スコットランド壊滅編 序章


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シルヴィア・フォリナーは窮地に陥っていた
断っておくが、彼女は強い。特筆すべき能力は特に持ち合わせていないが
それ故に全てがまんべんなく極められたオールラウンダーである
どんな状況でも戦えるのが彼女の長所であり
情に流されやすい部分が、数少ない短所と言えよう
(戦場以外では、強すぎる結婚願望故にやや打算的な男性観等も存在するのだが)

そして現在、シルヴィアは見た目が明らかに子供で
なおかつ、仲間であるアリスに何処か似た少女
アリスナンバーズの一人に騙され、捕まってしまっていた
ナンバーズの事は、事前に知っていたとはいえ
「逃げだしたい。もう戦いは嫌!助けて!」
と言われた為、シルヴィアはあっさりそれを信じてしまったのだ

「アハハハハ!バーカ。十六聖天ってのはお人好しの集まりね!
 こんなのにネームレスワンはやられちゃったの!?バッカみたい!
 あなたシスターなんでしょ?祈ってみれば?ここは教会よ?神様に祈ってみれば?」

ナンバーズの少女の嘲笑が、今は使われていない古びた教会に木霊する

「…笑いたければ笑いなさい。私はそれを恥とは思いません
 闘いの場にあっても情を捨て切れば、それはもう人ではないのですから」

シルヴィアにそんなつもりはなかったのだろうが
“人ではない”という部分が、少女の中の何かを刺激したのだろう
怒りに燃える瞳をシルヴィアに向け、拘束されたシルヴィアを殴りつけ、
倒れたシルヴィアに執拗な攻撃を繰り返していた

「ねぇ。その人は女の人なんだし、男の僕が何かした方が喜ぶんじゃないかな」
「あら、それもそうね」

何処から現れたのか、少年タイプのナンバーズが、下種な笑みを浮かべ
シルヴィアの身体を眺めていた
その視線に寒気を感じ、何をされるのか感じたシルヴィアは目を瞑り、ひたすら神に祈った
ナンバーズの少年が、シルヴィアの身体に手を伸ばそうとした時であった
―パン
乾いた音が教会に響き、少年の頭部は顎から上がなくなっていた。
剥きだしになった舌がチロチロと痙攣し、少年はそのまま動かなくなった

「教会なら、禍モノから身を守って眠れると思ったのだがな。うるさくて眠れん」
『マスタぁー…。寝るも何も、もう朝ですよ』
「ならお前が起こせば良いだろう」

古びた教会の一角を、淡い光が照らしている
その光は、白いコートに身を包んだ青年から放たれていた

「だ、誰…!?」
「それを知って何の理がある。死ぬ前に名を知りたいという事か?それならば残念だが
 スコットランド最後の騎士の1人として、正道に反する行いをした下郎に名乗る名は無い」
「舐めないで欲しいわ。最終ロットの一人であるこの私の“イカれた帽子屋”の力を見せ」
「特に見たくも無ければ、興味もないな」

自分が能力を使う事を、わざわざ宣言する少女に対して、白いコートの青年が取った行動は
容赦ない発砲だった
何が起こったのか理解できないといった表情を浮かべ、少女は二度と冷めることのない眠りにつく

『流石マスター…容赦ないですね~…』
「明らかにこちらに殺意を向けている相手の口上を、馬鹿正直に効く馬鹿が何処にいる」
『ソノトオリデスネ』

一見すると感情に乏しい青年の声
そして、その青年につき従う、おっとりとした少女の声
シルヴィアはその声に聞き覚えがあった。そう、間違いない。この人は

「あの…ガウェイン君?」
「その通りだが他の人間に見えるのか?」
『あの、マスター。差し出がましいとは思うのですが
 窮地を救うという形で、元同僚と数年ぶりに奇跡的な再会をしたんですからもう少し』
「うるさい黙れ」
『…黙ります』

シルヴィアが恭光庁に所属していた時の同僚
騎士団長級を遥かにしのぐ戦闘力を持ちながら、決して自分の騎士団を作りもせず
ただひたすら一人で魔を狩り続けた青年。ジョージ・ガウェインがそこにいた

(こういうのも運命なのかしら…。
 けどガウェイン君は見栄えは良いんだけど、チョット冷たい感じがするし…)

シルヴィアがガウェインを見つめながら、比較的真剣に
結婚する人リストに入れるか入れないか悩んでいる矢先の出来事であった

「行くよ、アロンダイト。一気に」
『シルヴィア・フォリナーを救出。しかる後、敵性戦力を撃滅、と言いたいのだろう』
「今日は突っ込まないからね」
『それは寂しいなマスター』

一人の剣聖が、教会の天井をぶち抜いて落ちてきたのだ
彼は既にシルヴィアは救出された事を知らない

―シルヴィアは無事のようだ。傍らに立つ白いコートの男
コイツか!

「君か、シルヴィアさんを誘拐したのは!」
『おい待てマスター。この男は』
「天井をぶち抜く。器物破損だな」
『マスター、突っ込むところはそこじゃないです。って、ダメですよその人は!」

銀色に輝く粒子を纏いながら、ジョンは鋭い一撃をコートの男に見舞う
金色に輝く粒子を纏いながら、コートの男はジョンの一撃を、背に背負った剣で凌ぐ
剣と剣。金の粒子と銀の粒子。それらがぶつかり合い、閃光が教会を包む

「貴卿、少しクールさが鈍ったのではないか?」
「キミこそ、少し頭の回転が鈍ったんじゃないのかい…?」

剣を交差させた二人のスコットランド人の口元には、笑みが浮かんでいた

「久しぶりだね。太陽の騎士」
「久しぶりだな、湖畔の騎士」
「へぇ…ジョン君とガウェイン君は知り合いだったんですね」

考えてみれば、二人ともスコットランド粒子出してたなぁ、と思い
二人の関係を聞かされた時、シルヴィアは自然とそれを受け入れることが出来た

「もう、7年以上になるのかな。僕とジョージは幼稚園からずっと同じクラスだったんです」
「正確には7年と46日、14時間と32秒だ」
『マスター、今35秒になりました』
「うるさい黙れ」

空を見上げるジョンとジョージの目には、郷愁の色が浮かんでいた
スコットランド、7年前に世界地図からその名を消した幻の国
事件は世界的に報道されたが、何故そうなったのかは、誰も知らない
そしてスコットランドの人がどうなったのかは、全く知らされていなかった
当時は情報を公開しろ等と、報道機関や人権団体が騒いでいたが
その後、世界を襲う数々の災厄の対応に謀殺されたのか、今ではその名を口にする人はほとんどいない
今では良くある、滅んだ国の一つにすぎないのだ

「そういえば、ジョン君とガウェイン君以外のスコットランドの方って今はどうしてるんですか?」

一瞬だが、普段滅多に表情を変えないジョージの顔に、悲しみとも怒りとも取れない微妙な色が走ったのを
シルヴィアは見逃さなかった
そんなジョージに変わり、ジョンが口を開く

「アーサー先輩…。いや、アレクサーさんが亡くなられた事により僕達以外のスコットランド人は
 僕の家族以外殆どいないでしょうね」
「え…?」
「わかるんですよ。僕達S級スコットランド人には、スコットランド粒子の強振でね…
 僕達の仲間は、皆逝ってしまった」
「ケイ、トリスタン、パーシヴァル、ガラハド、モルドレッド、ベディヴィア
 ガレス、ガラレス、アグラヴェイン、ラモラック、ユーウェイン…皆、逝ってしまった」

時を遡る事、7年前。スコットランド
ジョンとジョージが16歳となったその歳、スコットランドの悲劇が始まる

クリムゾンブロウ曰く「ヘレンが飛んでるぜ…」
ブラックパイソン曰く「空を飛ぶ夢はSEXを暗示してると聞く。漫画で空を飛ぶという事はつまりSEXも同然」

スコットランド壊滅編 序章 完
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