シンジきゅん受け系SSまとめ

レイ×シンジ3

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匿名ユーザー

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 その廊下を抜けると広いリビングに出る。殆どが窓ガラスで、この家の中で唯一明るい。……勿論太陽の沈みきった今は暗いが。
 右奥の方に台所が見える。洗っていない食器が見えない所きちんと後片付けをしているのか、もしくは自炊を一切しないのか。
 左の奥には扉が閉まっている部屋が1つ。マンションの大きさから考えると少し狭い寝室が有るに違いない。
 葛城家から見ると貧相だが、綾波家から見ると結構豪華だ。
「お茶でも……ホットコーヒーしか無いけど、飲める? 水の方が良いかな?」
「お構いなく」
 手短に答えたのはそんな社交辞令を初めて吐いたかもしれないレイのみ。シンジはリビングの中央が気になって仕方無い。
 中央には安っぽい座椅子と大きなテーブルが1組。組み合わせとしては値段に差が有り過ぎて異質だが、シンジが気になっているのはそのテーブルの上を占領する物達。
 大量の大きな真っ白い紙。それらに埋もれている黒1色で何かが描かれた同じ大きさの紙が数枚。持つ部分と紙に書く部分が分かれるペン数組がバラバラに散らかり、それを付けるだろうインクの小さなボトルも有る。
 埋もれきってシンジの視界には入らないが、白い紙の下には鉛筆と黒ずんだ消しゴムと、掃除をしていない証明の消しゴムのカスが散らかっていた。
「シンジ君は……あぁ、珍しい? どれも没だから、見たかったら見ても良いよ」
 そう言われて漸く振り向いたシンジにこの家に1人暮らす男は苦笑を向ける。
「漫画描いてるんだよ。絵に描きたいって言うのも漫画の事。ごめんね、もっと芸術的な物だと思ってたら申し訳無い事したよ」
 シンジは言葉が出てこなかったので、慌てて首を左右に振った。

「商業誌も描いたりするけど、未だ単行本とかは出してないから……一応18禁の雑誌だから、読ませちゃ犯罪になるのかな」
「漫画家さん……なんですか? 凄い! 僕漫画家さんなんて初めてです!!」
 シンジにはははと少し乾いた、しかし皮肉を除けばきちんと喜びの見えてくる笑いを聞かせた。
「漫画家なんて大層なものじゃないよ。シンジ君達位の子が読むようなのは描かないからね。連載も持ってないし、同人誌を出して細々と食べていくのが精一杯。……アシスタントしてくれてた子も先週就職の為に引っ越しちゃって、遂に1人きりになっちゃったからね」
 漫画に関する物で埋め尽されたテーブルはゴチャゴチャとしているのに、それが有るこの部屋は妙にガランとしている。
 資料なのか趣味なのか、テレビの周りに散らかったビデオやDVD、本棚から取り出してそのままにしてある漫画等、生活感はとても溢れて正直汚い。しかし1人で生活していくにはこのリビングは広い。
「そんなに忙しい仕事じゃないみたいだから一緒に行ってアシスタント続けてもらいたいとも思ったけど、やっぱりこの地からは離れたくないからね。ここ出身地なんだ。まぁ産まれた頃は名前も土地の雰囲気も今とは違ってたんだけど」
 す、と手を出されたので、何と無く意を汲み取ったシンジはテーブルに近い床がしっかり見えている所へ座り込んだ。
 レイの方へ顔を向けるとシンジの近くに、置いてある物を適当に横に避けてから座る。
「普通の少年漫画の賞とかに応募すると必ず『話が駄目』って切り捨てられちゃって……」
 その前に『絵は綺麗だが』と形容詞が付くかもしれない。
 ふと間近で見た没にしたらしい線画の女性が随分と美しく描かれていた。

 と言っても芸術的な絵画ではなく、サブカルチャー的なノースリーブにミニプリーツスカート、更にはサイハイニーソを合わせた髪の長い少女が待ち合わせでもするかのように佇んでいる絵だったが。
「……でも1度だけ、だいぶ前に1度だけだけど、話も面白いって評価された事が有ったんだ。生まれ育った街を舞台にしてみた漫画が」
 絵から客へと視線を動かすと、はにかんだ笑顔が視界に飛び込む。
「嬉しかったんだろうね。もう漫画で食べていく夢は諦めたのに、ここ以外に住む気は無いみたいで」
 穏やかな笑顔と口調。シンジも思わず口元が綻んでしまう。
「……って、諦めたのに、描いてるんですか?」
「うーん……一応最近はそれで食べてる事は食べてるんだ。1枚パッと描いたり、ゲームの絵を描いてるんだ。漫画は描いてないよ」
 余り違いがわからずシンジは小首を傾げたが、それ以上の説明はもらえなかった。
「碇君、遅くなって、葛城三佐は大丈夫なの?」
 ポツリと、隣に座るレイが全く無関係の話題を口にする。
「え? あ、うん、泊まるって言ってきてるから。ミサトさんにもアスカにもちゃんと言ってあるよ」
「そう」
「泊まるって言った手前、帰る方が気まずいしね。綾波は……独り暮らしだっけ。あ、戸締りちゃんとしてきた?」
 和やかなやりとりを眺めていた客も、テーブルを挟んで2人の向かいに座る。
「何だかお母さんみたいな心配の仕方だね。もしかするとお姉さんだったのかなって思ったけど、話からすると違うみたいだし……やっぱり恋人?」
 聞き馴れない甘い関係の名前にシンジは左右に何度も首を振る。
 その必死な仕草がお気に召したのか、客は笑いながら尋ねた。
「じゃあ、幼馴染みとか?」
「いえ……あの、その……仕事! 仕事始めます、眠くなっちゃう前に!」

「確かに眠られちゃ困る。じゃ、ちょっと机片付けるから本でも読んで待ってて。その前に飲み物持ってくるから」
「いいです。綾波も、何も飲まなくて大丈夫だよね?」
「えぇ」
 もう1度悪いね、と言ってから客はテーブルの上の原稿用紙を手に取り吟味し始める。
 全く描かれていない紙は使える物。下書きだけで気に入った物は保存、気に入らない物は破棄。ペンが入っている物は全て使えない物。
 掃除等は元から苦手なのだろう客が片付け終わるのに10分弱要したが、お世辞にも綺麗にはならなかった。
 すぐに描けるように客の前には1枚の真っ白な原稿用紙。そして右隣に他と比べると未だ新しい長めの鉛筆。しかし散らかりきった消しゴムのカスばかりが目についてしまう。
「じゃあ……変なお願いだけど、脱いでもらって良い。その、男を描きたいワケじゃないから、パンツは脱がなくても良いから」
「はい」
「胸とか脇腹に怪我とか刺青は無いよね? ホクロは?」
「? どれも有りませんけど……」
「良かった。そういうのが有るとそっちばかり気になっちゃうから」
 苦笑に近い優しく穏やかな笑顔は、やはり今日の客にはよく似合っていた。

 脱ぐだけなら楽過ぎる仕事で逆に不安になるが、仕事に代わりは無いのでシンジはシャツのボタンに手をかける。
 制服なのでまるでこれから体育の授業でも有りそうな気がしながらTシャツも脱いだ。
 しっかりと畳んでからベルトを外し……
 パンツをおろす前にレイの顔を見る。
 忘れそうだったが、ここにはレイが居る。このままでは下着姿を見られてしまう。
「……私も脱ぐの?」
「えっ!?」
 恥ずかしいなぁと考えて手を止めていたシンジは予想の外過ぎて見当たらないレイの言葉に目を丸くした。
「いや、あ、あの……」

 頬を赤く染めながら言葉を失うシンジと、敢えて何も言わない客。
 返事を待つのが面倒になったのか、レイは自ら赤いリボンタイを解く。
「綾波……」
「恥ずかしくない?」
 シンジの言葉を遮って客がレイに尋ねた。
「何がですか?」
 日頃実験等で、人前で服を脱ぐ機会は他人と比べて何倍と多く、しかも電気を付けても少し薄暗さの有るこの部屋では全く気にならないらしい。
 立ち上がってジャンパースカートの肩掛けを左右共下ろし、ウエストホックを外すと、スカートはそのまますとんと足元に落ちた。
 普段から見られる膝から下は白いだけではなくほっそりとしていて、ただただ不健康そうなだけだが、露になった太股は少し肉付きが良くて温かみすら見える。
 レイの肌やブラウスにも負けない真っ白な下着が秘所を綺麗に隠している。白と言えば透けそうな印象だが、全くもって奥を見せない。
 だからだろうか、いつだったかレイの部屋に向かった際に散らかしてしまった下着は、確か全て同じ形で白一色だった。
 思い出してしまう。とっさに手を放したとはいえ、レイの胸に直に触れてしまった事を。
 レイはスカートの上に再び座り込んでブラウスも脱ぎ始める。
 恐らく彼女の中には『服に皺が付く』という観念が無い――もしくは有ってもそれが悪い事ではないと考えている――のだろう。下敷になったスカートも更にその上にはらりと落としたブラウスもそのまま放置していた。
「私は下着も?」
「いや、君もそのままで良いよ」
 膨らみ掛けた胸はサイズが合っているのかどうか疑わしいブラジャーに押さえ付けられている。
 これも同様に白く、下着姿という淫靡なシチュエーションに相応しくない清楚さが有った。
 ……ただ、悪く言うとそそられない。淫らな興奮をもたらしてはくれない。



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