シンジきゅん受け系SSまとめ

シンジ監禁2

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
 ここまで物事が淡々と進むのは後から酷い事が待っているからだろうか……
 心の何処かで疑いながらもシンジは安堵しきった笑顔を向けて、運ばれてきたパスタを美味しそうに食べた。

 そうか、きっとここはその男の家だ。
 よく見れば世界は霧なんて掛かっていないし、天井は安アパートなんて言葉がふさわしいただの天井だ。
 そしてきっと、この家の主の男が、こんな物を口にはめたのだ。
 漸く頭が真剣に物事を考え始めてきた。が、体は動いてくれない。
 正確には動けない。物理的な意味で。
「う、あぅ……」
 左足を除く四肢が何かで拘束されている。
 痺れてわかりにくいが、腕を拘束しているのは自分の体。
 自分の背中の下に両腕が敷かれている。どれだけ経っているのかは不明だが、この痺れ具合からすると短い時間ではないだろう。
 よくわからないが恐らく革製のリストバンドにも見える手錠をされているらしい。リストバンドではなく手錠だと呼べるのはその両方から安く軽く短い鎖が伸びているから。
 背中が妙にゴリゴリと痛い。その鎖もまた自分の体の下に有った。
 首だけを何とか起こしたが見えなかった。……それでもわかる。右の足首も両手と同じ物が付けられているのだろう。足首にはしっかりと重みが有った。
 問題はその枷から鎖が伸びているか、伸びているならどこへ繋がっているか。
 曖昧な記憶を辿れば未だ情事の前。これから変態的な行為が待っていると簡単に予想出来る。
 鎖がどこにも繋がっていなければ……逃げよう。
 この際金は要らない。夕食が豪華だったと喜ぼう。
 多少恥ずかしいだけなら兎も角、暴力に近い物は極力避けたい。ここは相手の家。友人を呼んだ、と屈強な男達がわんさか来るかもしれない。
 そんな事は簡単に考え付くのに、どうしてこうやって寝転がっているのだろうか。
 ……違う。
 確か「ここだよ」と鍵が開いた扉を先に入れてもらった。
 玄関から続く居間の奥まで入って大きな窓を誉めた。
 左側に部屋が有るのが見えた。2つ、寝室と扉の閉まりきった部屋と。
 一人暮らしなのに広いですねと告げた後に……気を失った?
 ……そうだ。
 無理に意識を飛ばさせられた。
 いきなり左腕を掴まれて、半袖から露出した肘に冷たい感触が……
――バタン
 そんな事を思い出している間に少しでも動けば良かった。
「元気だな、もう起きたのか」
 少し声音が低く、口調も冷たい。
「う、うあぉ……」
 口を塞がれている――同時に、無理に開けさせられている――状態だから言葉にはならない。
「家出初日だから当然か。でも体、かなり軽かったな。運ぶのが楽で良かった。普段からちゃんと食えよ?」
 何を言っているのだろう? 心配をして? それとも……
 ヘンゼルとグレーテルの兄妹はお菓子の家に住まう魔女に太らされてから食べられた。
 否、あの話は妹が助けに来てくれた筈。
 しかし妹も兄も誰も居ないシンジは……
「シンジの食べたい物は何でも買ってきてやるからな。飯は勿論、服や本やCDや……今日は最初の日だから早速プレゼントしてやろう。1番欲しいのは何だ?」


 万が一誰か来たら寝室以上に散らかっている物置だからと言い訳しようとずっと扉を閉めている部屋の中。
 掃除のしやすいようにフローリングのままなので背を痛めているだろう。
「可哀想に」
 声を掛けて近付き、シンジの背に手を回して上半身を起こす。
 冷えた床に付けていた肉の薄い背を強めに撫でた。
「うむぅ……」
 何を言っているのかポールギャグを外してやる。
「ぼ、僕……帰ります……帰して、下さい」
「帰る? どこに?」
「家……家出は止めて、帰ります……」
「家出なんかする必要は無いだろ。欲しい物は何でも買ってあげるからな。だからここ以外が自分の家みたいな、ワケわからん事は言うな」
 答えを聞いてやるのも面倒なので、そのまま顔を近付けて口付ける。
 思った通りの柔らかな唇は、やはり思った通りに微かに震えていた。
 唇を開かずに、舌を向ける事すら無く、触れるだけの接吻はこちらから一方的に終わる。
「……そんな顔をして、どうした?」
 シンジは答えられず、また目も逸らせない。
「その目、1ヶ月位前の頃のマユミを思い出すな。来たばっかりの頃の……」
「マユ……ミ?」
「あぁ、マユミ。お前と同じ位の年頃で、顔はそうでもないけど雰囲気は似てるな。真っ黒い髪も似てるし……まぁマユミは髪滅茶苦茶長かったけど」
 指先で髪の長さの違いを確かめるようにシンジの首をなぞる。
「この部屋はマユミの部屋だった。マユミはこの部屋で欲しい物を何でも揃えられるお姫様だった。友達は1人しか居なかったけれど、俺と言う召し使いが居た。マユミの世界は彼女と俺の2人きり、俺を繋ぎ止める為にマユミはお姫様から奴隷に変わる」
 物語を読み聞かせる、おっとりとした口調。
「でもどうしたのか、居なくなっちまったんだ。仕事に行ってる間にどこか行っちまって」
 部屋に充満するのはそのマユミの残り香。
 どんなに換気を重ねても抜ける事の無い牝の匂いと、混じり合って確実に存在しているアンモニア臭。そして微かな生臭さ。
 起こされて広がったシンジの視界にはハードカバーの国内小説と思しき本がギッシリ詰まった本棚と、その上に2枚のCDが無造作に置かれている様子が入っていた。
「一昨日帰ったら居なくなってた。マユミは1人じゃ、俺無しじゃ生きてけない子だから必死に探してやって……」
 僅か1ヶ月足らずで1人の少女の生活全てを征服しきっていた。……自由への渇望を除いて。
「昨日もどんなに探しても見付からなかった……今日だって朝から探してやったんだ。有給消化に丁度良かったなー……ったく、無駄な手間掛けさせやがって、あのアマが」
 わざとらしい大きな舌打ちを1度。
「マユミよりも更に可愛い顔して……胸は未発達、クリトリスは度重なるオナニーで誇大化したとでも思えばよいしな」
 侮辱を込めた卑猥な言葉にシンジの顔がサッと赤くなる。
 紅顔の美少年とはシンジを指すのだろう。不安に脅えて浮き出る汗も、口を強制的に開けさせられていた為筋を作って顎を汚す唾液も、ほんの演出にしか見えない。
「脱がせながら見たよ。一応皮は被ってるけどすぐ剥ける状態だし、アナルなんてちょっと尻引っ張ったら拡張されたのがすぐわかるし。エロい中学生がオナニーに夢中になっている……なんてモンじゃないよなぁ?」
 誰かに穢された跡が確実に残っている体。
「そんなん隠してよくもまぁ家出少年なんかやってるな。それともアレか? ホモ援交のつもりとか。現代に残る男娼さんってか」
「どうして……そんな事言うんですか……」
 ただ自分より下位の者を見下したいだけではなさそうな言葉にシンジは視線を泳がせた。悲しい事にデタラメではない。
「シンジはマユミと違って汚れてんだよ。真っ白なアイツを染めるのは簡単だったけど、真っ黒なお前を染め直すのは難しいからな。白く戻さなきゃならない」
 片膝をついてからゆっくり立ち上がる。
 それだけの動作なのにシンジが慌てて体を引き離そうと後退したのが見えた。
「シンジ……早く俺色に染めてあげたいのに……どこで汚れてきたんだか」
 完全に自分の世界に浸りきっている男は部屋の奥の閉めきられた小さな窓の前に立った。
 その目の前の棚の上には、かなり大きいサイズの水槽が有る。
 水が張られておらず、木の枝が何本も見える。そして生臭さも有るのだから、虫でも飼っているのだろうか?
「先ずはお前のこれから唯一のお友達に、綺麗に白くしてもらわなきゃな」
 おもむろに両手で蓋を開けて水槽に立て掛けて置き、次いで右手を入れる。
 深く、肘を曲げて肩の付け根まで。
 すると白い『何か』がその腕にゆっくりと絡み付いてきた。
「……あ」
 シンジの次の言葉は声にならず、息として飲み込まれた。
 体をうねくらせながら絡み付く白い物体はある程度の距離が有ってもすぐにわかる。
「へ、蛇……」
 何とか絞り出した声は『それ』の種類名。

 動物園に行った記憶の無いシンジにはテレビの中で辛うじて見た記憶が有った。



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー