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奇髪呪術師SAZAE

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奇髪呪術師SAZAE ◆/O9sjV9JyQ



やっとの思いで、首からギターを担ぎながら五十五階分の階段を下りて来たジェシーが下着売り場の入り口で目にしたのは二つの腐臭を放つ肉塊だった。
今や顔すらも判別できないそれが、ついさっきまで人間であったことは容易に想像がついた。
だが、それはあまりに質感を伴わない実感だった。
こんな光景など、せいぜい映画か、さもなければジェシーが好きなアニメの中にしかないと思っていた。
それを目の前に突然見せ付けられて、ジェシーはすでに棒になっている足を引き摺ってでもその場から逃げたい衝動に駆られた。

(ジョーイ……ミシェル……みんな……俺は、どうしたら……)

名簿の中に家族や仲間の名前が無いのを確認したとき、ジェシーは心の底から安堵した。
しかしそれは、信頼できる人間が誰もいないということでもある。
実際、すでに一人の参加者が他の参加者を殺す場面を目にしてしまった。
そしてこの入り口での惨状だ。
もしかしたら、これもあの男がしたのかもしれない。
「くそっ!! こんなこと絶対許さねえぞ!!」
ジェシーはこの殺し合いに乗った人間たちへの憎悪を新たにした。
他の人たちにも、ここで肉片と化している誰かにも、自分と同じように愛する家族や友人がいたはずだ。
その人たちの思いを好き勝手に踏み潰すような人間は絶対に許せない。

(たとえ殺人犯になっても、そんな連中は片っ端から叩きのめしてやる……まずはあの男だ)

そんなことをしていればもう家族のもとには戻れないかもしれないが……それでもいい。
自分を偽って保身を図るよりも、自分の気持ちに正直に行動してやる。
敬愛するプレスリーのように。

そう決意を新たにしたジェシーは、目の前を足音もけたたましく一人の若い東洋人の女が全裸で走っていくのを目撃した。
若い女といっても美人ではない。いや、顔立ちはわりと整ったほうかもしれないが、首から上のある部分が明らかに異様なのだ。
つまり、その髪型である。
あんなアグレッシブな髪型をしてる女など、ミュージシャン仲間にだっていやしない。
いや、あるいは日本人の間ではあんなのが流行っているのか。
名簿に書かれていた名前は、ほとんどが日本人らしいものであったことを思い出す。
しかしチョンマゲとかならまだしも、あんな奇抜な髪型はサムライ映画でだって見たことが無い。

「って、そんなことどうだっていいじゃねえか!!」
ジェシーが一人で叫ぶと同時に、そのバックからアメリカ笑いが響き渡る。
「殺し合いに乗ってるって感じでもねえしな……声をかけてみるか」
そしてジェシーは女の後を追って走り出した。


やっとの思いで足の速い女に追いつき話しかけて見ると、女は意外なほどあっさりとジェシーのことを信用した。
かなりお人よし、というか単純な性格らしい。
そしてジェシーは裸の女に自分が羽織っていたジャケットを脱いで貸してやった。
「それにしても、なんでこんな入る風呂も無いところで素っ裸になんかなったワケ?」
「ああそうそう、そうだったわ!! さっき大変な目に遭ったのよ!!」
サザエの話、つまり犬を連れて冒険家風の男から逃げていたら突然男に切りかかられ、
一緒にいた犬もその時殺されてしまったという話を聞いてジェシーは激昴した。
しかも、話を聞く限りその男は自分が下着売り場の五十五階で目撃した殺人犯と同一人物ではないか。
「クソッ!! 一人殺しただけでは飽き足らず、また別の奴を襲ったってのか!!」
「そうよ、きっとあの人は私たちを皆殺しにして一人だけ生きて帰るつもりなんだわ。
他の人たちにもこのことを伝えないと」
「ああ。だがそれだけじゃ足りねえ。あいつがこれ以上人を殺す前に、俺がぶっ殺してやる」
「だけどあの人は刀を持ってるのよ? あなたは何か武器でもあるの?」
サザエがそうたずねると、ジェシーは「それなんだよなあ」と言ってアメリカ人らしく両掌を上に向けるポーズをとった。
「俺の鞄に入ってたのはせいぜいこのギターと、あとはこの変な人形だけだ」
そういってジェシーが古めかしいジーンズのポケットから取り出したのは真っ黒い人形だった。
手の内に収まる程度の大きさしかないのだが、顔も体も黒一色に塗りたくられたそれはまるで死体のような不気味さを醸し出していた。
何故か胸の辺りに一枚の白い紙が貼ってある。
「なあに、この変な人形?」
サザエはおもむろに人形を手に取るといじくり回しはじめた。
「おいおい、一応正体不明なんだから下手に壊さないでくれよ」
「大丈夫よ、どう見てもただの人形じゃない。ああ、そういえば自己紹介がまだだったわね。
私はフグ田サザエよ」
「俺はジェシー・コクラン。ジェシーと呼んでくれて構わないぜ」
「ジェシーさんね。ちょっと待って、忘れないようにメモしておくわ。私って意外と忘れっぽいから」
サザエはジェシーからペンを借りると、人形の胸に貼ってあった紙にちょうどいいとばかりに
『ジェシー・コクラン』
と書き記した。
「さ、これからどうするの?」
「そうだなあ、まああの男を捜しがてら、他の連中とも会って情報を交換したい。
あの男が危険人物だってことも教えないといけないからな」
「そうね。早いとこあの人をとっちめてやるんだから!!」
そう意気込んでサザエが手にしていた人形を強く握り締めた瞬間、ジェシーは何故か突然息苦しくなって昏倒した。
「あら、どうしたの?」
「いや、何でもねえ……おかしいな、寝不足か?」
その原因がサザエの手の中にある自分の名前が書かれた呪術人形とは露知らず、ジェシーは今や本物の
『呪術師』となったサザエと行動をともにすることになった。


【E-3 下着店近く/一日目・早朝】

【ジェシー・コクラン@フルハウス】
【服装】ミュージシャンの衣装
【状態】健康
【装備】長門有希のギター@涼宮ハルヒの憂鬱
【道具】支給品一式、不明支給品1
【思考】
基本:早く殺し合いを終わらせて、家族の元に帰る
1:6/とかがみの悪行を広めるため、サザエと一緒に他の人間を探す
2:6/とかがみを見つけたら殺す
※ 6/@クロススレと柊かがみ@クロススレをマーダーだと誤解しています

【フグ田サザエ@カオスロワ】
【服装】全裸
【状態】不死身
【装備】ミルフィーユの呪術人形@オリロワ
【道具】なし
【思考】基本:猫限定マーダー(無意識)
1:ジェシーと一緒に、6/が危険人物だとなるべく多くの人に知らせる
2:ここから脱出する
※不死の薬@竹取物語を飲んで不死になっています
 しかし制限のため、不死の効果は六時間しか持続しません


※ミルフィーユの呪術人形
名前を書いた人間を呪います。
ただし主催者による制限のため、この呪いそのもので人を殺すことはできません


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すれちがい ジェシー・コクラン 【誤解連鎖】
断絶への旅路 フグ田サザエ 【誤解連鎖】

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