯や自販の監視カメラに偶然写されたものを[?]再構成したものなんです。 | |
キャスター | すごーいですねぇ。デビュー前のランカ・リーがあのシェリル・ノームのカバーを歌っていたなんて驚きです。 |
キャスター | それではさっそくご覧ください。どうぞ。 |
アルト | いいのか?シェリル、ちゃんと寝てなくて。 |
シェリル | いいのいいの。ずっと寝てばっかじゃ息が詰まるわ。それにしても無事で良かったわね、ランカちゃん。 |
ランカ | あ、はい。ありがとうございます。えと、アルト君やギャラクシーのパイロットさんに助けてもらって。 |
アルト | ああ、うん…まぁ。 |
アルト | ん? |
ランカ | えぇ? |
シェリル | この歌!? |
ランカ | うそ!?うわぁー、どうして? |
アルト | これってまさか…。 |
シェリル | 私たちのデートの時の。 |
ランカ | デート!?デート……。 |
アルト | あぁっ、違うって!にしても良く撮れてるな。 |
ランカ | でもなんか…超恥ずかしい。 |
シェリル | 結構素敵よ。初々しくて、夢見る乙女って感じで。 |
ランカ | あの、私、この頃は全然自身が無くて、でも助けてくれたんだよね?アルト君。 |
アルト | えぇ? |
ランカ | あれアルト君だよね?あの紙ヒコーキ。 |
アルト | 見えていたのか? |
ランカ | やっぱり!いつもいつもありがとね、アルト君。 |
アルト | まぁ、あ、いや…あれはただの偶然…。 |
シェリル | なら私にも言わせて。ライブの時も、この間の戦いの時も、ありがとうアルト。 |
アルト | シェリル…。 |
ランカ | …。 |
アルト | あ、だけど俺も助けられたんだぜ、お前達の歌に。 |
シェリル | &ランカ | 歌? |
アルト | そう。さよならライブの戦闘でやられそうになった時、聞こえたような気がしたんだ、お前達の歌声が。 |
ランカ | 歌が…。 |
シェリル | 聞こえた…。 |
ランカ | うそ!?本当に通じたの? |
シェリル | 私たちの気持ちが? |
ランカ | 凄い凄い!凄いよアルト君! |
アルト | おいランカ。ただの空耳かもしれないし。 |
一般人 | あれってシェリルとランカ・リー? |
一般人 | うっそー! |
一般人 | マジ!? |
アルト | ランカ、シェリル。 |
アルト | シェリル! |
ランカ | シェリルさん! |
アルト | 大丈夫か。 |
シェリル | ごめん。大丈夫だから。心配ないって。ね。 |
ランカ | シェリルさん。 |
アルト | はぁー。だから大人しく寝てろって。 |
謎の人物 | 失礼ですが、ランカ・リーさんでいらっしゃいますね? |
ランカ | え?あ、はい。 |
謎の人物 | 大統領府より、あなたをお迎えに参りました。 |
ランカ | 私を? |
アルト | どうしてランカを? |
アルト | ったく、こんな時に呼び出しかよ! |
シェリル | アルト。 |
オズマ | (いいかアルト、くれぐれもオーナーの前で余計なことを喋るんじゃないぞ) |
アルト | 分かってるって。 |
グレイス | ッフ。さすがに用心深いわね。さ、私たちも行くわよ。王子さま。 |
ランカ | は、初めまして、三島首席補佐官さん。でも、どうして政府が私のためにプロジェクトチームを? |
レオン | それは君が、君の歌がバジュラに対する切り札になるかもしれないからさ。 |
ランカ | え?バジュラに? |
レオン | 紹介しよう、君のプロジェクトを支えるリーダーを。 |
グレイス | は~い、ランカさん。 |
ランカ | グレイスさん!? |
レオン | そしてもう一人。以後、君のボディーガードとして常に行動を共にする。 |
ブレラ | ブレラ・スターンだ。 |
ランカ | あ、ええ!? |
メイド | ご主人様、早乙女アルト様をお連れいたしました。 |
アルト | !?なんだここ。お、おい。 |
ビルラー | ようこそ。 |
アルト | うわあっ! |
ビルラー | 早乙女アルト少尉。リチャード・ビルラーだ。 |
アルト | あなたが…。 |
ダイアモンド クレバス 50/50(エンディング)
中年 | リチャード・ビルラー、あの少年を取り込もうとしているのか。 |
少女 | 早乙女アルト君だっけ?意味不明よ。かわいい顔してるけど、ただのパイロットでしょ? |
グレイス | でも事態の推移に深く関わってきたし、これからも関わるでしょうね。ランカ・リーとシェリル・ノーム、そしてビルラー。 |
青年 | いるよね時々、時代に魅入られたような人間って。凄い幸運、いや、悪運かな、の持ち主がさ。 |
少女 | ふ~ん。でも、これで舞台も役者も揃ったみたいね。 |
老人 | うーん。これが真の始まりだ。 |
グレイス | プロトカルチャー50万年の歴史でさえ成しえなかった夢への……。 |
予告 | 自分の歌がバジュラへの切り札。突きつけられた事実にランカが出す答えとは。 |
次回「ランカ・アタック」戦略の歌、銀河に響け。 |