Q-STEER@wiki

タミコ編(第一話 タミコ視点)

最終更新:

q-steer

- view
管理者のみ編集可

タミコ編(第一話 タミコ視点)

決勝レースの前日、タミコは自室に座り込んでいた。

(私のマーチ・・・マーチの私・・・どちらが・・・本当なの?)

目の前の床には、激しく輝くピンクのマーチが鎮座している。

(基板・・・元来、ワゴンRのもの。モーター・・・WRCインプレッサ)

タミコの部屋には大きなヒノキの本棚が置いてあり、その棚の一つには
Qステアやパーツ類が所狭しと並べられている。
少し離れたところにある机の上には、ノートパソコン。
ケーブルが出ており、その先はQステアのそれと思しき基板に繋がっている。

(この基板もだめか・・・今のマーチのものが、いつまでもつかしら)

チカ、チカ、とライトを上下に点等させるタミコ。

(このライトは・・・彼のもの)

彼女の視線はぼんやりと、照らされた床に投げかけられている。

(彼がいなくても・・・私は勝てる。だってこれは・・・彼のマシン)

――――――――――――――――――――――――――――――

決勝戦。
華奢な指の中で、ギュォン、ギュオンと轟音を轟かせるマーチ。
タミコは歴代の勝者には一瞥すらくれない。
新品のLR44に電流が流れ、基板を活性化させる。
繋がる電子と電子。同時に、彼女の脳内のシナプスも繋がってゆく。
アドレナリンの増加。だが、乙女の眼は以前、虚ろである。

(あなたのために・・・勝つ。このマシンで)

マーチとGTRが横に並んだ。

笛の音とともにマシンがスタートした。




番外編(タミコ編) おわり
目安箱バナー