ランカ | ハオチーライライ メイクーニャン(好吃来来 美姑娘) |
ニャンニャン ニャンニャン ニーハオニャン | |
ゴージャスデリシャス デカルチャー | |
おいしいニャン♪ |
大統領 | ヒュドラを襲った疫病は大変悲しい出来事でした。 |
ですが、対策は有効に機能し、生態バランスは安定に向かっています。 | |
また、この疫病の原因については現在調査を進めておりますが、 | |
少なくとも人間に影響するものではないという判断がなされており[?]、市民のみなさんにはご安心いただきたいと思います。 | |
また、一連のバジュラとの戦闘、および、今回のヒュドラの駆逐や、 | |
ヒュドラによって狩られた草食動物類によってもたらされた環境平衡曲線の低下についてですが、 | |
この数週間に渡り政府は……。 |
キャシー | シンデレラね、まさに。 |
レオン | おやおや。少々トゲのある物言いだね。 |
キャシー | あら。何のことかしら? |
レオン | いずれ12時の鐘が鳴ったら、魔法は解ける。 |
キャシー | ・・・。違うわ。あの子はガラスの靴をみつけたのよ。きっと。 |
レオン | 君が履き損なった。 |
キャシー | 履けなかったんじゃなくて、履かなかったの。 |
キャシー | どうしてガリア4なの?調査隊を送るにしても、他に有望な星系がありそうなものだけど。 |
レオン | ある筋からの情報でね。あの惑星は要注意だと。 |
キャシー | ビルラー氏? |
レオン | どうかな。 |
ランカ | 今度ファーストライブやります。みなさん来てくださいね。よろしくお願いしまーす。 |
(このディスプレイ、表と裏で別々の映像を映せるようです) |
トライアングラー(オープニング)
ランカ | みなさん、ありがとうございました。 |
社長 | 次は雑誌のインタビューです。急いでー。 |
ランカ | はい。 |
ランカ | 「アルト君へ。あの映画が公開されてから、なんだか夢みたいな毎日が続いています。 |
目がまわりそうっていうの、きっとこういうことなんだね。 | |
私は社長の言うとおり、目の前のことを次々とこなしていくだけで精一杯です」 | |
社長 | 見て、ランカちゃん。 |
ランカ | え? |
社長 | もうすぐですね~。あそこで。 |
ランカ | うん。嘘みたい。シェリルさんと同じところで、私のファーストライブなんて。 |
ランカ | 「あ、そうだ。アルトくん、来週誕生日なんだって?ナナちゃんから聞きました。パーティーとかするのかな。 |
そのときは、お休みをもらって必ず行きます。もちろん、プレゼントを持って」 | |
社長 | ランカちゃん。行きますよ~。 |
ランカ | あ、はい。 |
ナナセ | ええ?早乙女くんのところにも、何にも連絡ないんですか? |
アルト | なんで俺んところに来るんだ? |
ナナセ | メールに書いたんです。早乙女くんの誕生日のこと。 |
シェリル | 誕生日?何よアルト、あんた誕生日なの? |
アルト | まあな。 |
シェリル | へぇ~。 |
ナナセ | だからランカさん。きっと早乙女くんには何かって…思ったんですけど。 |
ルカ | きっと来ますよ。今はファーストライブも決まって、すごく忙しいだけですよ。 |
シェリル | それに一番楽しい時でもあるしねぇ。毎日が新しいこと尽くめで。 |
ナナセ | そういうものですか? |
シェリル | 経験者は語るのよ。 |
アルト | その経験者とやらは、近ごろ暇らしいな。やたらと学校で見かけるが。 |
シェリル | 経験の分、時間のやりくりがうまいのよ!言っとくけど、仕事が少なくなった訳じゃ…… |
ハッくしゅん!へっくしゅん!っくしゅん! | |
あ、気が利くわね。 | |
ミハエル | 誰かと違ってね。でもまじめな話、結構ムリしてるんじゃない?うちの科、それなりにハードだし。 |
シェリル | いい息抜きだわ。それに来週からは、またしばらく来ないつもりだし。 |
ミハエル | 仕事? |
シェリル | そ。ちょっと珍しいやつが一つ。 |
キャシー | ガリア4で慰問公演?シェリルさんが? |
オズマ | ああ。その護衛任務に人をまわせないかと打診があったんだが。 |
キャシー | 請けたの? |
オズマ | いや。何せ、あそこに派遣されてる新統合軍の部隊は、かの有名な第33海兵部隊だからなぁ。 |
キャシー | え?まさかあの…ゼントラーディ主体の。 |
オズマ | そう。あの部隊だ。妙だよな、最近の政府の動きは。 |
ヒュドラの疫病の件といい、今回の件といい、例の謎のバルキリーについても、だんまりを決め込んでやがる。 | |
キャシー | 私もちょっと調べてみるわ。いろいろ気になってたし。 |
オズマ | 頼む。 |
キャシー | 気になるって言えば…もう見たの?映画。 |
オズマ | いやぁ。 |
キャシー | あら、せっかくランカさん活躍してるのに。 |
オズマ | うるさい!誰が何と言おうが、俺は絶対に見ないぞ!!こんな低俗な映画! |
ミハエル | へ~。大気があるんだ、ガリア4って。 |
ルカ | はい。ガリア1は赤色巨星で、4は自転周期と公転周期が一致してるため、常に同じ面をガリア1に向けています。 |
そのため、昼の面と夜の面の温度差が激しく、居住には全く適しませんが、確かに呼吸可能な大気が確認されています。 | |
アルト | そうか。大気が…。 |
ルカ | ここからだと、主観時間でほぼ一日。客観では一週間近くかかっちゃいますけど。 |
ナナセ | それって…。 |
ルカ | 大きなフォールド断層があるんです。そのせいですね。 |
ミハエル | でも慰問なんて珍しいな。この前やったドキュメンタリーの第2弾? |
アルト | さあな。 |
ルカ | ああ、あれびっくりでしたよね。アルト先輩とか出まくりだし。 |
僕も結構映ってて、兄や弟たちに羨ましがられました。 | |
ミハエル | 何抜かしてんだよ。お前ん家の兄貴たち、経済誌に出まくりだろうが。 |
「マイクロマシーンからフォールド機関まで」の大企業、LAIのお坊ちゃんがぁ。 | |
ルカ | お坊ちゃんはやめてくださいよぉ。 |
矢三郎 | アルトさん。 |
アルト | あ? |
兄さん…。 | |
ルカ | 兄さん? |
矢三郎 | シェリルとかいうお嬢さんの番組、見ましたよ。元気にやってるようですね。 |
アルト | まあな。 |
矢三郎 | それから、これも。 |
アルト | ? |
矢三郎 | うれしかったですよ。まだ芝居を忘れてなかったんですね。 |
アルト | ただのスタントだ。仕方なしにやっただけの。 |
矢三郎 | でも、芝居は芝居です。 |
ルカ | 早乙女矢三郎。早乙女一門の歌舞伎役者で、先輩の兄弟子さんみたいですね。 |
ナナセ | 本物のお兄さんじゃなくて? |
ルカ | はい。ただ、アルト先輩が家を出たせいで、嵐蔵を襲名する筆頭候補になってるそうです。 |
アルト | わざわざ映画の感想を言いに来たのか? |
矢三郎 | 嵐蔵先生が倒れました。 |
アルト | え!? |
矢三郎 | 幸い命に別状はなく、マスコミには伏せることができましたが、ご無理が祟っているようで、 |
今も自宅に臥せってらっしゃいます。 | |
アルト | …俺には関係ない。 |
矢三郎 | 本当にそう思っていますか?もうすぐ誕生日ですね。 |
アルト | それが? |
矢三郎 | あなたに贈り物があります。 |
社長 | はい~。ランカちゃん♪ |
頼まれていたアリーナのチケットです。 | |
ランカ | ありがとうございます。社長。 |
社長 | でもぉ、どうしてわざわざ?お友達にも、ご家族にも、私の方で手配を…。 |
シェリル | 直接手渡したい相手がいるのよねぇ。 |
ランカ | ……。 |
シェリル | 期待の新星に。 |
ランカ | ありがとうございます。これもみんなシェリルさんと。 |
シェリル | アルトのおかげ? |
ランカ | あ。 |
シェリル | バースデープレゼントでしょ?それ。 |
ランカ | あ、これだけだと、ちょっとあれかなとか思ったりするんで…。他にも一応……。 |
シェリル | そう。アイツ喜ぶわよ。きっと。 |
ランカ | (あ、アイツって呼ぶんだ) |
あ、あの、シェリルさん。 | |
!?シェリルさん? | |
シェリル | …った、ごめん。ちょっと立ち眩みしちゃった。 |
ランカ | 大丈夫ですか? |
シェリル | もちろん。体調管理はこの仕事の初歩だもの。でしょ? |
ランカ | ……。 |
グレイス | だから無理するなとあれほど。熱も上がってますよ。 |
シェリル | なんでもないわ。この程度。 |
グレイス | やっぱり無理よ。慰問の仕事はキャンセルした方がいいんじゃ。 |
シェリル | 行くわ。 |
グレイス | あの噂のせい?ガリア4にギャラクシーの生き残りがいるかもしれないって。 |
聞かせるべきじゃなかったわ。安全だって保証されないし。 | |
シェリル | 何度も言わせないで。行くわ! |
グレイス | ならちゃんと薬、飲んでもらわないと困ります。 |
シェリル | これくらい、気合で治してみせるわ。 |
……。 |
レオンの部下 | 例のモノは、無事引渡しが終了したようです。スペックはその設計図通り。LAIの技研は狂喜してましたよ。 |
レオン | フェアリーは? |
レオンの部下 | 予定通り、ガリア4に行くそうです。先ほど確認の連絡がありました。 |
レオン | 遠路遥々、ご苦労なことだねぇ。フォールド断層さえ無ければ、一瞬で飛べる距離なのに。 |
クラン | 第33海兵部隊?なぜそのようなことを聞く? |
キャシー | 今度、慰問公演が行われることになったの。大尉なら詳しいんじゃないかと思って。 |
クラン | 慰問か。確かに連中なら、そんなこと言い出し兼ねんな。 |
キャシー | というと? |
クラン | 私やネネは、第一次星間対戦の折、真っ先に人類の味方についたゼントラーディの末裔(まつえい)だ。 |
だが一方で、対戦後に仕方なく人類に降った連中もいる。 | |
その両派は常にいがみ合っていて、隊として機能していない、新統合軍の鼻摘み者。それが、第33海兵部隊だ。 | |
キャシー | 噂には聞いてたけど、そんなに酷いの? |
クラン | 大方ごねたのだろう。娯楽を提供しなければ任務を放棄するとか何とか。まったく、ゼントラーディの恥だ! |
キャシー | ……。 |
ランカ | レシピありがと。今夜は家に帰れそうだから、さっそく試してみるね。 |
ナナセ | それよりランカさん。 |
ランカ | ん? |
ナナセ | 早乙女くんと連絡とりました? |
ランカ | え?まだ…だけど。 |
ナナセ | 私の気にし過ぎかもしれないんですけど。 |
最近、早乙女くんとシェリルさん、何というか……すごく…仲がいいというか。 | |
ランカ | ふたり…付き合ってるのかな、やっぱり…。 |
ナナセ | それはありません!いえ、まだそれはないはずです。 |
でもランカさん、このままボヤボヤしてると取られちゃいますよ。いいんですか? | |
ランカ | いいも何も、だってアルト君は……。 |
社長 | ランカちゃ~ん。準備できましたかー? |
ランカ | はい。 |
じゃあ、お仕事始まっちゃうから、またねナナちゃん。 | |
ナナセ | あ、ランカさん? |
ランカ | (ナナちゃん。いきなり過ぎだよ。私、アルト君のこと……) |
シェリル | (アイツ喜ぶわよ。きっと) |
社長 | まだかな~。みんな待ってますよー。 |
ランカ | は、はい!あの、ちょっと待ってください。一分だけ。 |
ランカ | あ、あのアルト君…。 |
アルト | 「アルトだ。電話に出られない。用事のある奴はメッセージを残せ」 |
ランカ | はあーー。あ、ランカです。最近あんまり会えなくてごめんね。って、なんで謝ってんだろう。 |
会えなくて残念かどうかって、アルト君が決めることだよね。あは。バカだな、私。 | |
…それでね、あのう…たっ誕生日のこと聞いたの、ナナちゃんから。 | |
それで、良かったらなんだけど、プレゼントもらってほしいの。 | |
誕生日の日、あの丘で、グリフィスパークの 丘で待っててくれる?必ず行くから。だから……。 |
矢三郎 | あなたに贈り物があります。先生に、約束を取り付けました。 |
誕生日にあなたが先生のところに顔を見せれば、勘当を解くと。 | |
アルト | …余計なお世話だ。俺は自分で望んでパイロットになった。今さら…。 |
矢三郎 | 嘘はお止めなさい!あの番組を見て、あの映画を見て、私は確信しました。あなたは演じることをやめられない。 |
アルト | そんなことはない!! |
矢三郎 | 本当ですか?今もあなたは演じ続けているというのに。親に反発して、パイロットを目指す青年という役を。 |
アルト | くっ、違う!俺は!! |
矢三郎 | ほら、今も酔ってるんです、あなたは。その陳腐な役柄に。もうお止しなさい、格好をつけるのは。 |
あなたは私がどれだけ精進しても得られない、血を受け継いでいるんです。呪いにも似た、役者の血を。 |
アルト | (俺は……) |
うわぁっ! | |
シェリル | お・ま・た・せ♪ |
アルト | いきなり何しやがるっ!! |
シェリル | どうしたの?いつにも増して暗~い顔して。しかも何よ、その情けない格好。 |
アルト | …お前な、人の事どうこう言える格好か? |
シェリル | 営業よ、営業。あんたの胸板と違って、私のは人々に夢と希望を与えるの。 |
アルト | ったく。どうすりゃそこまで自信家になれるんだか。 |
シェリル | 当然でしょ。私はシェリルだもの。 |
アルト | で、そのシェリル様が何の用だ?こんな所に呼び出して。 |
シェリル | あんたにプレゼントをあげようと思って。 |
ねえアルト。あなた空を飛んでみたくない?どこまでも続く本物の空を。 | |
アルト | ……。 |
ランカ | はぁはぁはぁ……。 |
社長 | (仕方ありませんね~。2時間だけですよ) |
ランカ | (アルト君…) |
ランカ | はぁはぁはぁ……。アルト君。アルトくーん。 |
ミハエル | あぁ、ランカちゃん。 |
ランカ | ……。 |
ミハエル | ごめん。アルトじゃなくて。あいつに頼まれて来たんだ。アルトの奴、今頃……。 |
アルト | フォールドブースター。全接続チェック。オールグリーン。 |
オペレータ | グッドラック。スカル4。 |
弟子 | くっ、うあぁ! |
嵐蔵 | 成っておらん!このたわけが! |
矢三郎、お前が手本を見せてやれ。 | |
矢三郎 | はい。 |
嵐蔵 | そう言えば、襲名の件でわしに折り入って話しがあると言っておったな。なんだ。 |
矢三郎 | いえ。…何でもありません。 |
(人は叶わぬから、夢を見るのか。叶わぬから、夢なのか) |
シェリル | さあ、長旅よ。しっかりついて来なさい、アルト。 |
アルト | そっちこそ、遅れるなよ。 |
シェリル | ありがとう、来てくれて…。 |
アルト | ん、何か言ったか? |
シェリル | …何でもない! |
レオン | お見事。ここまでは、あなたのシナリオ通りだ。 |
グレイス | 今後も事態は予定通り進む。 |
レオン | 吉報を期待してますよ。 |
グレイス | あぁ。追ってまた連絡する。 |
ランカ | あ!あなた。 |
アルト君、行っちゃったんだって。シェリルさんと。 | |
あ!慰めてくれるの?やさしいね。食べる?初めてだから、あんまり上手にできなかったんだけど。 | |
アルト君。ハッピーバースデイ。 | |
ん?苦っ! |
ダイアモンド クレバス(エンディング)
予告 | ガリア4へ旅立った、アルトとシェリル。そこに待ち受けていたのは、思いも寄らぬ罠だった。 |
次回「ファステスト・デリバリー」門出の歌、銀河に響け。 |