ラオガイ(労改)


ラオガイ(労改)

歴史にわたる独裁政権は、権力を維持するために、恐慌と抑制に頼ってきた。ナチスの強制収容所、ソ連のグラーグ(矯正労働収容所)、その他の世界中の抑制制度に対して、世界中の人々が非難し続けている。しかし、世界で最も規模が大きく、抑圧的な収容所システムであるラオガイ(労働改造、略称「労改」)に対しては、声があげられてこなかった。中国政府は1950年初めから、無償の労働力として収容者を搾取する一方、事実上政治・経済・宗教的なものに関わらず、反対意見を押しつぶし、反抗の原因となるものを根絶するために、ラオガイを利用してきた。
毛沢東の支配下では、収容者は農業や鉱業に関わる無償の労働力として利用するだけでなく、道路や灌漑施設といった主要なインフラ建設プロジェクトを完遂するために投入された。ここ最近中国は市場経済を採用しているため、ラオガイは政府に対する大きな収入源となってきており、また収容者はお茶、子供用玩具、半導体といった多岐に渡る品物の生産に強制的に従事させられている。

元々ソ連の矯正労働収容所にならって始まったが、今日のラオガイは千を超える収容所で、数百万人の人々が被害を受けているほど大きなものとなっている。多くのラオガイの収容者は通常の犯罪で収容されているが、中国の刑事・司法システムにおいては法的手続きや法の支配の概念は全く重視されていない。このため、中国において公正な裁判による判決はほとんど期待できず、よくてもあやふやな判決しか期待できないことを意味している。ラオガイに収容されている多くの人々は、事実上、自分が国家転覆や国家機密漏洩などの政治的な罪でそこに収容されていることを知っている。これらの罪の定義はとても広く、様々な表現の方法についても押さえつける効力があり、当局が人々を逮捕する際の正当化のために使われる。さらに、経済生産におけるラオガイの役割は、収容者を増やすために報奨金を出し、人々をラオガイに入れることによって中国政府に利益をもたらすことである。1949年にラオガイシステムが始まって以来、4~5千万人の人々がラオガイに収容され、無数の人々が残忍な状況のもとに亡くなったと推測される。

1994年に労改の国際犯罪の増加を食い止める努力において、中国政府は正式に、ラオガイ(労改)という用語をジアンユ(監獄)に変更した。この化粧直しにも関わらず、そのシステムは変わらないままであり、1995年1月7日の政府公認の北京法曹新聞の記事において、中国政府ははっきりとこのように述べている:「これゆえ労改という言葉はもはや存在しないが、我々の監獄の運営に対する機能、性格、業務は変わらない」。

強制労働
ラオガイは受刑者や反体制者を拘留し、更正させるための施設ではなく、中国経済と密接に繋がっている。強制労働で生産された品物で国内外の市場へ参入することを許可することによって、中国政府は強制収容所から堂々と利益を得ている。ラオガイは千を超える収容所で無償の労働力を提供する収容者に頼っている。多くのラオガイは商業的な企業経営を行っており、それは工場、農園、作業所、鉱山といったものである。実際、多くの収容所は、多岐に渡る製品を生産するたくさんのラオガイ企業を所有している。一般的に中国の刑務所は2つの名前を持っている: 商売のための商業的な名前と刑務所の施設を判別するための正式な管理名である。収容者には給与は払われないため、これらのラオガイ企業は莫大な利益を得ることができる。ラオガイ企業の一部を意図的に隠し、生産された製品にはあいまいなラベルが貼られるように要求し、多くのラオガイ製品は仲買人によって取引されるため、ひとたび市場に入ってしまうと、ラオガイ製品の製造元を追いかけることは極めて困難となっている。その結果、1992年の刑務作業製品取引禁止に関する米国と中華人民共和国間の覚書や、1994年の同様な共同声明等の相互貿易条約などは、実施が難しく、効果的でないことが判明している。さらに、多くの外国政府は中国及び中国の成長経済との取引関係を維持するための方法を進んで探している。”Dunn&Bradstreet製品データベース”に存在する米国内におけるラオガイ製品の広告に関して、我々の報告書をダウンロード、あるいは希望すれば入手することが可能である。
ラオガイの歴史と構造に関するより詳細な情報は、我々の労改ハンドブックをご覧頂きたい。

LRFが行っていること
LRFはラオガイに関する全ての情報を集約判別する組織である。中国及び世界中の我々のサポーターネットワークと共に、我々のミッションはラオガイを取り巻く秘密のベールをはがすことである。

ブラックシリーズ: ラオガイの生き残り
抑圧のシステムとしてのラオガイは60年の歴史がある。残念ながらラオガイで生き残った人は、当局からの報復を恐れて彼らの経験したことを公にすることができない。ラオガイの歴史を保存し、ラオガイで引き続き起きている人権抑圧を文書化するために、LRFはラオガイで生き残った人々の一連の記憶として、このシリーズを作成した。ブラックシリーズは中華人民共和国の60年間の歴史の中の、ラオガイでの人生について記録する、LRFの最も重要なプログラムである。

労改ハンドブック
LRFが2年に一度発行する労改ハンドブックは、世界で唯一独立の、公的に利用可能な中国のラオガイのカタログである。最新版では、前版で未収録だった2008年9月以降の情報も盛り込まれており、現在運営中のもの、廃止されたもの、併合されたもの、移動したものを含む1402の収容所を明らかにしている。しかしこの数字はまだ推定に過ぎず、これ以上の収容所が存在する可能性が高い。中国政府は、ラオガイに関する国家統計は極秘情報であると考えているものの、ラオガイに関する秘密を守ることは難しいのである。労改ハンドブックはダウンロード可能で、印刷版も購入可能である。

ラオガイシステムに関する研究
LRFは、ラオガイの生産システムや国際供給プロセスに関する研究を含む、ラオガイシステムの様々な面を主体的に調査し、報告している。2008年の”Dun & Bradstreetデータベースにリストアップされるラオガイ強制労働収容所”では、国際ビジネスデータベースである”Dun & Bradstreet”の中のラオガイ企業314社の詳細を報告している。LRFの最新のレポートである”非売品: 非合法輸出に対する強制労働製品の広告” では、100を超えるラオガイ企業が、広告や、インターネット上に英語でリストアップしていることを示しており、米国を含む国際市場にラオガイ製品を輸出する意図があることを読み取ることができる。労改システムに関する概要報告もダウンロード可能である。






最終更新:2011年03月09日 22:20