へえ、わたしたちの時よりも伝え方が変わってきてるんだ、まだほんの5年前なのに。
ここまで授業を進めながら、教科書の内容を見てちょっと感心する。
そこへ授業時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。
ここまで授業を進めながら、教科書の内容を見てちょっと感心する。
そこへ授業時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「はい、それじゃあ今日の授業はここまでにしましょう。来週は歴史観3の続きから始めますね」
授業もこれで3回目、ちょっとは先生らしくなったかなと思いつつ教科書を閉じる。
ふと窓の外を見やるとどんより雲に覆われた空からは、しとしとと雨が降り注いでいた。
ふと窓の外を見やるとどんより雲に覆われた空からは、しとしとと雨が降り注いでいた。
「これで3日連続かぁ…」
6月に入ると雨季を迎えるヴァニジアでは、この時期よくある光景なのだけど、
先月までは爽やかな風で心地の良い天気が続いていたのに…と思うと
軽く憂鬱な気分になる。
先月までは爽やかな風で心地の良い天気が続いていたのに…と思うと
軽く憂鬱な気分になる。
あの事件からは一週間が過ぎていた。
色々な事があったりなかったことになったりで、なんだか一年ぐらい経った気もするけど。
色々な事があったりなかったことになったりで、なんだか一年ぐらい経った気もするけど。
友人同士で集まって話し始める生徒、我先に食堂の戦場へと駆け出す生徒で、喧騒に包まれた教室から外に出る。
報告書出したらミゼル達とお昼にしようかな…
すれ違う生徒に挨拶しながらのんびり教員室に向かっていると、一人の生徒が手を振りながらこっちに向かってきているのが見えた。
なんだか慌てた様子…
報告書出したらミゼル達とお昼にしようかな…
すれ違う生徒に挨拶しながらのんびり教員室に向かっていると、一人の生徒が手を振りながらこっちに向かってきているのが見えた。
なんだか慌てた様子…
「カトリア先生ー!」
どうやらわたしに用があるみたいだ。
よく見ると見知った顔だと気付いた。
小動物を思わせるやや幼い顔立ちに、小柄で華奢な体つき。
サラサラな長めの髪を後ろで束ね、それを揺らしながら駆け寄る女子…もとい男子。
よく見ると見知った顔だと気付いた。
小動物を思わせるやや幼い顔立ちに、小柄で華奢な体つき。
サラサラな長めの髪を後ろで束ね、それを揺らしながら駆け寄る女子…もとい男子。
「リン君!? どうしたの?」
「先生を探して…たんです!」
息を切らしながらわたしを探してたと詰め寄るリン君。
その上目遣いに思わずドキッとしてしまう。
何かあったのは確かなんだろうけど、ちょっと近い。
その上目遣いに思わずドキッとしてしまう。
何かあったのは確かなんだろうけど、ちょっと近い。
「ちょ、ちょっと落ち着いて?まずは深呼吸」
「え、あ、はい。すー、はー……」
ゆっくりと深呼吸するリン君の姿をまじまじと見つめてみる。
ほんと小柄だけど綺麗な顔とスタイル…ちょっとうらやましい。
これで男の子なんだから世の中色々理不尽だ。
ほんと小柄だけど綺麗な顔とスタイル…ちょっとうらやましい。
これで男の子なんだから世の中色々理不尽だ。
「落ち着いた?」
「あー…はい、実はノリの事で先生に折り入ってお願いがあって……」
息を整え、少し落ち着いたリン君が話を切り出す。
「ノリ…ああ、ヤスノリ君のこと?」
折り入ってお願い?
ヤスノリ君のことでわたしに――?
ヤスノリ君のことでわたしに――?
「ただのレーベ好きのツンデレかと思ってたのに!血も涙もない女だっ!
レーベあの女なんとかしろよ!」
レーベあの女なんとかしろよ!」
部室にまで呼び出されて、なんで俺はさっきからこいつの愚痴に付き合わされてるんだ…
こいつというのはもちろん目の前でオーバーリアクションしながらキレているヤスノリ、もといバカのことなんだが。
こいつというのはもちろん目の前でオーバーリアクションしながらキレているヤスノリ、もといバカのことなんだが。
「俺が知るかよ…来週の中間試験、追試にならなきゃ済む話だろ…」
なんでも昨日生徒会室に呼び出された時、ロッテのやつから通告を受けたらしい。
学業成績の思わしくない部活は、今度の中間試験の成績次第で予算の大幅な見直しが行われるとかなんとか。
もともと画鋲ゴマ部どころか部活に入ってない俺には全く関係ない話なわけで。
学業成績の思わしくない部活は、今度の中間試験の成績次第で予算の大幅な見直しが行われるとかなんとか。
もともと画鋲ゴマ部どころか部活に入ってない俺には全く関係ない話なわけで。
「自慢じゃないが、今まで追試にかけては皆勤賞の俺をみくびらないほうがいいぜ!」
「ドヤ顔で言うことじゃねえ…」
「その俺に! どうやってまともな点をとれと!?」
知らんがな。勉強しろよ!
っていうか普通に授業でてれば赤点にはならないレベルだろ!
っていうか普通に授業でてれば赤点にはならないレベルだろ!
「でも先輩、それができなかった部活は予算の削減と次回の大会出場停止なんですから、
なんとかしてもらわないと!」
なんとかしてもらわないと!」
「無様ね変態。せいぜい無駄な努力しなさいな」
なんとかヤスをなだめようとしている1年の後輩…ベルガーだっけか。
それとは逆にさっきから煽りまくりなベルガーのご主人様なちっこいの。
…ティオだっけ?
どうでもいいけど女房のリンはどこいったんだ、早く何とかしてくれ。
それとは逆にさっきから煽りまくりなベルガーのご主人様なちっこいの。
…ティオだっけ?
どうでもいいけど女房のリンはどこいったんだ、早く何とかしてくれ。
「うるせーチビッコ! 今はお前も部員なんだから他人事じゃないんだぞ!」
煽りに即反応するヤス。
なんというか収拾がつかない、もうどうでもいいけど。
なんというか収拾がつかない、もうどうでもいいけど。
「お生憎さま、事前ミニテストはご覧のとおり。あんたとは根本的にココの出来が違うのよー」
そう言ってどこからかいきなり、赤く72点と書かれたミニテストのプリントデータを
見せびらかすティオ。
わざわざ持ってきたのそれ……
しかも大して自慢できる点数じゃねえ。
見せびらかすティオ。
わざわざ持ってきたのそれ……
しかも大して自慢できる点数じゃねえ。
「ぐぬぬ」
にらみ合うヤスとティオ、何度目だおまえら。
「ま、俺にはどっちにしろ関係ないし頑張れよっと。昼休みが終わっちまう。」
これ以上ここにいると面倒なことになる気がする。
なぜかそう感じた俺は、さっさと退散しようと部室のドアの取っ手に手をかけようとした途端、
いきなり勢い良くドアが開いて、危うく顔面直撃しそうになる。
なぜかそう感じた俺は、さっさと退散しようと部室のドアの取っ手に手をかけようとした途端、
いきなり勢い良くドアが開いて、危うく顔面直撃しそうになる。
「おわっ!?」
「あ、ごめんレーベ君」
かろうじて避けたものの、バランスを崩された身体はそのまま床に不時着。
怪我してる右手がすごく…痛いです。
ていうかいきなり入ってくんな、誰だよ!
視線を向けると、目の前には黒のパンストに濃紺のタイトスカート。
否が応にも目が行く胸元が少しきつそうな、レースが入ったブラウスを着た女。
…ってなんだ、今度はカトリちゃんか。
怪我してる右手がすごく…痛いです。
ていうかいきなり入ってくんな、誰だよ!
視線を向けると、目の前には黒のパンストに濃紺のタイトスカート。
否が応にも目が行く胸元が少しきつそうな、レースが入ったブラウスを着た女。
…ってなんだ、今度はカトリちゃんか。
「リン君から話は聞かせてもらったわ!」
「中間試験まであと1週間。このカトリ先生にまかせなさいっ!」
ヤスもティオもベルガーも、いきなりのことで元の体勢のまま唖然としている。
なんか…カトリちゃんすごく目が輝いちゃってるんですけど。
え、なにこれ。
なんか…カトリちゃんすごく目が輝いちゃってるんですけど。
え、なにこれ。
あとがき
長らく間が出てしまいました。
結局バトンタッチされてから1ヶ月かかってる辺り、お察しな執筆速度です。
結局バトンタッチされてから1ヶ月かかってる辺り、お察しな執筆速度です。
というわけでカトリのライバルポジションに当たるキャラクターの登場となりました。
簡単に言えば、軍のエースで類まれなる炎属性魔法の使い手です。
簡単に言えば、軍のエースで類まれなる炎属性魔法の使い手です。
コードネームはブレイズ、そのまんまですね。
本名についてはいずれ。(決まってないとも言う。
本名についてはいずれ。(決まってないとも言う。
性格は変わり者、というかいちいち大仰。
騎士道風かと思えば、ナンパな面も持ち合わせ、強い相手と戦うのが大好きな変態さんです。
騎士道風かと思えば、ナンパな面も持ち合わせ、強い相手と戦うのが大好きな変態さんです。
彼はカトリと同様の能力を持っています。
理由についてもいずれ。
理由についてもいずれ。