シンジきゅん受け系SSまとめ

レイ×シンジ9

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匿名ユーザー

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 だが考えれば客はただ絵を描いていただけで、特に疲れる事は何もしていない。絵を描くのも真剣になれば体力も精神も磨耗するが、彼の手元の何枚もの紙に描かれている絵はラフスケッチに近い物だ。
「お構いなく」
「いや、流石にその格好は構わないといけないからね」
 レイの言葉は恐らく彼女にとってとてつもなく珍しい2度目の社交辞令だったのだろう。客の言葉通り構わないワケにはいかない、液体まみれの状態なのだから。
「レディーファーストに、お先にシャワーどうぞ。シンジ君は後からでも良い?」
「はい」
 両手と腹筋の力で何とか上半身を起こし、角度を変えてシンジは座り直す。
「一応体拭くタオルは持ってくるから待ってて」
 立ち上がって寝室へと向かった客の背が消えてから、最後まで名乗らないらしいレイは手首の己の髪の生え際を拭った。
「……お疲れ様、あの、有難う」
 見慣れないレイの一連の動作を見ながらシンジは呟く。
「何が?」
「その……結局、こんな事までさせて、ごめん」
「何故謝るの?」
「……え、っと……どうして、だろうね」
 レイから顔を見えないように、そしてレイの顔を見ないように俯いて視線を落とした。
 自分達の汗やら何やらが汚してしまった初めて見る床。
「……辛くないのならば、止めないわ」
 聞き返したかったが、極力顔は見たくない。肌を重ねても呼吸が整えばいつも通り平然としている姿が怖い。
「でも、もしも辛いなら。体や心が辛いなら、止めれば良い。それは逃げる事とは違う。戻る事だから」
 彼女もまた何度も何度も耳にしてきた「止めなさい」との言葉を吐きたいのだろうか。
 散々変態的に陵辱してきた挙句、終わった後からわざわざ場違いな説教を始める。
 そんな人物に限ってまた次の週に自分を買いに来るのだから不思議な話だ。
「逃げないし、戻らないよ……多分」
「そう」
 どんな顔をして自分を見ているのだろう。こんな状況でもレイならば無表情のままだろう。
 ……少し、ほんの少しだけ。寂しい表情をしてもらいたい、等と思った。
 だが視線をレイの顔へと向ける勇気が足りなく、返事を待つしか出来ない。
「……戻れないんだよ、もう」
 理想の返事が貰えないのなら話を終わらせよう。
 そう考えたのか無意識なのか、シンジの口からほろりと言葉が零れていた。
「いいえ、戻れるわ。碇君が帰ってくるのを待っているもの。誰が待っていなくても、私が。」
 おかえりなさい、と両手を広げるイメージ。
 頭の中に駆け巡ったそれが、見覚えが全く無いのに、酷く懐かしい。
「……また泣いてしまうのね」
「な、泣いてないよ」
 慌てて顔を上げずに右手の甲で目をゴシゴシと擦る。
「全然、泣いてなんかないっ……」
 手の甲が温かい何かで塗れたのだから、恐らく自分は泣いているのだろう。それも多分、嬉しくて。

「あれ、どうしたの?」
 オレンジ色の派手なタオルが2枚と、白い大きなタオル1枚を両手で持った客の言葉に、シンジは目を擦っていた手を放してしまう。
「喧嘩でもしてた?」
「いえ、何でもないです」
 目も鼻の頭も赤くしたシンジは首を小さく左右に何度か振って説得力の無い否定をする。
「そう? 何かごめんね。取り敢えず、バスタオル見付けたから、はい」
 白い方のタオルはバスタオルと呼ぶには小さく思えたが、レイは拒みも感謝もせずに事務的に受け取った。
「それから、お尻はこっちで簡単に拭いておくと良いよ」
 そうしないと浴室に向かうまでに床も何もが汚れてしまうだろう。
「はい」
 オレンジ色のタオルを1枚受け取ったレイは羞恥関係無く立ち上がって秘所をふき取り始める。
 見ようによってはタオルを使った自慰だが、生憎そんな目で見られる程の体力はシンジには残っていなかった。
「シンジ君も、一応これで拭いて」
「はい、有難うございます」
「……シャワー借ります」
 ある程度拭き終わったレイが抑揚無く告げる。
 客が「ごゆっくりどうぞ」とよく似合う穏やかな笑みで言ったのを確認し、この部屋に来るまでの短い距離で大体どの辺りに浴室が有るのかを把握していたレイは歩いていった。
 座った状態でぼんやりとその後姿を見送るシンジ。
 待っていてもらえる。切っ掛けを忘れていつの間にか汚れきっている自分を。更に汚れていくだろう未来の自分を。
――がばっ
「わっ!? ん、むぐ!?」
 突然背後から抱きすくめられ、驚きの声も口を塞がれて出せなくされた。
「む、んむぅ!?」
 唇に触れる感触は間違いなく人間の手で、経験からすると大きくはない男の手。
 例え経験が無くともわかる。この部屋には今自分以外に1人しか居ない。本日お買い上げ頂いた大切な、未だ触れられてもいなかったお客様しか居ない。
「可愛い声を出すんだね……」
 今までと何ら変わりない声なのに妙に低く感じられるのは、耳元で息を吹きかけるような喋り方だからだろうか。
「女の子の方、名前何だっけ? あの子みたいに可愛い顔で、あの子よりもずっと沢山声を出して……恥ずかしくないんだ?」
「んむ……」
 肯定なのか否定なのか自分でもわからない返事。
「流石商売にしていると違うね、興奮させてもらったよ」
 背中に何かがぐいぐいと押し付けられているのがわかる。無論、その何かが半勃ちなんて可愛らしい状態ではなく、立派に勃起しきった性器である事も。
「本当は先刻の女の子の方が良かったんだけど、きっと君以外とはシてくれないよね?」
 もう夜も更けているので毎朝綺麗に剃っていても伸びてしまった髭が肌をジョリジョリと擦る音が右の耳に響く。
「男の子相手にヤった事なんて無いけど、その辺りは大丈夫だよね? まさか、絵は描かせたから終わり、なんて言わないよね?」
 先程の紳士的を通り越して優柔不断そうな雰囲気をどこかに捨ててきた客の舌が耳の穴を愛撫する。水音だけではなく、唾液その物が耳の中へ流れ込んできそうだ。
 先程まで紙を押さえるしかしていなかった左手が、汗しか纏っていない体をゆっくりとなぞる。
 しかしその手がテストで良い点を取った子供への父親からの褒美に思えてしまう。
 背に当たる温もりと熱もまた、そんな父親が遊び盛りの子供を危険な方へ向かわないようにと抱き締めているようだと脳が勝手に変換していく。そんな事をされた試しが無いのに。
 ふと返事を催促して右手が放れた。
 口が自由になった。嫌だと自分の気持ちを告げられる。今日は悲鳴を上げてレイと言う助けを呼ぶ事も出来る。
「……僕の精液、触ってもらえますか?」
 汚くて無理ですか? と尋ねる前に、わかったと返事をして客の右手がシンジの所為へと伸びた。
 良かった。これでこのまま、ローションを取りに行ったりせずに抱き締められたまま性交出来る。
 レイが「ごゆっくり」の言葉を受け取って長い時間を掛けてシャワーから出るまで、痛みと異常な悦を堪えるだけで良い。
 その間抱き合っていられる。女性は母親のように、今日の客は男性だから父親のように、抱き締めていてもらえるのだ。




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