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雑貨屋、血に染めて ◆OQfaQnysJI



ここは雑貨屋。
片桐唯は、剣菱悠理と共にベッドで眠りについていた。だがどこからか聞こえてくる大きな音に反応し、彼女の脳は覚醒を始める。

『高良みゆき、柊かがみ、沙英、トーマス、ルーファウス、間宮五郎、ネロ、源義経……』
「なんだこれ……。おい、悠理起きろ。起きろってば」

寝ぼけたままの頭ではよくわからないが、とりあえず特殊な事態であることには間違いない。
そう判断した唯は、隣で寝ている悠理を起こしにかかる。だが、悠理はなかなか起きてくれない。
結局悠理がかろうじて「起きている」と言える状態になった時には、すでに放送は終わってしまっていた。

「どうしたんだよ婆ちゃん、せっかく気持ちよく寝てたのに……」
「だから婆ちゃんって言うな! まあそれはこの際置いておこう……。それより、さっき何か放送が流れてたようなんだ」
「放送? ラジオ体操でもやるの?」
「そうじゃない。私も寝ぼけてたから断言は出来ないけど、あの声は最初に私たちに殺し合いをしてもらうと言っていた男のものだった。
 殺し合いを開催した側からのメッセージとすると、何か重要な意味があったはずなんだが……。
 それを聞き逃すとは、私としたことがうかつだった」
「なに、たいしたことじゃないさ」

突然、二人の会話に別の声が割り込む。驚いた二人が声の方向に視線を向けると、そこには一人の少年が立っていた。
少年の顔には微笑が浮かんでいたが、その笑みの裏には明らかな殺意があった。
その上、少年が持つ剣とその体を覆うマントにはおびただしい血液が付着している。
その少年が自分たちに危害を加えようとしていることは、唯たちにも容易に想像できた。

「これから死ぬ人間が、何を聞いたってどうしようもないだろ?」

物騒な言葉を続けると、少年……ハオはゆっくりと唯たちに近づいていく。

「何だよ、お前! マイキーは……入り口にいたマネキンはどうした!」
「マイキー? 彼のことかい?」

吠える悠理に対し、ハオは淡々とした口調で何かを投げつける。
それは、マイキーの首だった。

「マ……マイキー!!」

変わり果てた姿となった仲間に向かって、悠理は叫ぶ。だがすでに息絶えたマイキーは、一切の反応を示さない。

「よくもマイキーを……! ぶっ飛ばしてやる!」
「……」

端整な顔立ちを怒りに染め、悠理は雷鳴の剣を握る。その横で、唯も戦闘態勢を取る。
無言ではあるが、彼女も悠理同様怒りをあらわにしていた。
怒れる二人の少女を前にして、ハオはなお余裕の態度を崩さない。
自分が負けることなどあり得ない。態度でそう語っているようにも見えた。

「いくよ」

静かに呟くと、ハオが動く。標的を唯に定め、フランベルジェを横凪ぎに振るう。
唯はその攻撃を、後ろに飛んで回避。ベッドに身を沈め、スプリングを活かして今度は前へ大きく跳躍する。

「だしゃあ!!」

ハオに一撃を加えるべく、唯が右手を伸ばす。ハオはその打撃を、フランベルジェを盾にして受け止めた。
だが唯の打撃が秘める壮絶な破壊力の前に、フランベルジェは粉々に砕け散る。飛び散った破片のいくつかは、ハオの皮膚を切り裂いた。

「へえ、やるじゃないか」

頬にできた傷から流れる血を拭いつつ、ハオは言った。その態度には、まだ余裕が残っている。
唯はかまわず、二撃目を放つ。だがそれはハオに回避され、空を切った。

「さすがに素手じゃ分が悪いかな」

涼しい顔で呟くハオ。唯はなおも攻撃を続けるが、やはり空振り。ハオを捉えることはできない。

「唯! あたいも加勢するよ!」

唯の不利を悟り、それまで後方で待機していた悠理も剣を振り上げてハオに突進する。
それに対し、ハオは悠理を指さして笑いながら言った。

「行け、テレサ」
「え?」

唐突なハオの発言に、悠理は思わず足を止める。唯の方も声こそあげなかったが、唖然とした表情を浮かべていた。
少女達が見つめる中で、ふいにハオの背負うデイパックから何かが飛び出す。
それは、白いボールに顔と手足がついたような、不思議な物体だった。
「テレサ」。それがその存在の名前だった。
宙に浮かんだテレサは、ケケケと不気味に笑う。そして次の瞬間、その姿を消した。
同時に、その場からテレサ以外にも二つのものが姿を消す。
一つは、悠理が持っていた雷鳴の剣。もう一つは、ハオ自身。

「け、剣が消えたあ!? しかもあいつ、どこに行きやがった!」
「落ち着け、悠理。そう遠くには行けないは……」

唯の言葉が、不自然なところで途切れる。

「え……?」

悠理は、自分の目の前で起きた現象を信じられなかった。突然唯の胸に、縦に長い穴が空いたのだ。
そしてその穴の延長線上には、彼女の血が宙に留まっていた。

「あ……あ……」

仲間の無惨な姿と不可思議な現象を前に、硬直する悠理。その前で、何かがゆっくりと出現していく。
それは、悠理が持っていたはずの雷鳴の剣で背後から唯の胸を突き刺すハオの姿だった。

「まず、一人」

完全に姿を現したハオは、唯の体から剣を抜きつつ呟く。支えを失った唯は、糸の切れた操り人形のように力無く床に倒れ込んだ。

「唯ーーっ!」

悠理は慌てて唯の元に駆け寄り、その体を抱き起こす。しかしその体からは、すでに体温が失われつつあった。

「すまない、悠理……。私としたことが……」
「謝ったりなんてしなくていいよ! しっかりしてくれよ!」
「せめて悠理だけ……でも……逃げ……ゴホッ!」

唯の口から、大量の血が噴き出す。それと前後して、彼女の顔から一気に血の気が失われていく。

「唯、唯ーっ! 頼むから、目を開けてくれよ! もう婆ちゃんって呼んだりしないからさあ! なあ!」

唯を抱きしめ、悠理は叫ぶ。だが、もう唯の口が言葉を紡ぐことはなかった。
がっくりとうなだれる悠理。そこに、ハオはゆっくりと歩み寄る。

「友達との最後のお話はすんだかい?」
「お前……!!」

両目から涙をあふれ出させながら、悠理は悠然と近づいてくるハオをにらみつける。

「君には霊感があるようだね。僕の元で鍛えれば、いいシャーマンになれるかもしれない。
 どうだい、僕と一緒に……」
「うるさい!!」

ハオの言葉を、悠理の怒声が遮る。同時に、彼女の左の拳がハオの顔面に叩き込まれた。

「ふざけるな! 人を殺してへらへらしていられるような奴と一緒に行けるか!
 よくもマイキーを! 唯を!!」

絶叫しながら、悠理はさらに右の拳を繰り出す。しかし、それはハオに受け止められてしまう。

「そうか、断るか。じゃあ、君も殺すしかないね」

拳を受け止めた手に力を込めながら、静かな声色でハオは言う。
その口元は、かすかに笑みを浮かべていた。だが、目は笑ってはいなかった。
哀れな者、弱き者を見下す、絶対的強者の目。それが、今のハオの目だった。
怒りに燃える悠理の心ですら凍てつかせる、冷徹な視線を放ちながらハオは言う。
哀れな人間への、蔑みの感情を込めて。

「ちっちぇえな」


◇ ◇ ◇


目的地の雑貨屋にやってきたファシルたち。だがその入り口に立ったファシルは、思わず顔をしかめた。

「ちっ、ここもか……」
「どうしたの、ちちうえ?」

ファシルの表情の変化に気づき、かぐや姫が不安そうに尋ねる。

「血の臭いがする……。クイーン、かぐやを頼む。様子を見てくる」

そういいながらファシルはおんぶしていたかぐや姫を降ろし、傍らにいるハートのクイーンに預けた。

「あいわかった。気を付けてたもれ」
「ちちうえ、ちゃんとかえってきてね?」
「安心しろ、いちおう武器もある。危険だと判断したらすぐに戻ってくるさ」

クイーンとかぐや姫の声を背に受けながら、チェーンソーを手にファシルは雑貨屋へ足を踏み入れる。
周囲に気を配りつつ、血の臭いをたどって前進。やがて彼は、家具売り場にたどり着いた。

(やはり戦闘があったか……)

目の前に広がる光景に、ファシルは再び顔をしかめる。
そこにあったのは切断されたマネキンの首、バラバラに砕けた刃、そして血に染まった体を床に横たえる二人の少女。

(二人を殺した奴は……もう立ち去ったようだな)

当たりに人の気配がないことを確認したファシルは、どうしたものかと首をひねる。
数時間前に見つけた少女達のように火葬にするか、それとも……。
その時、少女のうち片方の体がピクリと動いたのをファシルは見逃さなかった。

(生きているのか!?)

ファシルは弾かれたように少女……悠理に駆け寄り、その体を抱き上げた。

「おい、しっかりしろ!」
「誰か……いるのか……?」
「ああ、ここにいる! 気をしっかり持て!! まだ助かるかもしれん!」

悠理に励ましの言葉を贈るファシル。それに反応し、悠理は力無く笑う。

「あたい……だって……助かりたいけど……無理みたいだ……。派手にあちこちやられちゃったから……」

そんなことはない。そういおうとして、ファシルはその言葉を飲み込む。
悠理の体には、深い傷がいくつも付けられている。精神力でどうこうできるレベルの怪我とは思えない。
あいにく、治療ができるような道具も所持品の中にはない。

(くそっ、このままこいつが死ぬのを見ていることしかできないのか……!)

自分の無力さを痛感し、ファシルは無意識に歯を食いしばる。

「なあ……誰だかわかんない人にこんな事頼むのも何だけど……」
「なんだ? 何が言いたい」

悠理の口から漏れる弱々しい言葉に、ファシルは我に返った。そしてその言葉を聞き逃すまいと、耳を傾ける。

「友達が一人……ここにいるんだ……。可憐っていうんだけど……。
 もし会えたら……伝えてくれよ……。一緒に……帰れなくて……ごめん……って」
「わかった」
「あと……マントを着た……髪の長い……奴に……気を付け…………」

悠理の首が、カクリと曲がる。今度こそ本当に、彼女は息を引き取った。

「…………」

もう物言わぬ亡骸と化した悠理を、ファシルはじっと見つめる。

(ちっ、まただ……。また人が死んだ……。なぜだ! なぜこの俺がいながら、殺し合いが止められない!
 俺に……力が足りないというのか! 俺は、勇者ではないというのか!)

ファシルは、おのれに問いつめる。だがその問いには、彼の中のルシファーですら答えてはくれなかった。

【片桐唯@打撃天使ルリ(ドラマ) 死亡】
【剣菱悠理@有閑倶楽部 死亡】


【I-8 雑貨屋/1日目 朝】

【ファシル(本名 鈴木次郎) @オリジナルキャラ・バトルロワイアル】
【状態】健康、無力感
【装備】チェーンソー
【持ち物】基本支給品一式×3、不明支給品0~6、成長そくしんライト@ドラえもん@ニコロワ
【思考】
 1:首輪の解除
 2:脱出し、主催を滅ぼす
 3:邪魔する者、ルシファーのかけらを持つ者は殺す
 4:かぐや姫を泣かせたくないが、勇者としての使命が……
 5:かぐや姫の服を探す
 6:スペードの2がいたら、合流する(「会えたら」という程度で、積極的に捜すつもりはありません)
 7:「かれん」に会ったら、悠理の遺言を伝える
【備考】
 ※成長そくしんライトは制限により一回5才までしか成長せず、12時間置かないと再使用できません。


【かぐや姫@竹取物語】
【服装】布。最低限の部分は一応かくれてる。
【状態】健康、現在5~6才
【装備】ハロ(ピンクちゃん)@ガンダムSEEDシリーズ
【持ち物】なし
【思考】
 1:ちちうえも ははうえも だーいすき。
 2:ぴんくちゃん、かわいい。
 3:ぴんくちゃんと おなじいろのきものが あるといいな。
【備考】
 ※今のところ月に帰るつもりはありませんが、今後どうなるかはわかりません。


【ハートのクイーン@七並べ】
【服装】チャイナドレス、パンツはいてない。
【状態】健康
【装備】なし
【持ち物】なし
【思考】
 1:首輪の解除
 2:脱出する
 3:かぐや姫と一緒にいる
 4:ファシルが戻ってくるのを待つ
 5:スペードの2が心配
 6:パンツがほしい
【備考】
 ※じゅうじか@FF2で呪いが解け、人間形態になっています。



朝日に照らされる街の中を、一人の少年が歩く。
血に染まったマントを身にまとい、血に染まった剣を手にして。
日の光を浴びる傷だらけの顔には、一切の表情が浮かんでいない。
彼が今何を思い、歩を進めているのか。それを知る術はない。

【I-8 町/1日目 朝】

【プリンセス・ハオ(ハオ)@シャーマンキング】
【服装】普段着(古びたマントを羽織っている)
【状態】ダメージ(小)、S.O.F.喪失、プリンセス・ハオに改名される
【装備】雷鳴の剣@ドラゴンクエストⅥ
【道具】基本支給品一式×6、五寸釘・藁人形・金槌の呪いセット、夜のおかずセット(TMAのエロパロDVD三本+真夏の夜の淫夢)
    不明支給品(ハオ:0~2、マリナン:0~2)
【思考】
 基本:皆殺し。
 1:この地にいる者を全て殺す。
【備考】
※改名による影響はありませんでした。


【テレサ@マリオカート】
本来はマリオシリーズの敵キャラだが、マリオカートではアイテムとして登場するオバケ。
使用すると他のプレイヤーからランダムでアイテムを奪い、さらに一定時間姿を消すことができる。
1回限りの使い捨て。


時系列順で読む

Back:Second――夜明けのスタンスチェンジ Next:散りゆく者への鎮魂果

投下順で読む

Back:Second――夜明けのスタンスチェンジ Next:Flame and bomb

『これからの身の上』 剣菱悠理 GAME OVER
『これからの身の上』 片桐唯 GAME OVER
『これからの身の上』 プリンセス・ハオ(ハオ) 大日毎日
おだやかな朝に かぐや姫 汝也-じょや-
おだやかな朝に ファシル(本名 鈴木次郎) 汝也-じょや-
おだやかな朝に ハートのクイーン 汝也-じょや-


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