黄金の瞳の少女 ⑦


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一方その頃、ノイシュヴァンシュタイン桜子城では
「失敗した」
おびただしいロボの残骸―アメイジング・グレイスの壊滅跡で気絶していたグレイスに迫る影があった
「あの忌々しいワンダーワールドは作戦を無視、カトウは撃退、そしてグレイスも」
巨大な獅子を車椅子代わりにボロボロの服で現れたのはドロシーであった
「やはりまだ子供だったと言う事か」
ドロシーの背後に巨大な剣を構えた全身鎧の騎士が現れる
「駄目な子にはお仕置きが必要」
ドロシーの目に残酷な光が宿る
ドロシーの使役する三体の魔物の一つ、樵がその無慈悲な刃を振り下ろした時
ガキイィィン!!
「何とか間に合ったね!」
なんと重さ百数十キロ長さ3mにもなる巨大な刃の衝撃をクールに受け止めた男がいた
「可憐な少女のピンチに駆けつける。それが真の騎士ってものさ!と言いたいのだろう?我が主よ」
「本気で台詞もってかれた!?」
喋る剣と端正な顔立ちの中にどこか幼さと三枚目な雰囲気が香るスコットランド人
ジョン・ランスロットその人である
「・・・誰?」
無表情だが白けオーラを漂わせながらドロシーが呟くも
「ところで我が主よ」
「なんだいアロンダイト?ボクのセリフ強奪はもうノーセンキューだよ」
「いや、そんな事はどうでも良いとして我が主よ。この娘は敵ではないか?」
「僕にとっては大問題だよ!ってえぇ!?敵!??」
そんな呟きも剣と騎士の会話(漫才)に掻き消される
「いや、敵だろうとヨウジョを守るのが騎士の務め。この笑顔、守りたい
 そう言いたいのだろう?我が主よ」
「なんかどっかで聞いた事があるセリフありがとう!でも今はそんな余裕無い!!」
大剣を受けたまま横からの獅子の攻撃を短刀で防ぐジョン
「無視は嫌い」
「くぅ!」
短刀は砕かれたが何とか致命打の一撃を逸らす事に成功する
「やっぱりアロンダイト程の強度が無いとこのクラスとはやり合えないか」
「褒めるな我が主よ。恥ずかしい」
「剣なのに赤くなってる!?」
そんな真剣な状況の中でもどこかふざけ合う2人にドロシーはイラついたのか攻撃はますます激しくなって行く
「こ、これは流石にキツイね。でも女の子相手に技を使うのも気が引けるし」
「そんな事を言っている場合ではないだろう?我が主よ」
激しさを増す全身鎧の騎士と獅子の攻撃に流石のジョンも押されつつあった
「仕方ない。これ以上汗をかいてクールさを失うわけにはいかないからね」
そう言うとジョンは一度騎士と距離をとりアロンダイトを天高く掲げ一気に地面に振り下ろした
「グランクラッシャー!(アロンダイト)」
「何その技名!?僕の考えたのと違う!」
剣圧により巨大騎士目掛けて地面が砕けながら隆起してゆく
「!?」
巨大騎士はどうやらその斬撃は化け物的スピードであっても本体の動きまではあまり速くないようである
「これでバランスを崩したら一気に叩くよ!」
ジョンがそういった矢先
「!?」
ジョンの放った衝撃波が巨大な騎士直前で見えない壁にぶつかった様に掻き消される
土煙の晴れた先に居たのは三体目の使い魔、一見放浪者の様にも見える魔術師の案山子であった
「魔術師まで!」
「どうやら本気で手加減できなくなってしまったな。我が主よ」
「なら使い魔だけを倒せばいいだけの話さ。クールにね」
「・・・ふざけた男。嫌い」
ドロシーがそう呟くと三体の使い魔は驚くほど連携の取れた攻撃で休む間も無く攻撃を仕掛けてきた
「ちょ!やばっ!これやばっ!」
「クールじゃなくなっているぞ?我が主よ」
大剣と爪、そして魔法の攻撃を受けて防戦一方になったジョンだったが
「その娘が鍵だ!ジョン・ランスロット!」
突然掛けられた声の先を見るとそこに居たのは
「カイザーさん!」
左肩と上腕に痛々しく槍の刺さったカイザー・ウェルドバングだった
次の瞬間ドロシーの居た場所がカイザーの絶殺視によって焦土と化していた
ほぼ全方位から照射されたはずのビームがドロシーの周囲10数mで掻き消えたのだ
まるで見えない壁に守られているかのように・・・
「カイザーさん!これは一体!?」
「OZの力だ」
その会話の隙を狙って獅子がカイザー目掛けて突進してくる
「ちぃっ!」
ジョンは咄嗟に道具用に持っていたナイフを投げたが獅子はそれを簡単に後ろ足で払い落としてしまう
しかし隙はその一瞬で良かった
獅子がナイフを払いのけるようと注意がそれた瞬間、カイザーは獅子にビームを集束する―が
ブンッ
「な、消えた!?」
ビームはかわせるタイミングではなかった
しかし獅子は忽然とその姿を消し絶殺視のビームは悉く空を切ったのだ
「後ろだランスロット!」
「はっ!?」 ガキィイン!!
カイザーの言葉に咄嗟にアロンダイトを後ろに回し獅子の一撃を防御する
「超高速移動だ!絶殺視で追うのがやっとな程の!」
「主よ、清らなる水の心だ。ネス湖の畔で修行した明鏡止水の心ならば」
「あぁ、分かってるよアロンダイト!」
再び掻き消え死角から襲ってくる獅子の攻撃をジョンは目を閉じたままかわした
獅子の爪、巨大騎士の大剣、案山子の魔術
それらを全てジョンはかわし、受け、アロンダイトで薙ぎ払った
「見えない攻撃をかわせるとは不思議」
なかなか片付かないジョンにドロシーも思わず感想を漏らす
そうした激しい攻防の中ジョンは依然として意識を失ったままの幼い少女の様子を伺う
(外傷は無い、でもどうやって助け出そうか・・・)
「何故わざわざ敵を助ける?」
そんなジョンの行動を見てドロシーが話しかけてきた
「仲間への制裁は我々の問題。お前達の関わる事ではない」
使い魔と激しい攻防を繰り広げながらもジョンはその問いに一片の曇りも無い答えで返す
「僕が騎士だからだ!」
「騎士?」
ドロシーは一瞬自分の使い魔である巨大な全身鎧の騎士を見る
「騎士は主の命に忠実に従う戦士。理解できない」
「それは違う。騎士とは弱きを助け強きを挫く者
 愛する者のために戦い、勇気と優しさを失わない者の事だ」
こんな、世界が滅茶苦茶になり力と悪が支配する世の中で未だにこんな事を堂々と言えるなんて
ドロシーの脳裏に一瞬あの騎士の姿が思い浮かぶ
己の強さだけを信じ戦い続ける火のような心を持ったあの騎士が
「・・・解らない」
ドロシーがそう呟くと三体の使い魔の攻撃がピタリと止む
「?なんだ?」
三体の使い魔は様子の変わったドロシーの元に戻り獅子はドロシーを乗せ低く唸り始める
「解らない。解らない。解らない。解らない」
俯きながらブツブツと何事か呟き続けるドロシーの前で案山子の一本足は地に根を張り
その根は周囲に広がりながら樹木を成し森を形成してゆく
「な、なんだこれは・・・」
「主よ、どうやらこれが相手の本気らしいぞ」
「城が・・・森に呑み込まれてゆく」
森はあっという間に広がり城全体を埋め尽くす程に成長してゆく
「案山子よ・・・偉大なる歴史の陰に埋もれし魔術師よ・・・あの騎士の心を私に見せ給え・・・」


黄金の瞳の少女 ⑦ 終り
次回
「私って人間じゃなかったんでしょうか?機械だったんでしょうか?
 私は誰かの偽物だったんでしょうか?私は―」
今にも崩れそうなナナエルをギデオンは強く抱きしめた
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