十六聖天外伝 残光~三章・前編~


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「ったく…あの婆さんもしつこいね。俺の意志は無関係かよ」

エクスカリバーは半分本気・半分次郎を元気づける為に、からかっていたのだろう
それを理解しているから、次郎の口調は明るい

そうして、エクスカリバーを巻き終えた次郎の目には
本日宿泊予定の、「民宿ゴルゴダの丘」が見えていた
地理には不安があったが、民宿の入口には大きく
『十六聖天様御一行』
と書かれている。これならアリスのような子供でも安心だろう
宿が原形を保っているのは、聖天達が外出しているからであろう
夜、酒盛りが始まると、そうはいかない
酔った十六聖天が、街ごと宿吹き飛ばす等は日常茶飯事なのだ。
一見すると胡散臭い外人だが、その度に町の時間を戻すトムには本当に頭が下がる

「夕食まで、まだ時間はあるな…風呂でも浴びて、ダラダラしたいもんだ」

そういいながら、ゴルゴダの丘の入口に近づいた時

『十六聖天御一行様』

と書かれた看板から手が伸び、看板に書かれた文字を消していく
そして、その手が動きを止めた時、看板にはこう書かれていた

『おかえり、次郎』

と。

「なんだ…お前さんだったのか」
『こんにちは。お出かけは終わったの?』
「まぁ、な…。てかデスメタル。お前何してんだ」
『アルバイト。おかねほしい』

一見流暢に会話が出来ているように見えるかもしれないが、デスメタルはいちいち
看板の文字を消しての繰り返しで、酷くペースが悪い
一応、彼女も普段はしゃべるのだが、変声機があまりにも酷い声に変えてくれるので
あまり、それに頼りたくはない。デスメタルも女の子なのだ。
特に次郎のように自分に優しくしてくれる人には、あまり聞かれたくはなかった

「んな黒いローブ着てて、お前暑くないねぇのか?」
『お金は大事』
「そうか…っつーか、一人で立ってるのは暇だろう…。ったく、あいつらもチョットは手伝ってやれよ…』
『みんな観光に忙しい。それ以前に誰も気づかなかった』
「…。あ、そういやお前観光とかしなくていいのかよ。せっかくの慰安旅行だぞ」
『いい。私がいると周りが怖がる』

なんだか不憫になると同時に、次郎はデスメタルの責任感や、その周りに対する思いやりに心を打たれていた

「お前さん、大した男だぜ。気に入った!アホ共が戻ってくるまで俺が話相手になっててやるよ!」

背中をバンバン叩かれる。痛い、痛いけど嬉しい。嬉しいけど少し悲しい。自分は男じゃない
そう思いながらもデスメタルは

『ありがとう、感射を』

と、看板に書いていた

「感謝の謝って字、間違ってんぞ。ごんべんだからな、“言”を付け足しな」

部屋の隅で何とも言えないオーラを常にだし、落ち付いた言動のデスメタルだが
あわてて文字を書きなおしているところを見ると、案外そそっかしいのかもしれない
デスメタルとの出会いを、次郎はふと思い出していた



「こいつァ…ひでぇ、な…」

辺り一面に血肉が飛び散り、そしてターゲットであった人間に至っては、生きながら食われたような形跡があった

「フン…それだけではない。次郎よ、その躯をよく見ておるがよい」
「…?死体なんて見る良い趣味は俺にはねーぞ」

クリムゾンブロウもおかしな事を言う、そう思いながらも言われたとおりに見ていると
“それ”はゆっくりと躯を起こした


≪…パイソン…ブロウ… 何をしにきた…ここは私の管轄。帰れ…≫

黒い何かは、地の底から響き渡るような声を発していた

クリムゾンブロウ曰く「ヤフオク詐欺にあったくせぇ」
クリムゾンブロウ曰く「なん…だと…」

十六聖伝外伝 残光~三章前編~ 完
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