十六聖天のクリスマス3


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天鏡宮に暖かくも穏やかな時間が流れていた。

アリス
「それでね、次郎さんったらそのまま逃げてしまって」

バーバラ
「あらあら、そうなの? 困ったわね……」

時間はとうに夕刻を過ぎ辺りは暗くなっていた。
だというのに、アリスの部屋を訪れるものがあった。


「邪魔をする」

アリス
「あら?えっと、楽さん…?」


「うむ、夜間に失礼だな。ところでなんだその……?は?影が薄すぎて私を忘れたか?」

アリス
「い、いえ、そんなことは!」


「はっはっは、何、気にしておらんよ。ところでちょうどいいカッフェが手に入ったんだが、どうだね?」

アリス
「カッフェ…?」


「ム…かのエクスカリバーが今時の女子はみなそう言うと聞いていたが…違ったか?」

アリス
「え、えと、うーん……ま、まあとりあえず中へどうぞ。立ち話もなんですし…」


「かたじけない」

バーバラ
「アリスさん? 誰が…あら?」


「むぅ?……確かバーバラだったか」

バーバラ
「そうですよ。影が薄すぎて忘れましたか?」

アリス
「……クス」


「ははっ先ほど私もそういったところだ。」

バーバラ
「ところで、何の用でしょう?こんな夜に少女のお部屋に来るとは、わたくし、あらぬ事を邪推してしまいますわ。」


「アリスが泣いていたようなので元気付けてやろうと思ってな」

バーバラ
「まぁ…」

アリス
「あ、あの、その…すいません心配おかけしてしまって…」


「悪いのは次郎だろう。気にするな」

大企業の社長とは思えぬほど気さくな楽にアリスは心の中で感謝する。
十六聖天という集団の絆はアリスの思う以上に強固なものだった。


「まあ何だ。流行のカッフェを手に入れたのでいかがだろうか?」

バーバラ
「ええ、今淹れますわ。」

楽が入り口付近に腰を下ろそうとした時、またしても来訪者を継げる音がなる。

アリス
「あ、また…」

出ようとしたアリスを楽が引き止める。
夜の来訪者に不信感を持った楽がゆっくりと扉の前に移動する。


(2、3……5人か)

そして扉を素早く開けると、渾身の正拳突きを放つ。
15位とは言え、聖天を名乗る以上その威力は大地を揺るがし、岩をも破壊する威力だった。

クリムゾンブロウ
「うお!?」

ブラックパイソン
「なんだとぉ!?」

扉の外にはクリムゾンブロウ以下、忘年会を共に過ごした数人のメンバー達。
楽の拳はアルスナー・ナッシュの持つイージスの障壁により防がれた。

もしもアルスナーの障壁が無かったら、今頃クリムゾンブロウの顔面は粉々に粉砕されていたに違いない。
ただ、それでも生きていられそうな不気味さはクリムゾンブロウにはあるが…

アルスナー
「随分な挨拶だな……なぜここにいる?」


「……お前達こそどうした。男連中が総出でか弱い女子の家に押しかけるなど、あらぬ事を邪推してしまうな。」

椿
「んだぁ?文句あんのか?泣いてる仲間を元気付ける為に来るのがおかしいってのか?」

リーン
「おい、恥ずかしいから真顔でそういうこと言うなよ。」


「目的は同じか……アルスナーまで一緒とは珍しいな。」

アルスナー
「いや、俺は……」

ギデオン
「いいケツの女に敷かれて仕方なく来たんだよな!分かる、分かるぜぇ!」

健吾
「あらやだ、おじいさま。またその顔面に風穴開けられたいのかしら?」

リーン
「全くとんでもない女だ……これだから三次元は…とんだ大惨事だ」

健吾
「悪かったわね。あたしだってこんなに大勢になるとは思わなかったっての。」

ガクガクと震えるギデオンを横目で見つつ、アルスナーはため息をつく。
なぜこんなことになってしまったのか、アルスナーの表情には苦悩の色が浮かんでいた。

アリス
「どうしたんですか…?ってあら?どうしたの?」

一度別れたはずの仲間がそろって家の前にいるのだ。
この状況に驚かない方が難しい。

クリムゾンブロウ
「よう、アリスちゃん。んん?元気そうじゃないか」

ブラックパイソン
「ちっ……こりゃ当てが外れちまったか…?」

ギデオン
「いいから貴様らはしゃべるな。虫唾が走るわ男どもが」

リーン
「ギデオン一人で行かせられるわけないだろう…」

椿
「常識的に考えてそうだわな…」

見ると各々、小さな包みやシャンパンを持っている。
アリスは一目で彼らの気持ちを察して、泣きそうになった。

アリス
「あの、ありがとうございます……あ、ど、どうぞ中に……」

ブラックパイソン
「んん?何がありがとうなんだ?」

クリムゾンブロウ
「勘違いするなよ?俺たちは二次会の場所を探してきただけだぜ。」

アリス
「……ふふ、どうぞ中へ。でも酔って吐いたりしないでくださいね。」

健吾
「アルスナー……いいの?こんなに大勢でさ」

アルスナー
「お前が皆で行こうって言ったんじゃないか……」

健吾
「うーん、まあそうだけど。」

アルスナー
「………」

表裏の聖天が集まる忘年会は次郎の逃亡と共に終わりを告げた。
それ自体は特に大したことではなく、まあよくあることで片付くのだが……

会場となったホテルを出るとき誰かが言った。

『アリス泣いてなかった?』

その一言はまたも十六聖天を集めて二次会、と言う形になる。
短い時間しか自分として生きていない、アリスにとって思いがけず大切な思い出となるのだった。

アルスナー
「ところで何でお前までいるんだ?」

健吾
「か弱い女の子の部屋に男連中で突撃させるわけに行かないでしょうが。」

そう言うと広い部屋へと先陣を切って入っていった。

アルスナー
「おかしな女だ……勝手にするといい……」

バーバラ
「あらあら、まあまあ……こんなに大勢集まるだなんて……」

健吾
「あ、はじめまして。アルスナーの恋人の岩淵健吾です。いつも彼がお世話になって……」

アルスナー
「違う!勝手に変な自己紹介をするな……」

健吾
「えー?だっていつまでたってもアルスナーったら返事してくれないし……」

アルスナー
「それは……別にいいだろう……」

バーバラ
「まぁ……無口で根暗な子だと思ってたのにいつの間にこんなに立派になって……」

アルスナー
「あんたの方が年下だろうが…」

アリス
「いいなぁ……恋人かぁ……」


「ふむぅ、しかしこう女性の部屋に男が多いといささか問題があるのではないか?」

椿
「かてぇこと言うなよ。ま、何だ?まずは乾杯といこうや」

紙コップに適当に飲み物を注ぎ、全員に配る椿。
アリスと楽はバーバラの淹れたコーヒーを持っていたのでそれで乾杯となった。

リーン
「おい、未成年に酒は勧めるなよ?」

椿
「分かってる分かってる。えーっと、多分アルコールは無ぇ!この程度なら問題無ぇ!」

ギデオン
「本当に大丈夫なのかこいつ……もう酔ってるんじゃないのか?」

リーン
「否定できないな……」

クリムゾンブロウ
「それじゃ、皆グラスは持ったかなぁー?」

ブラックパイソン
「はぁーい!」

椿
「うぉぉぉぉぉ!!!!」

アルスナー
「やかましい奴らだ…」

と、そんなことをやっている間にまたしても来訪者を告げる音。
一番外に近いところにいたアルスナーが扉を開けることになる。

アルスナー
「………何をしに来た?」

いっけい
「二次会」

アルスナー
「入れ」

あいか
「お邪魔するよお兄ちゃん!」

ブリュンヒルデ
「お邪魔します…」

もう扉は開け放しでもいいか、とアルスナーは考える。
どうせここに来る者など決まっているし、これだけの戦力が集中しているのだから何があっても問題は無い、とも。

それに自分が輪の中に入っても浮くだけだし、元々酒を飲みに来たわけでもない。
それならば、一時の平和を守る門番となるのも悪くは無い。

あいか
「きゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!???????」

ギデオン
「うわぁ……」

あいか
「ご主人様ぁ!あんなに甘い時を一緒に過ごしたのにどうして迎えに来てくれないのぉ!?あいか寂しくて毎晩濡れ濡れなのにぃ!」

ギデオン
「変わらんなぁお前さん……そのためのいっけいだろうが」

いっけい
「き、貴様!やっぱりそうだったのか、ちくしょう!最初からこいつを押し付けて逃げる気だったんだな!?」

ギデオン
「はっは、そう怒るなよ。お前も今日はアリスの為に来たんだろう?それなら主役の顔を立てようじゃないか?」

いっけい
「ぐぐぐ…お、覚えていろよ!」

もちろん、この後意識を失うまで酒を飲まされた上にあっさりと逃げられることになるとは思わなかったわけだが。
いずれにしても、もうしばらく御影あいかと明楽いっけいの共同生活は続くことになるのだ。

ブリュンヒルデ
「ギデオン様。ご無沙汰しております。」

ギデオン
「よう、今日も綺麗だな。」

言葉と同時にブリュンヒルデの尻を撫で回すギデオン。
そんなギデオンをまるで無いものとして扱うように続ける。

ブリュンヒルデ
「そうですか。ありがとうございます。ところで、私はいつになったら『母親』になれるのですか?」

ギデオン
「あー……その話な」

アリス
「ギデオンさん?何の話ですか?」

ギデオン
「あ、アリス!?さっきまで楽と話していたんじゃ…いや、何でもないんだ。ちょっと大人の事情がだな…」

ブリュンヒルデ
「私は何時になったら『母親』になれるか…と。ギデオン様のお話によるといっけい様に『ふぇらちお』というのをすれば後はいっけい様がやってくれると」

アリス
「えええええええ!!??」

ギデオン
「ぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

ガクガクと震えるギデオンとは対照的に、冷静そのもののブリュンヒルデ。
そして一人で真っ赤になってあたふたするアリスは明らかに異色な存在だった。

クリムゾンブロウ
「どうしたどうした?」

ブラックパイソン
「姉さん…事件です?」

ギデオン
「ま、まずい……貴様ら、余計なことを言う……う!?」

いつの間にかギデオンの首元にシーク・ハイドが居た。
彼女の存在に気付かなかったギデオンは平行世界を移動する間もなくあっさりと気を失った。

アリス
「ナンデモありませんよ……ちょっとお酒を飲みすぎて気分が悪くなっただけですよ」

シーク
「デタラメ吹き込むなんてサイテーね!次やったら死ぬかもね!」

その様子を間近で見ていた二人は一気に酔いが覚めたようで顔を青くして震えだす。
ブリュンヒルデに適当な性知識を叩き込んだ者がどうなるか、たった今目の当たりにしたところだ。

クリムゾンブロウ
「……そ、そう?」

ブラックパイソン
「……や、やっぱり?そうだと思ったZE」

いっけい
「やっぱりあいつが吹き込んでいたのか……ははっざまぁ!」

あいか
「お兄ちゃん、彼女だけじゃなくてあいかのことも愛してね?」

いっけい
「お前、今のあいつを見ていたか?ぶち殺すぞ?」

あいか
「死姦が好きだ何て初めて聞いたわ。でも……お兄ちゃんなら…いいよ」

いっけい
「………」

もはやいっけいには呆れる他無く、続く言葉が出てこなかった。
そもそも御影あいかは既にその生涯を終えており、肉体関係を持つことはそれすなわち死姦と変わらない。

ブリュンヒルデ
「あの……いったい何が……男性は皆喜ぶと言っていたのですがいっけい様は正直怒っていたようでしたし……」

そして一人困惑したままのブリュンヒルデ。
何も知らないアンドロイドは、頼れる誰かを探してその銀の瞳を辺りに巡らせた。

バーバラ
「あなたはまだ若いし焦ることは無いわ。ゆっくり勉強していきなさい。」

ブリュンヒルデ
「はぁ……失礼ですが、あなたは?」

バーバラ
「バーバラよ。よろしくね。」

ブリュンヒルデ
「そうですか。ブリュンヒルデです。よろしくお願いします。……しかし私にはゆっくりすることなど出来ません。」

バーバラ
「あら、どうして?」

ブリュンヒルデ
「時間がありません。お父様のように、一人で生きていける強さを身に着けなければ、またすぐに捨てられてしまいます。」

アリス
「そ、そんなことないよ!」

あまりにも悲しい物言いにアリスはつい大声を出してしまう。
そんな様子に驚いた様子も無く、淡々とブリュンヒルデは答えた。

ブリュンヒルデ
「アリス様……でしたか?なぜそんな事が言えるのです?」

アリス
「な、何故って……いっけいさんもあいかちゃんもそんな人じゃないもん!」

ブリュンヒルデ
「私も以前はそう思っていました。
しかし、現実はどうしようもなく残酷で他人の言葉など当てにしてはいけないと身をもって知ってしまいました。
今更どうして軽々と人を信じることが出来ましょう。」

バーバラ
「そういえば…あなたは以前は別の所に居たんだったわね。」

バーバラは思い出す。
クリフォトの十大悪と言われる組織が所有するアンドロイドが明楽いっけいと共に暮らしている、と。

バーバラ
「なるほど……残念ね。あなた、そんなに綺麗な姿なのに、信じることを知らないのね。」

ブリュンヒルデ
「それは何ですか?生きるために重要なことですか?」

アリス
「重要かどうかは知らないけれど……とても素敵なことだと思うわ。」

ブリュンヒルデ
「そうですか。私にはよく分かりません。……いつか私にも理解できる日が来ますか?」

バーバラ
「そうねぇ……難しいことだけどあなたならきっと分かってくれると思うわ。ところで、あなたは明楽君とあいかちゃんのこと、好き?」

ブリュンヒルデ
「質問の意味が分かりません。」

バーバラ
「もうしばらく一緒に暮らしてればきっと分かるようになるわ。あなたもとっても素敵な女の子だものね」

ブリュンヒルデ
「………」

黙ったままのブリュンヒルデは何かを考えるように、しかしどこか納得した様子でぺこりと礼を返すとその場を後にした
銀の髪と透き通るような白い肌が、この時僅かに輝いた気がした。

アリス
「……大丈夫かな」

エクスカリバー
「さぁね~こればっかりは本人次第じゃない?」

アリス
「あっ」

澄美
「お邪魔しております。アルスナーさんが入れというので勝手ながらお邪魔させていただきました。
これ、私の作ったスイーツです。よろしければどうぞ。」

アリス
「あ、ありがとうございます……すいーつ?」

秋太郎
「何でも、今は菓子をそのように呼ぶのが流行だとか。」

アリス
「秋太郎さんまで……あ、ありがとうございます」

エクスカリバー
「それと半蔵とヴェノムタイガーから、何かいい夢が見られる薬だって。精神安定剤みたいなものかな。」

小さな小瓶の中には液体が満たされており一回一本!ぐいっとどうぞ!と書いてある。
見るからに怪しげな液体にアリスは少しいやな予感がした。

エクスカリバー
「まあせっかくだから飲んでみたら?さすがに死にはしないと思うし。」

アリス
「は、はぁ……あの、い、今…?」

澄美
「別に今ではなくてもいいと思いますが……一応使用期限が短いそうなので早めに服用することをお勧めします」

秋太郎
「せっかくですから飲んでみては?」

何故か皆が勧める状況に怪しさを感じつつも、場に流されやすいアリスは蓋を開けてしまった。
意外にも甘いにおいに誘われてアリスは一気に薬を飲み干した。

アリス
「あ、あれ?何か結構美味しいです。」

エクスカリバー
「ねえねえ!何か変わった感じしない?」

アリス
「え?……うーん……特に何も…」

言われてちょっとドキリとしたものの、特に体に異変は感じない。
気ままに飛び回っているシークにも特に何も無いようだ。

秋太郎
「そうですか。いえ、何事も無くてよかったです。」

エクスカリバー
「あーあ、つまんなーい」

アリス
「つまんないって…え?あれ?」

澄美
「エクスカリバーさん。そんなことを言ってはいけませんよ。」

エクスカリバー
「だってあの二人の薬じゃん?おっぱいがばーん!ってなったり背が一気に伸びたりすると思ったんだけどなー」

アリス
(あ……それはちょっと嬉しいかも)

自分の小さな胸を両手で覆うと、アリスはため息を吐く。
そんな様子を見て、澄美はいたたまれなくなったのかフォローを入れる。

澄美
「アリスさんは今のままでも十分魅力的ですよ。それより、あちらはそろそろ止めたほうがいいのでは?」

澄美が指差した方向を見ると青い顔をした椿がぐったりとしていた。
その横ではクリムゾンブロウとブラックパイソンが気を失ったギデオンを神輿のように担ぎ、二人でボロ雑巾のように振り回していた。

いったい何があったらこんな状況になるのか分からないまま、楽もバーバラも、健吾やいっけいのような多少はまともに見える者さえ傍観している。
おそらく、まともな精神を持っているものは今、この場に居ないに違いない。

アリス
「何、あれ……」

さすがにそろそろ盛り上がりすぎてヤバイと思ったのか、ただ疲れただけか、止めに入るものが現われた。

アルスナー
「お前たち。そろそろ終わりにしないか?」

リーン
「ようやく止める奴が出てきたか……待ってたぜ、アルスナー」

健吾
「あたしもうお腹いっぱい……アルスナー……お姫様だっこー」


「いや、さすがにもう遅いので言おうとは思っていたのだが……」

と、何とも歯切れの悪いセリフを残す面々。
一際元気な二人が声を上げる。

クリムゾンブロウ
「マジか!?」

ブラックパイソン
「落ち着け!!」

アルスナー
「落ち着くのはお前等だ。俺はもう付き合ってられん。」

そう言ってさっさと一人で出て行くアルスナー。
興醒めだと言わんばかりにそれぞれが後に続く。

アルスナー
「すまんなアリス。どうやらただ騒がしただけのようだ。」

アリス
「いえ、その……嬉しかったです。また皆で来て下さいね。」


「今日は気分が良かった。また機会があったら共に一時を過ごそうではないか。」

アリス
「ふふ、お仕事、頑張ってくださいね。お待ちしてます。」

バーバラ
「じゃあね。楽しかったわ。」

ブリュンヒルデ
「アリス様……あなたと私はどこか似ているかも……気のせいかもしれませんが。
……またお話する機会があればいいのですが。」

アリス
「ありがとうバーバラさん。本当に、楽になりました。ブリュンヒルデさんもいつでも来てください。」

いっけい
「ギデオンはどこだ!?どこに消えやがった!?」

あいか
「あぁん、お兄ちゃん待ってー」

アリス
「………」

秋太郎
「いやはや、若いというのはうらやましいですな。」

椿
「うう……俺もあと30年……ぐふっ」

秋太郎
「私が責任を持って抱えていきますので」

アリス
「あはは……お願いしますね。秋太郎さん。」

リーン
「だらしねぇな……よし、最後にいい物を見せてやるよ。」

アリス
「?」

健吾
「?なぁに坊や?」

リーン
「坊やって言うな!あんまり年変わんねぇだろ!?」

健吾
「あっはっは!ごめんごめん、で、何さ?」

リーン
「ちょうどいいや、一人だけ場違いなあんた。こいつを投げてくれよ。上に」

健吾
「私が?もっと適役が居るでしょ?……それに何これ?」

リーン
「いいから。」

リーンが手渡した黒い塊を健吾が軽く空に放り投げると、瞬く間に色とりどりの炎が舞った。
真冬の空に輝く炎は儚くも力強い光を放つ。

エクスカリバー
「おぉぉー」

澄美
「花火とは…綺麗なものですね」

アリス
「わぁーすごい!すごい!!」

リーン
「自作の花火さ。まあ爆弾の失敗作なんだけどね。」

椿
「また危ないもん作ってやがるな…」

リーン
「空間をずらして爆破の衝撃を目標のみに与えられるように改良を重ねてるんだが中々ね。
これが成功すれば往年のアニメのようにダイナマイト腹巻で特攻することも出来るぜ?」

椿
「そんな危ないマネをお前にさせられるか」

リーン
「じゃあ椿が代わりにやってくれ」

リーンの言葉に椿は飲みすぎて青くなった顔をさらに青くして震えだした。
きっとリーンはいざとなったら本気でやるということが分かっているのだろう。

エクスカリバー
「仲が良いのう」

クリムゾンブロウ
「何だ居たのかエクスカリ婆」

ブラックパイソン
「気付かなかったぜ」

エクスカリバー
「やかましいわ。騒ぐしか能の無い下郎が」

澄美
「花火、終わってしまいましたね……エクスカリバーさん帰りますよ?」

エクスカリバー
「待ってよーみみちゃん。いいか、お主ら。二度と我の前でそんな口叩くでないぞ」

クリムゾンブロウ
「ち、口のへらねぇ婆だ……」

ブラックパイソン
「俺たちも帰るか……」

花火が終わると静寂が訪れる。
一人、また一人と家路につき、最後にはアリスだけが残る。

アリス
「皆帰っちゃった……」

時刻は既に深夜2時
あれほど賑わっていた時間が嘘のように寂しい時間が訪れた。

冬の冷えた空気にぶるりと身を震わせるとアリスは逃げるように部屋に戻った。

アリス
(あれ……意外に部屋は綺麗なままね)

バーバラや楽や秋太郎がこまめに片付けてくれていたのをアリスは知っていた。
おかげで自分ひとりで片付け無くて住んだことを今は感謝した。

アリス
(私もなんだか眠くなって来ちゃった…)

せっかくの次郎のプレゼント。
そのドレスにしわを付けてはもったいない。
そう思いながらも、眠気に抗えず瞳を閉じた。

アリス
(……………ん………?)

皆が帰ってからまだそれほど時間は経っていないはず。
それなのに誰かが部屋の呼び鈴を押している。

アリス
(誰かが忘れ物でも取りに来たのかな…)

そう思ったアリスはのろのろと体を起こし、半分寝ぼけた頭で扉を開けた。
そこには予想していなかった人物の姿があった。

次郎さん→普通のエロ
デスメタル→百合エロ
ツールボックス

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