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日本昔話・天女の落し物

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日本昔話・天女の落し物 ◆8cnjW9wWV2



「おい、ちょっとお前、聞こえてるのか!?」
高度ゆうに数百メートルはありそうな上空を、一匹の巨大な竜が泳ぐように長い体をくねらせて飛翔していた。
その頭の上で、一人の青年が必死に竜の角を掴みながら何事かを叫んでいる。
(ちなみに竜は耳が無い代わりに角で音を聞くのである)。
「だから、みゆきが落ちたって行ってるだろ!! 早く戻って探さないと……
いや、探しても多分もう手遅れだと思うけど、こう、人として!!」
6/は竜をなんとか止めようとその角にしがみつく。

先ほど、竜の頭の上に立って「うぃききききききききききききききき!!」などと笑っていた高良みゆきが
突然苦しそうに胸を押さえるとバランスを崩し、そのまま遥か眼下の地面に向かって落下していったのだ。
この高さから落ちて死なずに済むわけはないし、もし助かっていてもあまりこれ以上関わりたくは無かったが、
ジェシー・コクランから助けて貰ったという恩義がある。
そのため一刻も早くみゆきを落とした地点に戻ろうと竜に言っているのだが、竜はそしらぬ顔で全く返事をしない。
「ったく、早く戻らねえとどんどん遠ざかっちまうじゃねえか!!」
なにしろ竜はジェット機なみのスピードで飛行しているのである。
眼下に見える建物は目にも止まらぬ速さで視界から逃げ去り、このままではあっという間にロワ会場を一周してしまう勢いだ。

「そうはいいましても、お兄さん、無理なもんは無理アルよ」
ようやく竜が口を開いた。
「ワタシ、ずっと飛び続けないと生きていけないアルね。飛ぶのやめると息が出来なくなって死んじゃうアルよ」
「はあ? 何それ、回遊魚!?」
「せやから地面に降りるなんてムリアルね。大体あの女いても大して役に立ちそうに無いアルね。
いてもいなくても同じアルよ」
「言いすぎだろ!!」
「それにぶっちゃけ、あの女やたら重かったアルね。胸とか尻とかに余分な肉がついてるせいで重量オーバーアルよ」
「いなくなってから急に言いたい放題だな、お前」
6/は頭を掻きながらため息をつくと
「じゃあ地面スレスレまで降りてくれ。飛びながらでいい。出来るだけスピードを落としてくれ。
俺とかがみはタイミングを見て飛び降りる」
「うまくいく保障ないアルよ」
「かまわん。どっちみちこのままここにいても何も出来ないからな」
6/の言葉を聞くと、竜は頷いて高度を下げ始めた。

「ハア、ハア、ハア、犬、犬、犬、犬ううううううううううううううううう!!」
月が暗い地面の上に仄かな影を落とす真夜中。
一人の男が、道の上で両手を大きく広げると咆哮していた。
目は血と雌を求める野獣のようにギラつき、口からは粘性の高い液体を垂れ零している。
今はただ彼が身にまとう防寒具だけが、この者がかつては名を馳せた偉大なる冒険家であることを物語っていた。
「なんたることか……この私が犬を逃すとは……」
ペットショップにいた犬どもを全員食べたとはいえ、そんなものでは彼の飢えた本能は満たされなかった。
何しろ今の今まで「殺し合い」というものに巻き込まれ、犬を食べるどころではなかったのだ。
そしてそこから脱出できたと思ったらまたもや殺し合いだ。彼は再び深く絶望した。
そんな彼の前に現れたのが沢山のかわいい子犬たちだったのだ。
さらにその子犬たちを食べつくした後で彼の前にのこのこと姿を見せたのが、おいしそうな二匹の犬を引き連れた変な髪形の主婦だったのだ。
男、ロアルド・アムンゼンは当然目の色を変えて主婦を追ったのだが、途中で見失ってしまった。
「クソ……こんな失態をレディに知られたら笑われてしまいますね」
アムンゼンは腹部を押さえてうずくまる。
彼の敗因は二つ。犬を沢山食べた直後で、いつもほどは早く走れなかったこと。
そしてもう一つは、鬼ごっこの相手が俊足を誇る主婦であったという一点だ。
「さて、どうしますかね……」
犬を追いきれなかったのは残念だが、逃したものについていつまでも考えていても仕方が無い。
それに犬ならすでに沢山食べた。
目の前から犬がいなくなったことによって、アムンゼンはようやくいつもの冷静な思考を取り戻したのだ。

「レディとジェントルマンはどうしているでしょうか?」
ここに連れてこられる前に参加していた殺し合いの中で、彼は二人の仲間と出会った。
坂木檀と勇者スポポロス。どちらもまだ幼く危なっかしいが、彼にとって愛すべき友だ。
もし彼らまでこっち側の殺し合いに巻き込まれていたら、と思うといても立ってもいられなかった。
「そうだ、今回も名簿が配られているかもしれませんね」
そうつぶやくと、重たい腹を押さえながらバッグを開こうとして……

突如、空に黒くて大きな影が現れた。驚いて上を見たアムンゼンは、空から降ってきた大量の布の中に埋もれた。

月が暗い地面の上に仄かな影を落とす真夜中。
地面の上に、うず高き下着の山が聳え立っていた。
その中から一組の男女が這い出るようにして出てくる。
「つーか、本当にどんだけ下着持ってきてんだよ……」
「いいでしょ別に!! そのお陰で助かったんだから文句言わないで!!」
二人の頭上では竜がぐるぐると円を描きながら飛んでいた。飛び続けていないと死ぬからだ。
かがみの持っていた大量の下着をクッション代わりにすることで、飛び続ける竜からなんとか無傷で飛び降りることが出来たのだ。
そして二人の前には、今までかがみが竜の上から落としてきていた下着が一直線に地面の上に並んでいた。
「ヘンゼルとグレーテルみたいね」
「メルヘンさがかけらも無いけどな」
とにかくも、この下着の道をたどっていけばみゆきが落ちた場所に戻れるはずだ。
6/がそう考えて歩き出そうとしたとき、
「ちょっと6/、下着の中にも一人いるわよ!!」
「なにい!?」
かがみに呼ばれて戻ってみると、確かにそこには顔に青と白のストライプ模様のパンツを貼り付けて窒息寸前になっている男がいた。
あわてて男の顔からパンツを剥がそうとして手を触れると、そのあまりの冷たさに思わず声が出た。
この男の体温は恐ろしく低く、それゆえに顔面にパンツが張り付いているのだ。
その時ふと、最初に下着売り場で確認した名簿の中にこの特徴に合致する人物の名前があったことを思いだす。
「まさか……」
かがみと6/、二人がかりで下着を引き剥がすと、その下からは線の細い白人男の顔が現れた。
(やっぱり、ロアルド・アムンゼン(その3)か)
二人ともパロロワクロススレにいた頃オリキャラロワを読んでいたので、彼のことも知っていたのだ。
「ふう、お陰で助かりました。ありがとうございます」
アムンゼンは大きく深呼吸をしながら言った。
「ところで、あなたたちは一体―――」

その時、アムンゼンの目があるものを捕らえた。そして、それを凝視したまま硬直した。
「へ?」
その視線の先にいたかがみは怪訝そうに首をかしげる。しかしアムンゼンの目に映っていたのはかがみではない。
そして、かがみの履いているパンツに犬のアップリケがついていたわけでもない。
ただ問題だったのは、そのパンツが犬の毛で出来ていたことだ。

「匂う……匂うぞお……犬の匂いが……犬ううううううううううううううううう!!」

アムンゼンは咆哮してかがみに飛び掛っていった。
「え、ちょ、い、いやああああああああああ!! 助けてえええええええええええええ!!」
もちろん6/は助けなかった。
三人の頭の上では竜がぐるぐると円を描いて飛んでいた。

【C-5 平原/一日目 黎明】

【◆6/WWxs9O1s氏@パロロワクロスネタ投下スレ】
【服装】ごく普通の洋服
【状態】健康
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
1:アムンゼンと情報交換する
2:下着をたどってみゆきを探す
3:どこかで武器と食料を調達したい
4:かがみうぜえ

【柊かがみ(変態仮面)@パロロワクロスネタ投下スレ】
【服装】全裸
【状態】健康
【装備】大量の下着
【道具】支給品一式、不明支給品3
【思考】
1:下着をたどってみゆきを探す
2:こなたがいるなら合流したい
3:6/とはぐれないようにしつつも脱出方法を探る

【竜@まんが日本昔話】
【服装】全裸
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品1
【思考】
1:空中で待機
2:かがみうざい
※飛び続けないと死にます

【ロアルド・アムンゼン(その3)@オリロワ】
【服装】冒険家
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式、不明支給品×1~3
【思考】基本:犬限定マーダー
1:犬毛パンツを食う
2:6/かがみと情報交換する
3:仲間を集め、生きて脱出する
※能力:犬を捕まえる時身体能力倍化、冷気無効、体温氷点下

※高良みゆきの死体はD-3~D-5のどこかに落ちています

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