29-2
気がつくとすっかり日は落ちていた。
「はーあ…、なんだか、謝罪に来たつもりが励まされちまった、のかな…」
「いいのよ、楽しかったわ」
「…そりゃどーも」
「いいのよ、楽しかったわ」
「…そりゃどーも」
なんか調子狂った。最初からだったが。
「帰るわ。…んで皆のとこ、戻る。…今日はもう無理だけどな」
今から帰っても移動時間を考えたら夜だ。今日は無理だ。
「…うん、さようなら」
「じゃーな!」
「じゃーな!」
なんとなく、とても恥ずかしくなって、俺はすぐにドアを潜ろうとした。
「また来るでしょ?」
と、そこを呼び止められる。
「えっ?」
「また来てよ。お話、もっと聞きたい…」
と、そこを呼び止められる。
「えっ?」
「また来てよ。お話、もっと聞きたい…」
振り向いて、なんとなく出て行きづらいトモカの表情を見てしまった。
…そういえばまだ聞いていないことがあったんだ。
…そういえばまだ聞いていないことがあったんだ。
「あ…ああ、そうだ。お前んちさ、俺のスポンサー申し出てるんだってな?」
「特別奨学生のこと?」
「あーそれ! …でも、なんでだ? だって、俺はお前んちに恨まれることはあっても、そんなふうに良くしてもらえる義理、ないんだぜ?」
「特別奨学生のこと?」
「あーそれ! …でも、なんでだ? だって、俺はお前んちに恨まれることはあっても、そんなふうに良くしてもらえる義理、ないんだぜ?」
「…今さらその話? はぁー…。今日一日話して、相談まで乗ってあげたのに…そんな話…」
呆れ顔のトモカ、今度はムスッとした。…なんだというのだ?
それにしても病人という割にコロコロ表情が変わる女だ。
それにしても病人という割にコロコロ表情が変わる女だ。
「は? いや、だって、この話題は今はじめ…」
「もういいわ、それはまた今度話しましょう」
「もういいわ、それはまた今度話しましょう」
勝手に話をぶった切られた。
「…また来てくれるんでしょう?」
また同じ事を聞く。
そうか、こいつの話し相手なんて、今までライリさんくらいだったんだ。今日、最初に俺が来た時の喜びようを思い出した。こいつほんとうに嬉しかったんだ。…ま、奨学生の話は来年までに決めればいい。また今度来る時に、ゆっくり聞いてみよう。
「わかったよ。じゃあ、また来るぜ?」
「うん、またね、ヤスノリ。勉強頑張ってね」
「ああ。テスト、終わったら報告に来る」
「うん、またね、ヤスノリ。勉強頑張ってね」
「ああ。テスト、終わったら報告に来る」
日にちは決めていない。しかし、確かな約束を交わした。そして俺は今度こそドアを潜った。
…明日からはきちんと勉強会に出ようと思った。
カトリ周辺のドラマとか、ティオ周辺のドラマとか、画鋲ゴマの先輩いつ帰ってくるんだとか結構やってない伏線も多い。でも、そういうのは一旦置いておいて、どうしても後日談でやりたかったパートを普通に消化。頭がいいというよりはカンが良いタイプの二人が咬み合わない会話するだけの回。
今回のこれ自体に伏線はあるんですけど、ヤスとトモカの恋愛フラグかっていうと、そうではない。そこまでの具体的な感情はまだ。