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殺人考察

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殺人考察 ◆OQfaQnysJI



二人の男が、死んでいた。


圭一とフェルディナントの二人は、湖を北に迂回し、橋を渡って西に歩を進めていた。
そして渓谷にさしかかったところで、彼らは息絶えている二人の男を発見したのだ。

「うぐっ……!」

放送で、多くの人間が死んだことは教えられていた。だが、ここまで実際に死体を目にすることはなかった。
この島に来てから初めて目の当たりにするリアルな死に、圭一は思わず顔をしかめる。
彼とて、これまで完全に「死」と無縁の人生を送ってきたわけではない。
むしろ特殊なケースとはいえ、常人よりも多くの「死」に関わってきたとさえ言える。
それでも、「死」に対する嫌悪感は薄まってはいない。超常的な体験をしてきたとはいえ、彼自身はまだ幼さの残る少年である。
人の死に慣れるには、圭一の精神はまだ未熟だった。

一方顔面蒼白の圭一とは対照的に、フェルディナントは微塵の動揺も見せることなく死体を観察していた。
外見だけなら圭一よりもさらに幼いフェルディナントだが、その実年齢は50を超える。
その上彼はもともとナチスの軍人であり、その後はショッカーという秘密組織の一員となった男だ。
その人生の中で多くの人間が死ぬ瞬間を見てきたし、自分の手で殺してきた人間も少なくはない。
すでに彼にとっては、見知らぬ他者の死など特に珍しいものでもなかったのだ。

「ふむ……。こっちの金髪は外傷がひどいな。凶器は鈍器……あるいは素手で殴り殺したか。
 それに比べて、こっちの東洋人は外傷が全くない。口から血を吐いているところを見ると、毒物による殺害か?」

二つの死体を念入りに調べながら、フェルディナントは呟く。
圭一にはそれが独り言なのか、自分に語りかけているのか判断が付かなかった。

「妙だとは思わないか、前原君」
「妙? 何がです?」

今度は、明らかに自分に向けられた言葉。しかし、圭一はそれに対して中身のある言葉を返すことが出来ない。

「死後硬直の具合やその他の要素から見て、二人が殺された時間にあまり差はないと思われる。
 だが片方の男は殴り殺され、もう片方の男は毒殺されている。実に不自然じゃないか」
「あ、たしかに! こんな屈強な体格の人を殴り殺せるんだったら、毒なんて使う必要はない。
 逆に毒で他人を殺すような策略家なら、もう一人を殴り殺すなんて行動に出るとは考えづらい」
「完璧な返答だな。さすが私が見込んだだけのことはある」

圭一から返ってきた「模範解答」に、フェルディナントの口元が緩む。

「加えて、もう一つ妙なことがある。彼ら二人の荷物にはまったく手が付けられた様子がない。
 この殺し合いにおいて、使える道具は多く集めておくに越したことはないのにな」
「言われてみれば……。考えれば考えるほど不可解だ。一体この人たちを殺したやつは、何を考えていたんだ?」
「さあな。いくつかの仮説は考えられるが、どれも妄想の域を出ない。情報が足りないのだ。
 今の我々がはっきりと言えるのは、ここで二人の男が死んでいたという見たままの事実だけなのだよ」

あくまで感情を感じさせぬ静かな声で、フェルディナントは言った。


◇ ◇ ◇


その後二人は二つの亡骸の身だしなみを整え、人目に付きにくそうな場所に安置してやった。
圭一としてはできれば土葬してやりたかったのだが、このあたりは岩盤が固く手持ちに役立ちそうな道具もないためやむなく断念したのだ。
もっともフェルディナントが狼男に変身すれば穴掘りも不可能ではないのだが、彼にそこまでしてやるほどの義理はなかった。

(こんな所に連れてこられた上に命まで落として、さぞかし無念だったでしょう。
 せめて、安らかに眠ってください……)

亡骸に向かって手を合わせながら、圭一は心の内で呟く。

「弔いは終わったかね、前原君」

頃合いを見計らって、圭一の後ろ姿にフェルディナントが声をかける。
彼の手には、二つのデイパックが握られていた。

「死人の持ち物をはぎ取るのは決して褒められた行為ではないが、先程も言ったように持ち物は多いに越したことはない。
 これも何かの縁と思って、ありがたくちょうだいしていこう」
「そうですね……」

理屈でわかっていても感情ではしっくり来ないのか、答える圭一の声は今ひとつ活力がない。
だがそんな様子にかまうことはなく、フェルディナントは片方のデイパックを圭一に押しつける。

「私はこちらの中身を確認する。君はそちらを頼む」
「わかりました」

地面に腰を下ろし、圭一はデイパックに手を突っ込む。まず出てきたのは、一台のバイクだった。

「は?」

目の前にあるバイクを見つめながら、圭一は間の抜けた声を漏らしていた。

「いやいや、なに冷静に『一台のバイクだった』とか言ってるんだよ。どう考えてもおかしいだろ。
 なんで背負えるサイズのカバンから、こんな立派なバイクが出てくるんだよ!」
「前原君……。誰に向かって言ってるんだ?」
「あ、いえ、すいません。あまりに衝撃が大きすぎて、自分でもわけのわからない言動を……。
 落ち着け……。COOLになるんだ……」

深呼吸と独り言を交互に繰り返して落ち着こうとする圭一。それをよそに、フェルディナントは考察を巡らす。

「なるほど、たしかにこれだけの大きさの物体が、持ち歩ける程度のカバンに入っていたとはにわかには信じがたいな。
 しかし、入っていたことは紛れもない事実。となると、カバンに何か特殊な仕掛けが施してあるのか。
 だがこのようなこと、ショッカーの科学力を持ってしてもおそらくは不可能。
 そうなると、殺し合いの主催者はショッカー以上の技術を持っているということになるのか?
 <博士>がいればこのカバンの構造を解析してくれるかも知れないが、私では手が出せそうにないな」
「……冷静ですね、フランツさん」
「まあ、一般人から見ればあり得ないことが普通に起きる環境で生きてきたからな。
 この程度で取り乱したりはせんよ」
「はあ、そうなんですか……」

繰り返しになるが、圭一の方も普通ではない体験をしてはいる。だがそれでも、適応力や冷静さはフェルディナントの方が上らしい。
しかしそれは圭一が劣っているというわけではなく、性格や経験した内容の違いなのだろう。

「さて、次にこのバイクそのものだが……。これは私たちにとって実にありがたい支給品と言えるだろう」
「徒歩とは移動スピードが比べものになりませんからね。特に俺たちは、この殺し合いが始まってからまだお互いにしか出会っていない……。
 機動力を手に入れれば、それだけ他の参加者と遭遇する確率も高くなるはずです」
「その通りだ。ところで前原君、君はバイクの運転は出来るかね?」
「いや、俺は……。残念ですが、出来ません。フランツさんは?」
「いちおう出来る。まあしばらく乗っていないから、腕前の方はあまり期待しないでもらいたいが」
「けど、俺よりはましでしょう。お任せしますよ、フランツさん」
「ああ。だが、まずは他の支給品も確認するのが先決だ」
「わかりました」

二人は、再びデイパックの中を探り出す。その作業の中で、フェルディナントはふとバイクに視線を向けた。

「バイクか……」
「フランツさん、どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」

フェルディナントの挙動を疑問に思った圭一が彼に問うが、フェルディナントはそれをはぐらかす。
だが、もちろんなんでもないはずがない。彼の脳内は、一人の男のイメージが占領していた。

(本郷猛……。バイクなら貴様の方が似合うのだがな……。まあ、今はそんなことを考えてもどうしようもないか)

宿敵の姿を頭の中から振り払い、フェルディナントは苦笑を浮かべながら作業を再開した。


彼らは知らないが、二人の前にあるバイクは名をマシンディケイダーという。
その本来の持ち主は、仮面ライダーディケイド。
本郷猛と同じく、「仮面ライダー」の称号を持つ異世界の戦士である。
そんなちょっとした因縁など、フェルディナントは知るよしもなかった。


【1日目 午前/G-6 渓谷内】

【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】
【服装】ワイシャツにズボン
【状態】健康、フランツへの軽い疑念、雛見沢症候群Lv.1?
【装備】ワルサーPPK(24/24)@現実
【道具】基本支給品一式×2、双眼鏡、ロープ、味噌『トシコシ』、アンディの不明支給品(0~2)
【思考】
 基本方針:このくそったれなゲームをぶっ壊す。
 1:町での捜索の後に都市に行き、この殺し合いを打破する仲間を集める。
 2:命に代えても部活仲間を助ける。
【備考】
※本編終了後からの参戦です。


【フランツ・フェルディナント@仮面ライダー 誕生1971】
【服装】黒い詰襟の軍服
【状態】健康
【装備】特殊警棒@現実
【持ち物】基本支給品一式×2、猫缶、マシンディケイダー@パロロワクロスネタ投下スレ、 右京の不明支給品(1~3)
【思考】
 0:このままでいいんだろうか?
 1:前原圭一に協力する?
 2:本郷猛の事が少し気にかかる。
【備考】
※<黄金狼男>に変身できます。
 能力には制限がかかります。制限に気付いていません。


※支給品紹介
【マシンディケイダー@パロロワクロスネタ投下スレ】
仮面ライダーディケイド・門矢士が愛用するバイク。
最高速度は時速360km。
ストーリー開始当初から士が所持していたが、彼がどうやってこのバイクを手に入れたのかは語られていない。
今のところロワには登場していないが、クロススレで開催されたカートレースに参加するため、士が持ち出してきた。


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ひぐらしもうなる味噌に トシコシ編 前原圭一 00:25森
ひぐらしもうなる味噌に トシコシ編 フランツ・フェルディナント 00:25森

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