ケルヴィム・ケルベロスの歎き


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「何や早よう帰らんとまた怒られるで~。聞いとんのか春風…って、おらへんがな」
春風の散歩のお目付け役として出かけてきたケルベロスであったが一緒にいたはずの彼女の
姿は
どこにも無かった
「またやってもうたか、これで何度目や。春風にはホンマまいるで。
まあええか、そのうち見つかるやろ。ちょうどええ機会やし次郎でも探そか」

「…次郎のにおいがする…あれやな」
しばらく飛んでいると遠くのスイーツショップに次郎らしき姿が見え、
その隣には二つの小さな人影があった。どうやら三人で食事に来ているようだ
急いで近づこうとしたとき異変に気づいた
「?何やこのドス黒い殺気は…」
周囲を警戒してみてみると常人では分からない僅かな空間の歪みが見て取れた
どうやら殺気はそこから次郎に向けられているが、彼はまだ気づいていないようだ
「あの次郎のことやし心配せえへんでもかまへんけど、一応見てみるかいな」
歪みに近づくと中に別の空間があることが分かった
「しゃーないな、入ってみるか」

そこは別空間ということではなく、元々存在する空間の固有形成に対し同等の虚数力場を

創ることによって生じる空間で、周りからその部分だけ隠すというものであった
要するに隠蓑の術の大きいやつ
中には、狼の仮面を被る重装騎士、驢馬の仮面を預かるドレスを纏った者、山羊の仮面をつ
けた
肥満体、そして蛇の仮面で顔を隠し道化の衣装に身を包んだ者、の四つの人物がいた

「む、何者!」
「あらあら、これはかわいい侵入者ですこと」
「グッフフ、これからいいとろでシュたのに」
「ここに気づくとはよほどの者、まさに『きわめて薄汚い小犬でも、致命傷を与えうる。

つまり狂犬でありさえすればよい。』とはこのこと」
四人の視線がケルベロスに向けられる
「お前たち何もんや、なぜ次郎をねろうとる?」
「それは貴方には関係のな…」
蛇の仮面が答えようとすると急に肥満体が大声を上げた

「ベスティア、マリティア!募瑠鉄火だ!!」
「募瑠鉄火だと?」
「気は確かかインコンティネンティア!
相手はお菓子とゲームが大好きなマスコット的ぬいぐるみキャラではないか
第一、斯様な狭所で撃ったら我々も無事では済まぬぞ」
「バカ!わからんのか!?こいつの近くにはあの『はにゃ~ん』がいるはずだ!
あいつに何リットル搾り取られたことか。
ああ考えただけでもう出ちゃってるし…淫獣超怖ぇ!」
「…ようわからんけど、やめる気はないんやな?」
「…その通り『人間の行動は思考の最上の通訳者だ。』です。消えていただく前に、ここに
気づいた
その力に敬意を評し名乗っておきますが、私は七頭十角のインヴィディア。それではさよう
なら」

道化の衣装でインヴィディアが滑稽にお辞儀をすると、
突如海蛇が現れケルベロスの小さな体を襲った
聖痕『レヴィアタン』、奈落に通じる孔を膿み出し七頭の竜を召喚する能力
圧倒的な力で全てを薙倒し飲み込む
「芸術は爆発、壊れるときが最も美しい…
そう思わないかい『芸術は悲しみと苦しみから生まれる。』」
「意味わかんないでシュ」
「美しさについて語ってほしくありませんけど、儚いという点では同意してもよろしくてよ

「・・・」
「聞いたことがある、神に仕えし堕天の印を持つものたちか…
もっとも汝らの神など意味が無いがな」
「そこかっ!」
マリティアがその手に持つ剣を声が聞こえた砂煙がたつ場所に投げるが、
手応えが無くはじき返される
視界が晴れるとそこには全身緑色の体毛に覆われ、長い牙、朱色の翼を持つ巨体が現れた

「その姿は『エデンの番人』『神を智るもの』の天使名を持つ神獣ケルヴィム・ケルベロス
殿」
「ああ…その顔、その身体、その翼、全てが美しいですわ」
「再度問おう、汝らは何故次郎を狙う?」
「ケルヴィム・ケルベロス相手では偽ることはできませんね。十六聖天は力を持ちすぎなの
ですよ。
まるで神のごとき力を。それは危険なのです、我々にとっても世界にとってもね。『何より
も悪しきは、
神にあらざるもの神と認めることなり。』排除するのは当然でしょう。そして彼は十六聖天
のなかでも
中核をなす人物と伺っています」
「効率的な方法でシュ。お金も時間も少なくてシュみまシュ」
「汝らの思想や十六聖天などは我には無用なものだが、盟友次郎の為にその悪計見逃すわけ
には行かぬ」
「仕方ありませんね『成功は結果であって目的ではない。』」

インヴィディアが再びレヴィアタンを召喚する
先ほどとは桁違いの巨大な七頭の海蛇が襲いかかる
その肢体が周りの建物ごとケルベロスを吹き飛ばし、締付け、食らおうとする。
並みのものなら嵐にあった舟のごとく木端微塵に四散してしまうが、
ケルベロスはまるで薄紙を破るかのように逆に海蛇を引き裂く
「美しいものを醜く壊すのは気が引けますが、その最後の瞬間を
わたくしのものとさせていただきましてよ」
ベスティアが聖痕『アスタロト』の能力で周囲の者達を獣に変る
無数の獣が一斉に襲い掛かる
ケルベロスは大きく息を吸い込むと雄叫びを上げた
王者の息吹、人の耳には聞こえないがあらゆる動物を自分の支配下にすることが可能な能力

その獣たちの動きを止め、ベスティアの操作から解放する
「とっととくたばるでシュ!無駄な時間と体力を使うとお腹が減るでシュ!!」
インコンティネンティアは聖痕『ベリアル』で強い腐食性の風を吹かせる
周囲の物は腐り溶けていくがケルベロスの緑色の体毛の前にはその能力は無力であった
幻覚の作用も効果が無い
「うむ小細工が通用せぬのであればわしの剣で!」
マリティアの聖痕『ルキフグス』で大地が震える
地面から巨大な岩が次々出現し襲い掛かってくる
全てをカルナック・バーストで消し去っていくと、それらを影にして
岩の鎧と大剣を纏ったマリティアが現れた
「いただく」
「騎士か、ならば」
ケルベロスは炎を吐き出した。
それは相手を襲うことなくケルベロスの前で渦を巻き、一振りの剣を形作った
「それはまさか創世記に記された『回る炎の剣』!」
「汝のいう創世記とやらは知らぬがな」
炎の剣を手に取ると向かってくるマリティアを一閃する
岩の鎧と大剣が崩れ去る
「まさかこれほどお強いとは、さすがに『恐怖は残酷の両親である。』
と言わざるを得ない」
七頭十角四人の能力は全く通用せず、
さらにケルベロスは傷一つ負っておらず疲労の色も無い

「シュかたがないでシュ、ここは武羅須多募瑠鉄火を使うシュか…」
「いやここは聖痕解放をせねば」
聖痕解放とは、コキュートスにある各聖痕を司る堕天のアストラル体を呼び出し
同化することによってその力を行使するものである
非常に強力な能力のため一度発動すると神々の黄昏(ラグナロク)や
世界最終戦争(ハルマゲドン)を引起す可能性を秘めている
「もうよい…その位にしておけ」
突然ケルベロスの前に蠍の仮面を戴く大柄な亡霊の如き老人が現れた

「初めてお目にかかります、七頭十角の第二皇帝ルクサリアと申します。
以後お見知りおきを」
「何故ですルクサリア?『苦さの味を知らぬものは甘さもわからない。』」
「ソロモン王が見つかった、どうやら徳島にいたようじゃ。
今、優先すべきはそちらであろう」
「しかしこのままでよくって?わたくし達のことを知られましてよ?」
「心配は要らぬ、ケルベロス殿は気高き御方じゃ。何者にも縛られぬゆえ
我らのことも関係ないのであろう。のう、貴殿」
ルクサリアがいうと彼らは姿を消した
「・・・」

七頭十角が作った空間内での戦いのため周囲には姿を見られなかったが
戦闘の痕跡はそのままだ
傍から見れば突然の爆発、大地の隆起、腐食、風化、
さらにはわけも分からず獣にされるなど散々である
現に周りは焦土と化している
そこでケルベロスは「再生」「保持」の能力で何も無かったかのように
以前の状態へ修復した
しかしあれほどの戦闘であるので次郎達や他の組織が気づかないわけが無いが、
誰も現れることはなかった

これはもう一つの能力である「精神化」を使い、空間に侵入したときから精神壁を
展開して周りに知られないようにしたためである。もっとも各組織のトップに
君臨するものたち等には気づかれているだろうが
全てが終わるとケルベロスは再び擬体に戻った
「ほっほっほ、それが噂に聞きし「神の三重の力」ですか、
良いものを拝見させていただきました」
「なんやまだおったんかいな、さっさと行かんかいな」
「一応の保険というものですじゃ、改めまして失礼するとします」
ルクサリアの気配が消えると同時に展開されていた空間も消えた

「なんやったんかいな、ホンマ無駄足やで…あー次郎がおらへん!
もうええわ、今日のところは春風探して帰るか…
その前にあそこのスイーツショップでパフェでも食べていこか。
それにしてもパフェに最初にフレークをいれたやつはホンマ天才やで、尊敬するわ」
ケルベロスはフラフラとそれまで次郎がいた場所へ飛んでいった


~ケルヴィム・ケルベロスの歎き 完~
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