闇伝 外道対外道6


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「・・・何だと!?」
「間違い、ありません。彼ら3人の乗った飛行機は何者かにより爆砕、乗員乗客の生死不明、とのことです」
征雄のエージェントたちを乗せた飛行機が狙われた・・・これは故意か? 偶然か?
「しかし、自爆テロたぁやってくれるな。さすがに人員に事欠かないってことは爆弾抱えて
 鉄砲玉に仕立て上げるくらいは屁でもねぇってか。さすがは血も涙もねぇヤツラだ」
「・・・それに関しては、我々も悪し様には言えまい。だが、これで向こうを叩く手段は無くなった、か」
「思いっきり、裏目っちまったなぁ社長。これでやっこさん達、余計に勢いが付きますぜ」
「社長・・・どうされますか?」

キートンと殺人を前に、回答は思案する。
先代派がこれで勢いづくということであれば、確かにこちらとしてはやりにくい状況にはなるだろう。
だが、逆に言えば後の先を取ることさえ出来れば、逆転の余地は残されているということでもある。
それに、元々彼らは員数外。早かれ遅かれこの事態にはなるはずだったのだ。

「結局のところ、我々が取るべき道は変わりはしない。ならば、突き進むのみさ」
「無計画なんだか、計算通りなんだか・・・ま、それが社長の道なら」
「その露払いをするのが私達の役目、ですから」
「よろしく頼むぞ、二人とも」
「まかせとけって、社長。そのために俺らが居るんだ。存分にこき使ってくれ」
「私も、社長のために必ずお役に立ってみせます」
キートン・殺人との忠義の絆は、回答にとっては数少ない確実に信頼できる要素である。
そして、その忠義に応えるのが自分の立場と指名である。

「おい、ところで萩の月はどうした。あいつここんとこ姿を見せねぇが・・・」
「やられたってことは・・・ないでしょうね。あの娘も強いから」

そんな話をしていると、立てこもっている廃屋の部屋に通じる扉が開かれる。

「・・・ここにいた。しゃちょー、おっは」
「もうおはようどころかこんばんわなんだがな、ツギ。何をしていた?」
「気がついたらみんないなくなってたから、しゃちょーの臭いを追って探してた」
「臭い、ってオマエは犬か!」
「犬の鼻、役に立った。わんわん」
石黒継萩、通称ツギハギ。その能力は渾名の如く、死体を我が身に継ぎ足すことで力を得るというもの。
野垂れ死んだ犬の死骸から、鼻だけもぎ取って使ったんだろう。

「とりあえずこれで、当代派全員集合、ですね」
「ああ・・・わんこをつけて、余計なのも来た様だけどな」
「そうだ、つけられてた。ごめんしゃちょー、隠れ家ばれちゃった」

「バカかおまえわあああああああああああああああ!!!!」
キれたキートンの絶叫と共に、完全包囲された隠れ家の四方八方から弾丸の飴霰が降り注ぐ。
異能や優れた身体能力が無くとも人を殺せる、それでいて大量生産されており手軽に手に入る銃器。
一流の暗殺者と銃器を持った素人のタイマンの結果は推して知るべしだが、4対大勢では、
状況によっては充分に個の能力を上回る可能性も存在する。多勢に無勢、という奴である。

この場は明らかに後手。ならば我らの取るべき道は・・・
「弾幕を張ります! 駆け抜けて下さい!」
「承知した!」「オッケー任せたぜ!」「がんばれあやちゃん」
殺人の裂帛の気合を乗せた呪言と共に周囲には爆裂と閃光が満ち、4人の前には道が出来る。
爆散した元人間に構っている暇はない。今はただ、生き延びるため、反撃の好機を掴むため、
そしてこの場を生き残るため、今は走るのみ!


「逃がしたか」
「さすが、腐っても親父の子、といったところか」
「さすがに、この程度で終わるとは思ってはいなかったさ。だが、彼らにこれから安住の地は無い」
「恭順の意を示すまでは、か?」
「さぁ、な。それで、もう一方はどうなっている?」
「それについては、これから、さ・・・」
先代派筆頭、三本槍の会合は、闇に紛れてゆく・・・。


所変わって、こちらは屋根のてっぺんにあるタマネギが有名な都内某所。
その場に集った烏合の衆に混じっても目立たない3人と、明らかに浮きまくりの2人のグループがいた。
「いやぁ~やっぱすっごい人っすねぇ! 気合と意地とパケ代使ってチケット買った甲斐があるってもんっすよ!」
「・・・すっげぇなぁ徳間。これが『若さがはじけてる』、って奴か?」
「そういうことは言わないほうがいいですぜ、次郎の旦那・・・悲しくなりますぜ」
「早く行こうよ、次郎、徳間!」
「早く行かないといい席取れない」
「だ~いじょうぶっすよ! 全席指定だから席は逃げないっすよ二人とも!・・・う~ん、でも、早く行って
 雰囲気を掴んでおかなきゃっす! レッツゴーっすよ、アリス、ちびメタちゃん!」
「じゃ、いってきま~す!」
「おう、楽しんでこいよー」
花子、アリス、ちびメタル(もといデスメタル)、次郎、徳間の五名が向っていたのは、どうやら世間では
主に中高生を中心に大人気だというアイドルユニット「Fairies Fly High」のライブ会場。

次郎と徳間はこの日のために、固定電話に携帯電話まで駆使してアリスとデスメタルのためにチケットを
調達しようとしていたのだが、さしもの猛者たる十六聖天の両雄もチケット争奪戦ではただのおっさん二名。
若人とオタクとテンバイヤーのパワーには為す術無く、惨敗を喫しようかと思われたその時、天啓とも思える
絶妙のタイミングで2人で一枚ずつ確保できたのである。

そのとき、神棚のリトバスEXが少し傾いたのは誰も気付かない話。

「にしても、良く取れたよなぁ・・・あんな必死に電話したの初めてだぜ」
「全くですなぁ・・・ですが、あの2人の笑顔のためなら」
「ってやつだな。にしても、こんな人が集まるくらいすげぇのか、その・・・何だっけ」
「FFHですぜ旦那。間違えたりするとお嬢が烈火の如く怒るんで、覚えちまいましたよ」
「そうそうそれそれ。しっかし、ほんと花子のやつが来てくれて助かったぜ・・・あの中には間違いなく
 俺らの居場所は無いぜ?」
「ですな。花子嬢には感謝ですな」

そんな十六聖天の花形3人娘も入れ込むFFHのライブ会場裏、楽屋の隅では・・・
「ちょ、何それ! 繋がんないとかマジありえないんだけど! あんのバカ、今日分のチケ渡したのに来ない上に
 ケータイ切ってるとか本気でどうかしてるんじゃないの? あーむかつく、今度会ったら絶対・・・」
「リカちゃーん? だいじょーぶー? そろそろ本番だよー!」
「あ、はーい! 今いきまーす! ・・・絶対許さないんだから」
「ん? リカちゃん大丈夫?」
「だいじょーぶですって! まっかせといてください!」
「何処行ってたのよリカ! さ、今日もやっちゃるわよぉ!」
「今日もびしぃっ!と決めていきましょ!」
今日の主役Fairies Fly Highのメンバー三人は、気合も充実、今日もファンに夢と希望を与えるために、
幻想の舞台へいざ舞い降りる・・・!

3人が舞台に踊り出た瞬間、少女達の黄色い声援と隅のほうからの野太い声援にタマネギ館は包まれる。
既にファンもメンバーもボルテージは最高潮、今日のステージももう既に大成功が約束されたようなもの。
「いいっすか2人とも! 大きくなったらあれくらいキレイになれるように、今のうちから頑張るっすよ!」
「「うん分かった!」」
ちびっこ二人の声は見事にハモる。
まさに彼女達、FFHの3名は世間の乙女の憧れなのである。

      • 断っておくが、FFH3人の内若干一名が非常に爛れた恋愛関係を持っていることは秘密である。

そんな賑やか極まる会場の外で、待ちぼうけのおっさん二名。
「ん? 今何か、飛んだ・・・か?」
「気のせいじゃないですかね?」

興奮の坩堝と化す会場に、一瞬の衝撃が走る!
「~~♪ ・・・! きゃ!?」
会場の歓声が悲鳴に変わる。
「うわ! リカちゃんが転んだっす!? 一体何事っすか!?」
「あっはは、ごっめんね~! さ、つづけていっくよぉ~!!」
そして会場は再び盛り上がり・・・そして、ひと時の静寂は休憩時間と共に訪れる。

「あ、ごめん、ちょっと出ます!」
「え、あ、ちょっとリカちゃん!?」
「リカ! こんな時間に何処行くの! そんなカッコで!」
「すぐもどりま~す!」
休憩時間、突如駆け出す咲間璃花の向う先は・・・?

「・・・外した!? ちっ、偶然コケただけか・・・」
まったく、何が悲しくてこんなビルの屋上で小娘一匹狙撃せにゃあかんのだ・・・
そう呟きながら、懐からヤニを一本取り出す。
「ちっ、シケてやがる・・・仕事の中身と同じ、か・・・」
何が楽しくて、こんなことせにゃあかんのだ。副社長は「重要な任務だ」とは言っていたが・・・
おっと、こんなところに火とは気が効くな。

「おっと、悪い・・・な・・・」
「やほ。おきゃくさ~ん、そんなところからタダ見はいけませんぜ~? しかもワタシにトキメキ熱視線と
 きたもんだ♪ や~ん、リカこまっちゃ~う♪」
「なん・・・だと・・・!?」
あのタマネギ屋根からここまで、どう考えてもさっき袖に入った小娘がものの数分で来れる距離ではない。
そもそも、この位置をどうやって知った!?

「はいこれ、おとしもので~す♪」
といって目の前の小娘が差し出したのは・・・先ほど撃ち出した筈の弾丸。
「いや~まいりましたよ~。何せ黄色い声に薄汚いブタどもの喚き声はよくよく飛んできますが、
 何せ弾丸ははじめてだったものでぇ~、コケたフリしてぱしぃ!っと取っちゃった! てへっ♪」
「ば、ばかな!? こんなこむ」
「すめに出来るはずがない、って? あはは、このくらいアイドルの嗜みですよぉ! 大体、弾丸の角度と
 地理さえ分かればどこからなんてすぐ分かるじゃないですかぁ♪ と、いうわけでぇ・・・」

ビルの屋上に、鈍い音が響く。それは、骨が砕ける音だったか、それとも・・・

「はい、おしまい。あー、いい気分転換になったわー。あのバカが来ない上に電話に出ないのもスッキリしたし、
 よーし、第二部もがんばっちゃうぞー!」
というわけで、第二部は滞りなく開幕し、いつにない大盛況で幕を下ろすのであった・・・。

「いやーサイッコーのライブでしたっすよ! 2人も入ればよかったのに!」
「いや、俺らは明らかについていけないから、さ」
「居ても邪魔なだけですからね。楽しみ方が分かるお嬢たちだけで行くのが正解ですよ」
「また機会があったら、今度は一緒に見ようね!」
「・・・ああ、そうだな」
激しかった戦いでの、心の傷もこれで少しは癒えただろうか。
十六聖天たちの闘いは、まだまだ続く。そんな中の、ひとときのの安らぎの光景であった。
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